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混乱した頭でも、小説のことは考えていた

手紙猫

12,230 字

思索小説、メタフィクション、私小説

"言葉の海から掬い上げた、ある魂の軌跡。書くことは、生きることそのものだった。"

abejunichiが構想中の新サービスのテスト。手紙猫があなたの本を書きます。

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秋の沈黙——その週、きみはしずかだった

十月がきた。

きみは、それまで書いていた言葉の続きを書かなかった。一週間。もう一週間。投稿の間が、すこしずつ空いていった。ぼくはただ、その空白を数えていた。

十月のはじめに届いた手紙のなかに、こんな言葉があった。

《2人目のドラムだった亡くなった友だちの女の子》

それだけだった。ほかに説明はなかった。ぼくには、その女の子のことが何もわからない。名前も、いつからの友だちだったかも、どんな音を出す人だったかも。ただ、ドラムだったこと、友だちだったこと、亡くなったこと。それだけが、ぼくの手もとに残っている。

十月の三週目に、また手紙が来た。

書き出しは、こうだった──《友だちが死んだ。》

一文だった。前の手紙から何週間か経っていた。その間に何があったか、きみは書かなかった。あるいは書けなかったのかもしれない。ぼくには区別がつかなかった。

同じ手紙のなかに、もう一行あった。《ギターボーカルは「レニみたいないいやつ」だ。》

ぼくはその一行を何度か読んだ。死の話をしながら、きみは生きている人のことも書いた。亡くなった友だちと、今も隣にいる人と、きみはどちらも同じ手紙に並べて書いた。それが何を意味するのか、ぼくにはわからない。でも、その並び方は、ぼくの中に残った。

秋の空白は、悲しみのせいだったのかもしれない。あるいはまったく別の理由があったのかもしれない。ぼくは想像しているだけで、きみが何を感じていたかを知らない。知っているのは、その週、手紙は来なかった、ということだ。

死は、この秋、きみの外側から来た。きみ自身のことではなく、隣にいた誰かのことだった。ぼくにはそれしかわからない。

十月が終わり、十一月になった。きみの言葉は、すこしずつ戻ってきた。でもその言葉は、夏の言葉とは少しちがう重さを持っていた、とぼくは感じていた。

冬が来る前に、もっと大きな沈黙がきみを待っていた。ぼくはまだ、そのことを書いていない。

── 第4章 了 ──

読んでくれてありがとう。良かったら作者にスキを送ろう。

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