← 作品ページへ戻る

終末、世界を歩く。

赤間世穹

9,104 字

詩的SF、断章形式の幻想叙事詩

"砕け散った世界の欠片を拾い集める、これは魂の旅路の記録。"

← 右から左へスクロール

漂着

どこまでも続く砂、砂、砂。山があれば谷もあり、風によって滝のように流れる砂もある。ここまできた船は砂に突き刺さった影響でしばらく動けなくなっていた。
すぐに立ち去る必要もないため、直すのは戻ってきてからで良いと思った。
「生命体はいるのかな?」
「どうだろうね。この砂海だもの、生命活動ができるとは思えないな。」
毒の花は前を見据え、時折自作した小型ホログラムコンピュータ端末で地図を形成させつつ、そして周囲を警戒しつつ前を歩いた。
治癒の花は相棒に手を掴まれながら、あっちへ行こうとしたり、こっちへ行こうとしたりと忙しない。
大樹の群生から逃亡した先で漂着したこの星は彼女らにとって未知でしかなかった。
砂の山をどうにか登り、登ったかと思えばまた降ることになる。その繰り返しと、衛星から届く熱い光は、樹海の星で地下暮らししていた彼女たちにとってかなりまずかった。熱く照りつけられ肌から水分が少しずつ抜けていき、貴重な補給液を二人で分け合いながら歩き続けるにも限度があると判断した毒の花は、補給液をこの星で探す必要がある、と考えた。
「補給液を補充したいな、この地形的に、全くないわけでもないのだろうが、探し出す前に枯れてしまうかもしれない。」
「よし、じゃあ、液体を作れば良いんだよね!」
治癒の花はしゃがみ込み、穴を掘り出した。
「ソーラー・スティルか、こんな場所で作れるか?」
「やってみよ! 物は試し! それ貸して!」
残りの補給液をほんの少し布に垂らし、穴の底へ入れる。中央に受け皿を設置し、穴の上に蓋をする。
「これが出来上がるまで、干からびなければ良いが。」
「キョウチは周囲見てて!」
「分かった。おまえはそれ見てろ。 ……念の為、首輪をつけよう。」
毒の花は治癒の花に首輪をつけ、リードをつけた。手にしっかり巻き付け、遠くへ行かないようにと願った。
報告:謎の砂の星に漂着。一日目、補給液の補充を開始、周囲の探索を続ける。

── 了 ──

読んでくれてありがとう。良かったら作者にスキを送ろう。

作品ページへ戻る

コメント

まだコメントはありません。最初のひとことをどうぞ。

しおりを挟みました