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沈花繚乱

56,592 字

幻想青春群像劇

"境内の木々は知っている。散ってもまた咲く、君たちの物語を。"

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第二十四章

拾愛込希
美怜篇一
祭りの次の日、美怜はまた小銭を拾いに来ていた。今年で三年目だった。
裏手まで来たとき、声がした。
「毎年、律儀だね」
美怜は、飛び上がった。振り返っても、誰もいない。
「ここだよ」
桃だった。
美怜の頭の中で、一瞬で「化け物」という言葉が浮かんだ。
「木が、喋った……化け物」
「化け物?」桃の声が、少し尖った。「失礼な。私は女王だよ」
「じょ、女王?」
「そう、女王」桃は、あっさり言った。「化け物と女王、随分違うと思わない?」
美怜は、後ずさりしたまま、木を見た。
「女王って、自分で言うこと?」
「言わなきゃ、誰も言ってくれないから」
美怜は、しばらく動けなかった。それでも、さっきより少しだけ、木との距離が縮まっていた。
「なんで喋れるの?」
「分からない」
「昔から?」
「そう」
「それって便利?」
「分からない」
「でも、それって」
笑いを噛み殺しながら、
「やっぱり化け物だ」
 

── 第21章 了 ──

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