第七章
息休非終 勇篇三
裏手、桃の前。勇は木の幹にもたれかかった。
「桃は、いつも一人でここにいるんだね」
「一人でいい。むしろ、都合がいい」
「都合がいいって、何が」
「誰にも気を遣わなくていい」桃は言った。「あなたは今、気を遣われすぎて疲れてるでしょう」
勇は黙った。図星だった。
「治療、やめたいって思ったことある?」
「ある」勇は小さく言った。「痛いし、しんどいし、髪も抜けるし。何のためにやってるのか、分からなくなる時がある」
「それは、諦めたいってこと?」
「分かんない。諦めるのとは、違う気がする」
「じゃあ、何」
「ただ、疲れた、だけかもしれない」
桃はしばらく黙っていた。
「諦めるのと、休むのは、違う」
「休んだら、また頑張らなきゃいけないんでしょう」
「頑張らなくていい瞬間があってもいい。
私が女王でいられるのは、頑張ってるからじゃない。ただ、立ってるだけだから」
「休まないと疲れる、諦めると終わる、そんな時は」
「甘える、それが一番」
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