エピローグ
1993年、4月。分校の理科室には一枚の絵が残されていた。それはどのコンクールにも出されることのない、無様で、混沌とした、けれど灼きつくような「赤」の絵だった。
夏目は新しく赴任する学校へ向かう車の中で、窓の向こうの奥三河の緑を見ていた。助手席には大輔から渡された、ステンレスの定規が置かれていた。
大輔は新しい学校へと向かうバスに乗り、五分咲きの桜を眺めた。
そして真っ白なスケッチブックを広げる。バスの振動が、その白を、揺らしていた。
"完璧な「檻」に閉じ込めたはずの少年が、涙で描いた「震える赤」。"
1993年、4月。分校の理科室には一枚の絵が残されていた。それはどのコンクールにも出されることのない、無様で、混沌とした、けれど灼きつくような「赤」の絵だった。
夏目は新しく赴任する学校へ向かう車の中で、窓の向こうの奥三河の緑を見ていた。助手席には大輔から渡された、ステンレスの定規が置かれていた。
大輔は新しい学校へと向かうバスに乗り、五分咲きの桜を眺めた。
そして真っ白なスケッチブックを広げる。バスの振動が、その白を、揺らしていた。
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