第3話:会議は踊る、事件は進む 105年間の空白とは?『タイムリーパー”あゆみ”:ヨコハマ探偵物語』
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シーン5 初めての捜査会議は……予想通りの難航
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・スペシウム探偵事務所 横浜支部 看板
・外は暗く 壁にかかった時計は午後8時になろうとしている
・ホワイトボード前に4人が集合
小林聡美さん風N「聞き込みをはじめとする、これまでの調査結果を持ち寄っての、 初めての捜査会議が、今まさに始まろうとしています」
ホワイトボードの前に立つ秀樹
その前に歩、健三郎、優一がスチール机を前にパイプ椅子に着席
秀樹の発言を静かに待っている
秀樹(両手を叩きながら)はい、はい、注目ぅーはい、そこー私語を謹んでくだいよぉ
歩とっくに注目してんじゃん、ねぇ
「うんうん」と頷く健三郎と優一
優一誰一人私語してねーし
健三郎ってか、一人じゃ私語できないしね
歩で、一体何やってんのよ秀樹は?
秀樹いやいや、これやらないと始まんないの知らない?金八先生毎週金曜夜8時!みてねー
歩もういいよぉ、昭和40年男ごっこはさぁさすがに飽きた!しばらく禁止!
秀樹あっ、そうでは所長どうぞ
歩えっ?なに?私が仕切るの?
秀樹だって所長でしょ?
歩じゃぁなんの段取りだったのよこれ?まぁいいやでは、当事務所が開所して初めての捜査会議を行いますで、秀樹おじさんはそこに残って、書記やってくれ
秀樹(マーカー握りしめて腕まくり)(反省のかけらもなく、やる気満々で敬礼のポーズ)はい!
歩では始めまーすまずは、捜査の目的!秀樹君ちゃんと書いてよえーと、なぜ健三郎君と優一君のお父さんたちが急に意見を正反対に変えてしまったのか?調査!これ!目的!
ホワイトボードに言われたことを書く秀樹
歩これに関してはまずは二人に、理由を聞いてもらいましたでは健三郎君
健三郎(その場に起立、メモを取り出して)ハイ、11月17日の夜親父に理由を聞きました
(回想)自宅台所の食卓でビールを飲んでいる、仕事終わりの父親
父親(佐藤 健二)(コップのビール飲み干して)くーっ!うめぇ~!
風呂から上がった健三郎タオルで頭を拭きながら入ってくる
父親おーお前も飲むか?
健三郎飲まないよ、未成年の息子になに勧めてんだよあのさ…
父親なんだ、継ぐ継がないの話だったらやめてくれ仕事終わりで疲れてんだ、無駄な喧嘩したくね
健三郎Mこうしてみると老けたよな身体しんどくて、店畳みたい?まさかデカイ病気ってこと無いよな
健三郎いや、継ぐ継がないじゃ無くてさなんで継がせたく無くなったのか理由を教えて欲しいんだよなんでよ?
父親お前にゃ関係ねえ
健三郎無くないよ、俺の一生のことだぞ?継がせたくねぇ、わかりましたって訳には行かないだろ
父親まぁお前があんまりしつこいから俺も考えたんだけどよそんなに四川やりてーならさ俺の兄弟弟子の前島さん、お前知ってんべ紹介してやるから、あそこ修行に行けそれで金貯めて、自分で店持つってことなら俺だって反対しねーよ
健三郎まぁありがたい話だけどさなんでこの店継いじゃいけないんだよ俺だって、いきなり継ごうなんて思っちゃいないよちゃんとよその飯食って、ちゃんと修行してそのうえで、この店継ぎたいって言ってんだよなんでダメなんだよ
父親ダメなもんはダメだこの話は終わり!俺は明日もあるから風呂入ってクソして寝るからな
「あーあぁ」と伸びをしながら、台所を出ていく父親
・スペシウム探偵事務所
歩うゎーきったねクソして寝るだって
健三郎人の親にそういうこと言わないでくださいよ
歩おーごめん、ごめん冗談です冗談話聞いてると、いいお父さんじゃん
健三郎まぁ、改めて考えるとねそうでなきゃ、継ごうなんて思いませんよ普通
歩そりゃま、そうだ茶化してごめんねで、優一君の方は…
優一ウチは、とにかく継げの一点張りで…話になんなかったっす
(回想)すでに喧嘩が始まっている
優一テメェ「おメーのこと思って言ってんだ!」とか歯の浮くようなこと言うんじゃねーだろーなぁー
父親(中島 剛)オメーのことなんきゃ、思ってねーよおりゃー横浜中華街全体のこと思って言ってんだバカが
優一なんで俺があと継ぐのが中華街全体のためなんだよ
父親だからよ、料理が嫌ならヤンなくていいって言ってんだろが経営者としてでもいいから後を継げって言ってんだよなんで、こんな上手い話のってこねーのか理解できねーよ
優一こんな吹けば飛ぶようなクソ中華の店経営することのどこがうまい話なんだよ!バカか?!
父親バカはお前だっつーてんの!!これから、うまい話になんだよ
優一どうやったら、このいつ潰れてもおかしくない店がうまい話になんだよ
父親それは言えねーなそこまでオメーを信用しちゃいねーからよ
・スペシウム探偵事務所
歩で、結局理由はわからず
うなずく、健三郎と優一
小林聡美さん風N「つまり、 健三郎君のお父さんは、料理人になるのは構わない。 ただ、店は継がせない。 一方、優一君のお父さんは、料理はしなくていい。 が、店は継げ。 そして、それが中華街のためになるらしい で、二人とも、肝心の理由は教えてくれない うーん…なんで?」
歩結局、理由はわからずじまいだったので今後、正式に調査に入りますここまで秀樹君大丈夫?
秀樹全然大丈夫じゃない、書くの全然追いつけてない君たち喋るの早過ぎ
歩どれどれ…えーと…自宅食堂でお父さんがキリンビールを飲んで「あーうめー」ってまだここかよ?(健三郎振り向いて)しかもキリンビールなんて言ってないよね
健三郎言ってませんし実際に飲んでたのはアサヒスーパードライでした
歩いい!いいって!アサヒスーパードライに書き直さなくてもいいです!もう書記いいや、そこ座っててくださいロンパールームのぬいぐるみのようにiPhone回してるから、記録は大丈夫だからで、なんですが…まずは想定しうる、可能性を考えてみましたまず真っ先に浮かぶのか…(マーカーでホワイトボードに書く)はい!これね(ホワイトボードには「地上げ」の文字)「地上げ」普通に考えると、まぁこれ関連じゃね?って思うよね
(聞き込みの様子インサート)・歩、健三郎、優一と3人中華街を巡りながら、 それぞれの店前でメモをとる歩。
・中華街の住人らしき人々に聞き込むをする3人。
小林聡美さん風N「なので、秀樹君がこの事務所を探している間、 若手3人で、周辺のお店を中心に聞き込みをしたんです。 でもね、中華街にはその手の話は 常に大なり小なりあるものの、 特別な「何かが起きている」と感じている人はゼロ。 不動産情報誌や、ネット上の情報からも、 特に地価や物件が高騰していると言う事実はない。 つまり、、、」
歩収穫はゼロ…。です今の所なので、不動産屋の聞き込みなど引き続き、地上げの調査も続けはしますが…地上げ以外で、これは!?と思いつく事はないかしら
一同腕組みしながら考えるしばしの沈黙が事務所を包む
秀樹あのさ…(挙手をして自信なさげに話し始める)これはね、例えばなんだけどさ………
バンっ!突然ドアが開いて、店長が飛び込んでくる
店長ちょ、ちょ、ちょっとちょっと山口君すぐ来て、お店お店!早く早く、いいから来て来て!!
店長、秀樹の腕を掴んで部屋の外に引っ張って行こうとする
秀樹えっ、えっ?ど、どうしました?お店?また万引き?あの女子高生、結構可愛いのにねぇなんで万引きなんか………
秀樹を引っ張って外に連れ出そうとする店長
店長いや、違う、怪我人怪我人怪我人が、車から………いいから早く
秀樹怪我人?車?
ドタドタと部屋の外に転がるように出ていく二人
健三郎なんだ?なんでしょ歩さん
歩わからん…が、我々も行こう怪我人がいるなら人手が必要かもしれない!
全員駆け足で部屋の外に
空っぽの事務所
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シーン6 その時、事件は動いた
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・コンビニの駐車場男性が倒れているその脇で片膝をついて介抱しようとしている店長と秀樹夜のせいか周囲に通行人やコンビニのお客さんはいない
男を抱き抱えて起こそうとする店長と秀樹
男あっ、イテテ、痛ってー ちょっと触らないで、痛い、大丈夫だから
駆けつけてくる歩、健三郎、優一
優一(男を見るなり目を逸らして)うっわーひでぇ、ひでぇなこりゃ血だらけじゃんよ
男は頭から出血しているのか、顔の半分から胸まで血に染まっていた
歩これって一体どういう状況?おかしいでしょ色々と
(回想インサート)車が止まり、ドアから男性を放り投げて逃げる様子(ノイズあり)
店長急に車が止まったと思ったら、ドアが開いてこの人放り出して、急発進で行っちゃった
優一ってか、陳さんじゃん!(健三郎に)なっ、陳さんだよな
健三郎(優一に手で落ち着くように促し)わかってる、わかってる店長さん、担架、担架ないんですか?
店長コンビニに担架は常備してないよ
歩だめ!動かさない!それより救急!私、事務所にスマホ置いて来ちゃったんで誰か持ってる人お願い 急いで!
優一、慌ててスマホをデニムの尻ポケットから取り出す
男(陳 豪 ”チン・ハオ”)ちょ、ちょっと救急車はダメ、やばいやめて
歩そうはいかないよ!優一君、早く!電話して!
陳ダメだ!頼む
秀樹歩ちゃん、何か事情がありそうだ(健三郎・優一を見て)彼らの知り合いみたいだし…一旦事務所に運ぼう
歩(陳に)本当に大丈夫なの?歩ける?
陳(うんうんと頷いて)だ、大丈夫だ‥
歩が陳の両腕へ手を入れて、そっと抱き起こした
男が横たわっていた地面に
何かが落ちているのを見つけた歩
素早く上着の中に隠す
男は辛うじて立ちあがったが、右足ががくんとなり
するどく呻きながら、崩れるように坐りこんだ
歩(脛を軽く触って)右足の脛だね折れてはないと思うけど…ヒビくらい入ってるかもね健三郎君、事務所行って毛布とってきて
毛布の上に横たわった陳陳を乗せた毛布の四隅を歩、秀樹、健三郎、優一が毛布を手に巻くように持って階段を上がっている店長が事務所のドアを開けて待っている
事務所のベッドに毛布ごと陳を下ろす4人
歩よしと、秀樹おじさんお水飲ませてあげて店長さん、ちょっと…(店長を部屋の隅に連れて行って)(小声で)店長さん、元 伊勢佐木警察署勤務でしたよね?この管内に、話のわかるお医者さんっていませんか?
店長心当たりない訳じゃないけど…普通の医者じゃダメなの?
歩(上着の裾を開いて)これ(ズボンの腰に刺してあったナイフを、手に取って見せる)刃渡20センチはあるもちろん銃刀法違反だしこれはただの喧嘩じゃなさそう
店長確かにな、彼を医者に見せたら警察に連絡される可能性はあるな頭の傷は?
歩彼の傷は刃物じゃない、このナイフも使った形跡はないだから届ける義務はないと思うけど………でも、届けるよね、普通の医者なら
店長仮に刃物であっても、義務ではないんだがこのケースでは届ける医者の方が多いだろうなどうも、あまり気は進まんが…彼らの知り合いって事なら…まぁ心当たりの医者に連絡取ってみるよ
歩お願いします(陳が横になっているベッドに戻る歩)
秀樹(歩に話しかける)ずいぶん慣れてんだな、こういったことの処理にさ
歩前に言ったでしょノルマンディ上陸作戦にも行ったしパリのレジスタンスのアジトに一週間寝泊まりしたこともあるって他にも色々ね
秀樹タイムリーパーやってんと、色々とあるわけか
歩そいういこと 普通じゃないことが色々(男に向かって)喧嘩なの?なんで刺そうと思ったの?
男くっそー ナイフ返せよ
歩だーめほらお医者さんきたよ
駆けつけた医師の治療を受ける陳インサート(ノイズあり)
小林聡美さん風N「男の名は陳 豪 ”チン・ハオ”といい、年は25。驚いたことに優一の店「香港金龍軒」の隣、台湾料理「陳記台湾」の次男である。 10代の頃はそこそこヤンチャで、健三郎、優一の印象は おっかない兄ちゃん。 今でも、できれば近づきたくない存在らしい。 店は長兄が継いでおり、彼は地元テレビ局のアルバイトとして、 一応は…真面目に働いている、と本人は言っている。 店長が呼んだ医者に診てもらうと、傷は頭に二カ所、肩から背中、腰、足 などに5,6カ所あって、刃物の傷はなし。 棒か何かで撲(なぐ)られたらしく、脛の骨にはやはりヒビが入っていた
医師訳ありの患者って言うから来てみたらハオか最近大人しくしてると思ってたけどな…相変わらずなのか?
陳(頭下げながら)真面目にやらせてもらってますありがとうございました
医師一応処置はしておいたから、命に関わるような怪我ではないが念の為、しばらくは安静にな
身の回りを片して、ドアを出て行く医師
歩先生ありがとうございました(健三郎、優一に)お知り合いみたいね隣り合った3軒が勢揃いってわけだね
健三郎、優一あいまいに頷く
歩さて、彼が事の真相に一番近そうだけど…その前に秀樹おじさんさっき何か言いかけてたよね
(回想)
一同腕組みしながら考えるしばしの沈黙が事務所を包む
秀樹あのさ…(挙手をして自信なさげに話し始める)これはね、例えばなんだけどさ………
バンっ!突然ドアが開いて、店長が飛び込んでくる
・現在の事務所
歩あの時何を言おうとしてたの?
秀樹いや、まさに彼の実家の話だよ君んとこ、お店の前に「台湾屋台」いわゆる小吃(シャオチー)出してるよね
健三郎、優一「そうそう」と頷く
秀樹昨日、変なチンピラに屋台めちゃくちゃにされてたろ高校生くらいの売り子の女の子ショックで泣いてたよなあれ君の妹さん?
陳くっそーあいつらぶっ殺してやる
秀樹だから、この二人の店だけでなく隣の台湾料理店にも異変が起きているのかなと
歩秀樹おじさん図星だったみたいだねさすがコンビニ歴40年
秀樹それ関係ないしねぇ店長
店長ワシ、もっと関係ないし
歩さてと、うちの若手2人組はちょっとあなたにビビっちゃって、近づきにくいみたいなんで…私が代わりに聞きたんですけど
陳なんだよ
歩今お隣の2軒で起きてる親子間の揉め事についてはご存知?
陳家を継ぐ継がないの親子喧嘩だろ?あんだけギャーギャーやってりゃーないやでも聞こえてくるよ
歩聞こえるだけではなくて、あなたのお家を含めたあの地域一帯に起きている問題だから知っているんじゃないの?
陳地域一帯ってわけじゃぁねーけどなまぁな
歩当然彼らにも関係あることよね
陳まぁな、大アリだな結構、隠したりしないで目立つ形で聞き込みとかしてたろあれ、連中にバレてんぞだから連中、俺をこの事務所の前に捨ててったんだよ見せしめと警告にな
歩なるほど思ったよりめんどくさいことに私たちは足を突っ込んでたってわけね
陳まぁそう言うことになるな(健三郎、優一に)親父さんたちは、お前らを巻き込みたくなくて黙ってたんだよ それなのに
健三郎(恐々と)でも、家族のことならどうして建造おじさんは知らなかったんですか?建造おじさんが歩さんに依頼したんだ建造おじさんにも言えないお店の秘密って…
陳そうだな、親父さんは家族・一族に迷惑かけないで自分だけで解決する気だったんだろそう言った意味では一番割に合わないのがこちらのお嬢ちゃんと、爺さんだな全くの無関係なのに巻き込まれちまった
歩嫌だ嫌だ、一族だどうだって話…何はともあれ、もう私たちも部外者じゃないってことだよねつまり、危険でもあるし、知る権利もある、と…
陳(ベッドに腰掛けようとして)痛っ!イテテ
歩横になったままでいいよ
陳いや、寝転んだままできる話じゃねぇんだ(健三郎、優一に)悪いけどな、起きるの手伝ってくれや
(健三郎、優一に抱えられて、起き上がる)(ベッドに腰をかけて)
陳さて、どこから話そうか?そうだな、話は105年前に遡るんだ
健三郎はぁー、105年前っていつ?
優一105年前の話?今と関係あるわけねーし
秀樹歩ちゃん跳んだことは?
歩跳んだ事はない…跳んだことはないけど…(呟く)105年前 大正10年関東大震災の2年前………か
小林聡美さん風N「さぁ、風雲急を告げてきましたよ。 105年前にいったい何があったのか? 関東大震災の2年前か…と普通に呟く18歳少女が一体どこにいる? ここにいるよ。 と言うわけで、いよいよ時かけ探偵の本領発揮か? いや!しかし事務所憲法はどうなる?」
(回想)
歩私は事件解決にタイムリープは使いませんから!絶対に!とりあえずこの国の憲法をいまここで決めます。(右手の平を顔の横に上げて)私、歩とパパとマーロウの矜持にかけてタイムリープとビフ・タネン方式は事件解決のためには使わないことをここに宣言いたします!
秀樹絶対に?何があっても?
歩自分都合では使いません!その方が楽だからとか、手っ取り早いとかただし正義と人命がかかっている時は例外とします
・現在の事務所
小林聡美さん風N「早くも、この国の憲法は破られてしまうのか?それとも…。 そして歩は深い推理の世界に入って行くのです」 パイプ椅子の上であぐらをかく歩両手の人差し指を頭の横に着けて、くりくり回す。
秀樹おーっ!出た、出ましたおぉ神よ!昭和40年男禁止の封印が解かれたぁー
優一歩さん、何やってんだ?
健三郎一休なんとか?らしい
引き続き両手の人差し指を頭の横に着けてくりくり回し続ける歩
(黒フェード)
続く
まだコメントはありません。最初のひとことをどうぞ。