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忘却死生

連載中(書きかけ)

RYINN1110

25,028 字

異世界転生ファンタジー

"死と再生、そして忘却の果てに紡がれる、魂の旅路。"

捻れる。切れる。潰れる。裂ける。折れる。砕ける。何と形容すべきかわからない、限りなく多くの事象をこの身に受ける。何も聞こえない。何も見えない。何も判らない。唯、血の味を感じるだけ。 そうして僕は絶命した。のだが、気づいたら僕は真っ暗闇の中にいた。頭がはっきりせず、記憶は霞みがかって全く思い出せない。 そんな記憶を失った死者が生まれ変わり、新しく不思議な人生を謳歌する物語。

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第10話 真相

それからトアさんの所にお世話になる日々が続いた。最初2か月くらいは体が痛すぎてまともにベッドから動けなかった。それでもしばらくしたらだんだんできることも増えていってリハビリをし始めた。最初は辛かったけど、だんだん慣れてきて動けるようになるのが嬉しかった。人間の体ってすごいなぁ…魔杖は懐に入れてたおかげでなんとか生きてました。危ない危ない。せっかく父さんと母さんにもらった物なのに。にしてもこの魔杖を使うか使わないかだけでとんでもない威力の差がある。使ったら山でも抉れる。すごいよこの杖…

そして起きてから4ヶ月、もう7歳になったが、体は完全に治った。痛むところもないし、折れた骨も治り、普通の生活が送れるようになった。

トアさんには色んなことを教えてもらった。僕が冒険者になるということを知ってか、冒険者にそもそもどうなるのかとか、どうやって生き抜いていくのかとか、そんなことを教えてもらっていた。
「冒険者になるにあたってまず最初にやらなければいけないことがある。」
「何ですか?」
「冒険者ギルドに登録をしなければいけないんだ。じゃないとこの世界の国々の国境を自由に跨いだり、クエストを受注してお金を稼いだりはできない。冒険をする上でも支障が出るからしておかないといけないよ。」
「冒険者ギルドってどこにあるんですか?」
「うーん、大体大きい街にひとつくらいあるけど...一番近いところだとドラト王国の首都だね。街の名前はそのままドラトって名前。」
「なるほど、そこに行って冒険者として登録すればいいんですね!」
「そういうこと。ちなみにセルトの方の冒険者ギルドはたぶん使えなくなってるから...君の家族は飛ばされた国から移動できてないんじゃないかな?」
「確かに...ありがとうございます!」
「あ、そういえば...トアさんは、昔、冒険者だったんですか?」
「うん、昔はね。それなりの冒険者だった。この国のではないんだけどその地方で一二を争うくらいの実力のパーティにいたんだ。けど、解散することになってしまってね。バラバラになって、今私はここで生活してるんだ。あぁそうそう君のお父さんは元々僕と一緒のパーティだったんだよ?彼は元々セルト出身で僕の故郷に来てただけだけど...」
「えっ!?そういえば確かに父さんのことだけテオさんって名前を知って…」
「そそ。元パーティの仲間だったんだ。だから、とまではいかないけど、君のことは絶対に助けたかったんだよ。親友の子供だしね。」
「本当にありがとうございます…」

トアさんのところにお世話になってから学校に行くようになった。そこで魔術の授業とかもあったのだが…
「はーい!今日はみんなで『ウォータースプラッシュ』を使ってみましょう!
「「はーい!」」
やばいやばいやばいやばい!もっと、もっと弱くしないと!また2歳の時みたいにぶっ飛んだ水柱を立てることになっちゃう!しかも今はもう2歳の時と違って魔力量が増えてる!とんでも無いことになっちゃうよ!
「リンくーん?できないのー?」
「うわっ!あっ…!」
ドォォォォォン!
轟音を鳴り響かせて水柱が天へと昇っていく。ちくしょう。後ろから急に話しかけられたせいでびっくりして…ってあ。あーもうだめだこりゃ。全然威力は調整できないんだよなぁ…ほら後ろで話しかけてきた女の子が目を丸くしてるよ…
「えっ、えっ、」
「あー、うん、えーっと、ごめん。」
なんと声をかければいいのかわからなくてなぜか謝ってしまった。しかもよく周りを見たら全員こっちの方を見てた。おわった。先生ですら目を丸くしてるよ…
勉強も全然できたので学校で困ることはあまりなかった…魔術以外は。けど、なんやかんやすごい楽しい!

そして2年が経った。僕は9歳になり、もうすぐ10歳になるというところ。僕はもうすぐ旅に出る。父さんと母さんを探し、あの声の主に会いに行く。どこにいるかはわからないけど。2年間お世話になった学校もこれで最後だ。
「2年間、お世話になりました!またいつか会えることを楽しみにしています!」

その夜。
「リン君。」
「はい!」
「そろそろ旅に出られそうだね。けど、冒険者になるに当たって話さなければいけないことがあるんだ。」
「なんですか?」
「『ルナ』は知ってるかい?」
「はい!昔、本で読んだり、空に吹っ飛んだ時に見えたりしました!」
「空に吹っ飛んだ時って…まぁ、うんそれなんだけど…

絶対に近づくな。」

沈黙。何か、いつものトアさんとは違って…どこか恐ろしさを感じるような雰囲気を発している。
「ど、どうして…ですか…?」
「危険すぎるからだ。」
「確かに本で時空に異常が発生して行方不明になった事件が…」
「…知ってたのか。」
「?はい、まぁ本でですけど…」
「それは私達だ。」
「え!?」
「あぁ大体11年前、君が生まれる1年と少し前くらいかな?私と君のお父さん、テオさんが所属していたパーティは『巨塔』の攻略に乗り出した。大変険しい道のりだったが、私達は踏破に成功した。そして『ルナ』は沈んだ。そこまではよかったんだ。」
「まさか…」
「ああ。そこで想定外が発生した。時空の歪み。その結果私達のパーティのメンバーは全員逸れてしまった。生存が確認できているのは私と君のお父さんだけだ。その事件の後すぐに有名になっていたからね。『夢想』として。君のお父さんは私が生きていることを知らないかもだけどね。」
「そんなことが…」
「うん、だからリン君、君にはそんな目に遭ってほしくない。だから近づかないで欲しいんだ。」
「けど、『ルナ』が拡大しつつある今、住める地域は減っていってるはず!『巨塔』を攻略して沈めた方が…」
「犠牲者を出してでも?」
言葉に詰まる。
「皆が生きるために誰かが命を捧げて『巨塔』を攻略する。それはまるで…『生贄』のようじゃないか…」
「けどそれでも僕は!あれを攻略しないと。そんな気がするんです。もちろん父さんと母さんのことは探します。けどその後生活する場所を失っては意味が…」
「…そういう意見があるのはわかっている。私はこれ以上干渉できない。最終的に決める権利は君にある。君がやりたければやりなさい。けど、命は大切にね。」
「はい!」
「今夜はもう寝なさい。明日には発ちたいでしょう?」
「わかりました!おやすみなさい!」
トアさんのところでの最後の夜。僕はぐっすり寝て、明日に備えた。

── 第10章 了 ──

読んでくれてありがとう。良かったら作者にスキを送ろう。

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