← 作品ページへ戻る

忘却死生

連載中(書きかけ)

RYINN1110

25,028 字

異世界転生ファンタジー

"死と再生、そして忘却の果てに紡がれる、魂の旅路。"

捻れる。切れる。潰れる。裂ける。折れる。砕ける。何と形容すべきかわからない、限りなく多くの事象をこの身に受ける。何も聞こえない。何も見えない。何も判らない。唯、血の味を感じるだけ。 そうして僕は絶命した。のだが、気づいたら僕は真っ暗闇の中にいた。頭がはっきりせず、記憶は霞みがかって全く思い出せない。 そんな記憶を失った死者が生まれ変わり、新しく不思議な人生を謳歌する物語。

← 右から左へスクロール

第4話 消し炭

 初めて撃った魔法は水属性の「ウォータースプラッシュ」だった。よーくイメージして撃ったから失敗はしなかった。けど思っていたものとは違った。簡単に言えばイメージ以上の結果だった。難しく言うと?....なんて言えばいいのかわからない。僕の手から捻り出された水は真っ直ぐ鋭く勢いよくビームのように飛んでいき目前の木を真っ二つにへし折った。それでもなお飛び続け、もはやどこまで飛んだかわからないほどだった。
「えぇ....やっばぁ....これ....」
 2歳のガキンチョに与える力にしては強すぎやしませんか?しかもなんてったってこの魔法は最初の魔法。何十連続で撃ったってそう魔力がきれないような魔法だ。水属性が適性だった。うん。そうだ。きっとそうだ。そうじゃないとこうはならん。ほかの属性の魔法はもっと威力が弱いはずさ!そう信じ込んだのも束の間。次に撃った魔法、火属性の「ファイアーボール」は「ウォータースプラッシュ」で撃ち抜かれた目前の木を消し炭にした。証拠隠滅成功。じゃないよ!明らかにオーバーキルであり、死体蹴りだ。木がかわいそうだ。いやいやそうでもなくて!これはまずい。僕、とんでもない力を持ってしまっているかもしれない。戦争とかに人間兵器として送り出されるかもしれない。それはいやだ....けど魔法って面白い!もっとたくさん魔法の練習をしよう!よーし、じゃあ次は...土属性の...
「リン、何をしているんだ?」
 体が飛び跳ねる。突然声をかけられた。この聞き馴染みしかない声の主は、父さんだった。帰ってきちゃった、ちくせう。
「と、父さん、どうしましたか?」
「....魔術か?」
「い、い、い、い、いやぁ〜」
「父さん、帰る途中にな、変なものを見たんだよ。みんなの家からな、とんでもない水と炎が噴き出てたんだよ。」
「そ、そうですか〜そんな奇妙なこともあるんですね〜....」
 背中の後ろに本を隠して少しずつ後ずさりする。バレたら何させられるかわからない。人間兵器になんてされたくはない。早く逃げたい。
「....リン。」
「はぁい!」
 思わずびっくりしてしまった。
「リンがやったのか?いや、リンがやったんだな?」
 しばらくの間沈黙が流れる。父さんには魔法を撃つところをほぼほぼ見られている。背中の後ろの本にも多分気づいているだろう。全然隠せてないし。なによりこの目の前にある消し炭だ!あまりにも誤魔化しようがない。
「....はい、僕がやりました....すみません....」
「そうか....」
 父さんはこれ以外何も言わずに家の中に入って行った。これからどうなるんだろうと自分の将来を案じていると家の中から大きな声が聞こえた。
「テリー!リンが、リンが!もう2等魔術を!」
「ええ〜!」
 母さんの悲鳴のような驚く声が聞こえて少しして、走ってくるような音がした。
「リンくん!」
 家の扉を開けると同時に叫ぶように名前を呼ばれた。おそらく母さんの目にもこの消し炭が映っているだろう。あぁ、もうだめだぁ。
「あれ?あなた、このリンくんが持ってる本、子供用の本じゃない?5等魔術くらいしか書いてないやつ。」
「そうか?そうだとしたらリンは....リン、ちょっとその本渡してくれ。」
 父さんは僕から「はじめてのまほう」の本を受け取り裏表紙をみる。
「そうだな。テリーの言う通りこの本には5等魔術しか書いていないな。リン!」
「はい!」
 また急に呼ばれてビクッとする。
「リン、どの魔法を使った?」
「えーっと、ウォータースプラッシュとファイアーボールの2つです。」
「....本当か?」
「本当です。」
「....そうか。それならリンは魔術の天才なのかもしれないな。」
 父さんは少し考えてこう続けた。
「リン。あとで話したいことがある。父さんの書斎に来てくれ。」
「は、はい!」
「あと、その消し炭は片付けておいてくれ。」
「あっ、はい....」
 全然バレてました。ちくせう。

── 第4章 了 ──

読んでくれてありがとう。良かったら作者にスキを送ろう。

作品ページへ戻る

コメント

まだコメントはありません。最初のひとことをどうぞ。

しおりを挟みました