栞
黄金の大木は、悠々とその場所に鎮座している。その葉が枯れることもなければ、揺れることもない。周辺に咲く銀河花の群生は、大木を見上げてじっと座り込んでいる。音もなく、匂いもない。ただその場所は守られているように、ただそこに在るだけだった。
少年は大木の根元に座り込んで本を読んでいた。『ネガイボシ』という、第三銀河までに広く伝わる童話だった。兵隊だったレイルと聖職者のナハールが平和を求めて“ネガイボシ”へ旅に出る話。この話は伝説として、広く伝わっていた。
少年はふぅ、とため息をついた。少し見上げると、黄金の枝と葉がこちらを見ていた。
「ぼくも、いつかたどりつけるでしょうか。」
ぼそりと呟いた時、黄金の葉がひらりと本の隙間に落ちた。
黄金の栞が指し示した場所は、【「“ネガイボシ”はキミの助けになるよ」】。
はっとして、少年はいつも願うように、同じ方向を向いて、ただ手を組んで祈った。
まだコメントはありません。最初のひとことをどうぞ。