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彗星群

NOB

79,617 字

恋愛小説、成長物語、人間ドラマ

"不器用な二つの星が、互いを照らし、一つの群れとなる物語。"

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第4話 私、最低だ

 年が明けて、1999年。
 冬が深くなるにつれて、田澤の気配がだんだん遠くなっていた。

 最初の頃は、頻繁にあった連絡も減ってきていた。

「いま、書きたいものがたくさん出てきた」

 電話の向こうでそう言われた時、志織は笑って「いいじゃん」と答えながら、胸の奥がきゅっと縮む。

 彼の言葉は、一番惹かれたものだ。
 それが増えることは嬉しいはずなのに、その言葉が自分ではないところに、向かっていくのがわかる。

 志織も動き始めていた。
 制作の現場に触れ、グラフィックの基礎を見習いとして学び始めた。
 紙の質感、文字の組み方、色の沈み方。
 覚えることが多くて、足が重い日もある。

 田澤は志織の話を聞くと、まっすぐ讃えてくれる。

「すごいよ、ちゃんと自分の考えを持って」
「志織さんが頑張ってるから、俺も頑張れるんだよ」

 誇らしい気持ちになる。
 しかし、いつの間にか、そんな言葉が重荷にもなりつつあった。
 常に、頑張る自分でいなければいけない。
 時には、甘えたいのに。

 そんな、ある日。
 田澤の元に、一通の封書が届く。
 その中身を見て驚愕した。

【最終選考作品選出通知】

平成十一年二月吉日

田澤幸弘 様

全日本映画協会

── 第4章 了 ──

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