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忘却死生

連載中(書きかけ)

RYINN1110

25,028 字

異世界転生ファンタジー

"死と再生、そして忘却の果てに紡がれる、魂の旅路。"

捻れる。切れる。潰れる。裂ける。折れる。砕ける。何と形容すべきかわからない、限りなく多くの事象をこの身に受ける。何も聞こえない。何も見えない。何も判らない。唯、血の味を感じるだけ。 そうして僕は絶命した。のだが、気づいたら僕は真っ暗闇の中にいた。頭がはっきりせず、記憶は霞みがかって全く思い出せない。 そんな記憶を失った死者が生まれ変わり、新しく不思議な人生を謳歌する物語。

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第12話 旅の始まり

初めての一人旅。草原の中に続いていく誰もいない一本道を歩いていく。景色はきれいだし、空気もおいしい。

まずはドラトの首都を目指して歩いていく。トアさんに言われた通り冒険者ギルドに行って冒険者として登録してもらわないと。トアさんには大体歩いて2時間くらいと言われた。遠い。ん?いや、歩かずにいけるんじゃない?魔術だ。魔術を使えば飛べる!
「フロウ!」
フロウは風魔術の4等魔術。僕の適性なのもあってこれならある程度威力を調節でき...
「るにしても飛びすぎでしょ!!!」
やっぱり勢いよく飛んだ。けど...うん。まぁギリギリ?制御できるかな?めっちゃ早い!これなら数十分で着くんじゃないかな?あ、前に誰かいる。上を飛んでるから当たることはないけど。
「こんにちは!」
「こんにちは...ってえぇ!?」
驚いていらっしゃる。まあ空飛んでますからねぇ...驚くのも無理ないか。

十数分飛んで。周りを見ていると。お?なんかいるぞ?あれは...
「モンスターだぁ!」
モンスター。基本的に「ルナ」でしか現れないけど時に「ソル」に移動してきた個体がその先で増えたりして人間の生活を邪魔したり脅かしたりしてる。モンスターは「ルナ」を広げるために行動しているといわれている。基本的に結構強い。
「よーし!戦ってみよう!フロウ!」
正面にフロウを撃ってスピードを緩める。ふわっと着地する。これも結構練習した。飛んだ時に着地するのをミスしたら大怪我だからね…
モンスターがこっちに気づいた。人型だけど緑色の肌をしていて人間ではない。ゴブリンってやつだな?
「よーし!」
魔杖を取り出す。さーてなんの魔術を撃とうか。ここ最近に特訓した好きな魔術にしよう!
「2等魔術!ウィンドショット!」
集中して、魔杖の先に溜める感覚!小さく、強く、凝縮して…
「撃つ!」
ゴブリンは魔術に気づく間もなかっただろう。それは風魔術の一部における最大の特徴。そしてとっても単純な特徴である。そう、視えないのだ。例えば今の魔術で言うなれば打ち出すのは空気の塊。視えるはずがないのだ。つまり発射される瞬間を見れなければ判断して回避することは不可能だ。そして発動の瞬間を見ていなかったゴブリンは不可視の凶弾により腹部に大きな穴を空けられた。ゴブリンを通り越して背後の木をも貫いた。どこまで飛んだかは分からない。ゴブリンは魔術を受けた自覚なく倒れた。消滅していく。モンスターは死ぬときに消滅するのだ。そしてその残骸には魔石のみが残る。僕の魔杖の魔石も何かのモンスターの残骸であろう。僕はゴブリンの残骸から小さな魔石を拾い上げた。魔石はモンスターが強ければ強いほど大きくなる。ゴブリンはあまり強くなかったのだろう。
「うん。いい感じだね。戦闘だとこの魔術、結構便利かも。」
特訓した甲斐があった。これからもこの魔術は愛用するだろう。ただ、他属性を混ぜたりとかしてもうちょっと弄りたいところはあるけどね!

バックの中に魔石を収めて、再びドラトの首都を目指す。
「フロウ!」
また飛び始める。やっぱり飛びすぎ。早すぎる。

そして、「フロウ」の威力の調整に苦労していると大きな街が見えてきた。これまでこの世界で見たことがないほどの大きい街だ。
「あれが…ドラト王国の首都!」
これ以上飛びすぎると街中に落ちてしまう。なので早めに降りてそこから歩くことにした。他の人に見られても不審がられるだろうし。
「フロウ!」
スピードを緩めてふんわりと着地する。ほんとにこの練習大変だったんだよなぁ…今は全然ミスしないけど練習したての頃は事故りまくってたし。普通に重症負いかけてた。

まぁそんなことはいいとして、遂に目的地に到着だ。途中でゴブリン倒したりしてたのにも関わらず30分ほどで到着できた。徒歩だったらこれの4倍かぁ…よかった、飛べるようにしといて。

街の中は前世の世界における中世ヨーロッパみたいな感じだった。なんか、イメージ通りというか、想像に易いというか。そして、この街広すぎる。入ったまでは良かったけど目的地の冒険者ギルドがどこにあるのか全く分からない。こういう時は街の人に聞いてみるのが一番だ。優しい人は答えてくれるはず。ぱっと見優しそうな父さんくらいの年齢に近そうな人に話しかけてみる。
「すみません!」
「ん?どうしたんだ?なんだガキか。迷子か?」
「はい。冒険者ギルドの場所がわからなくて…」
「なんだぁ?このちっさいガキが冒険者ギルドに用だぁ?おつかいとかか?」
「いえ、冒険者登録をしたくて。」
「はっ。ははは!ガキンチョが。笑わせんなよ!お前いくつだよ?10歳とかか?そんな歳で冒険者になるようなバカはそうそういねぇよ。命が惜しけりゃ家に帰れ。」
「いえ、本気で冒険者になりにきてます。教えてください、ギルドの場所。あと9歳だし、家はないです。」
「お、おぅ。なんかすまんな?けどこんなガキが一丁前に冒険者になれるとは思えねぇ。俺がテストしてやる。」
「えぇ…何やるんですか?」
「あぁ、えーっと、何にしようかな…あ、そうだ!俺がお前の相手として戦ってやる。一発でも攻撃を入れられたらギルドの場所を教えてやろう。」
「わかりました。受けます。」
「威勢だけはいいガキだ。」
「魔術は使っても?」
「構わねぇよ。どうせしょぼい魔術しか撃てねぇだろうが。」
「じゃあ行きますね。フロウショット!」
「はっ、やっぱ4等魔術じゃねぇかぁあっ!?」
「フロウショット」はさっきの「ウィンドショット」の下位互換の4等魔術だ。威力もさっきのよりは控えめ。けど、撃つのが僕なら、威力は十分。腹に思いっきり当ててやった。
「げほっ、げほっ、やったなクソガキが。」
「はい、当てましたよ。ギルドの場所、教えてください。」
「はぁ?そんな不意打ちみたいな手段で当てやがって。教えられるかぁ!」
「じゃあ剣でやります。」
「は?」
「剣でやれば不意打ちもクソもないですよね。いいですか?」
「ああ良いよ。これでも俺は剣のスペシャリスト…ぐわぁ!」
「はい、もろに入りましたね。教えてください。ギルドの場所。」
「ちっくしょうが。てめぇまた不意打ちじゃねえか。」
「けどあなた『良いよ』って言ったじゃないですか。」
「ひでぇ言い草だな…わかったよ。教えてやるよ。ここだ。ここ。」
そう言って目の前の建物を指す。
「えっ?」
「あぁそうだよ。俺らは冒険者ギルドの前で戦ってたんだ。」
「えぇ!?どうして何も言ってくれなかったんですか!」
「俺が冒険者ギルドに入るに値するのか確かめる試験官だからだ。」
「え゛っ。」
「最近冒険者になりたての初心者がよく死んでるからな。ある程度実力がないと入れないようになったんだ。しっかしお前、とんでもねぇな。こんな9歳見たことがねぇ。魔術も剣術もそうだが、何より頭がよく回る。9歳とは思えん。合格だ。いいぞ。入れ。」
「ありがとうございます!」
「あぁ、期待してんぞ。」
お礼をして冒険者ギルドの扉に触れた。

── 了 ──

読んでくれてありがとう。良かったら作者にスキを送ろう。

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