第三章
落花迷心 翔太篇
翔太が来たのは、桜の花がほとんど散った後だった。
「遅かったね」桜が言った。
「わかってる。でも、来た」
「散ったあとの話は、他の子に聞いてって言ったはずだけど」
「聞いてない。俺は、今の話がしたい」
桜は少し黙った。
「どうしたい」
「分からない」翔太は言った。「東京の話も、美奈子の話も、部活の推薦の話も、全部一緒くたになってる。どれから考えればいいのかも、分からない」
「一個ずつ、じゃダメなの」
「ダメなんだよ。全部繋がってるから」
桜は何も言わなかった。ただ、残り少ない花びらを一枚、風に落とした。
翔太はしばらく黙って、それを見ていた。
「今日はもう、いい」
「帰るの」
「うん。でも、多分…」
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