第6話 成長
そこからは割とあっという間に感じる日々だった気もするし、気が遠くなるほど長い時間だった気もした。それだけ充実した毎日だった。
2歳。
魔術書を読んで魔術を学びつつ、父さんに勉強を教えてもらった。1回死ぬ前の感覚が残っているのか2歳に解かせる問題程度でつまづくわけがなかった。「こういう記憶は残ってるんだな」と思いつつどんどん解いていったら父さんも母さんも褒めながらも若干驚いたような表情を隠しきれていなかった。父さん、母さん、本当に変な子供ですみません.....
魔術の方は母さんから少しずつ教えてもらっている。母さんは僕が魔術書をもらったことは知らないようで、普通に4等魔術、3等魔術、と教えてもらった。母さんは2等魔術と1等魔術の少しまでは使えるらしい。あの意味わからん1等魔術を使えるのはすごいなぁ....当然魔術に関する座学もやった。魔術の等級は下から5等、4等、3等2等、1等、そして0等。0等に関しては1発撃ったら魔力切れになる上に使える人がほとんどいない魔術とのこと。文献ももうほぼないらしく、0等を使える人から直接習う以外の方法では身につけることができない。いつか使えるようになりたいけどなぁ....
そして、3歳。
ある程度身体が大きくなってきたのでいつもの勉強に加えて剣術も習い始めた。そんで、父さんにボコボコにされている。父さん、剣術、とんでもなく強い。
そして魔術の方。成長するにつれてついに属性ごとに若干ながら差ができるようになってきた。
「リンくん、」
「はい!」
「リンくんの適性、わかったわよ。」
「本当ですか!?」
「うん。というかリンくんも薄々気づいているんじゃないかしら。」
「そうですね、風属性でしょうか。」
「そうよリンくん!風属性!私と同じ!」
「え、母さんも風属性なんですか?」
「そうよ。こういうのって遺伝するものなんだ〜!」
と、まあ風属性でした。2歳の時の消し炭事件を思い出してしまう。水も火も適性じゃ無いんかい....終わったわ。なお最近の風属性の魔術の習得状況。3等魔術使ったら空飛べた。いや、飛んだってもんじゃ無い。打ち出された。すごい世界が見渡せて綺麗だった。ただ、見えてしまった。視界の端にほんの少し。真っ黒な、先の見えない場所。這い寄る闇。2歳の時に調べたことが記憶に新しい。「ルナ」だ。家からはある程度離れてはいるが、それでも世界の大きさに比べたら近い方だろう。そしてちっちゃな細いものが見えた。
「あれが....『巨塔』?」
見るからに異質だった。真っ黒の暗闇の中にそれは高く聳え立っていた。身体が震える。純粋たる恐怖。「巨塔」が放つ威圧的な感覚。そう震えていると、地面が近づいていた。
「うわぁ!ウィンド!」
反射的に魔術を撃つ。
「いててててて.....」
身体のあちこちをぶつけてしまったが、なんとか受け身を取れていたおかげで大きな怪我がなかった。普通に間に合わなかったら死んでいた。
「危なかったぁ....」
安堵していると遠くから母さんが走ってくる。
「リンくん!大丈夫!?」
「うん....ちょっと擦りむいただけ....」
「そっか、よかったぁ....急に飛び上がるんだから、びっくりしちゃったよ....」
「ごめんなさい。」
「いいのよ。だけど、次からは気をつけてね。」
「うん!」
なんとか間一髪、死なずに済んだ。ちょっと間違えてたら擦りむく程度ではすまなかっただろう。ただ、それを代償にいろんなものを見ることができた。それは大きな成果だろう。
4歳。変わらず母さんからは魔術を、父さんからは剣術と勉強を教えてもらった。勉強に関しては…教えられてるって感じでもない。そして風属性の魔術は2等魔術を使い始めるようになった。他の属性は3等魔術までは完全に使いこなせるようになった。剣術に関してはあまりまだ上達していない。体が小さすぎて剣を振るのでも精一杯だ。そこに父さんは容赦なく打ち込んでくる。まだ、僕の剣は父さんに一度も当たっていない。
5歳。魔術は全属性2等まである程度使えるようになってきた。
そして、誕生日。僕は父さんと母さんからプレゼントを貰った。
「リン、これ、父さんと母さんからのプレゼントだ。」
「5歳の誕生日、おめでとうリンくん。」
プレゼントは布に包まれた何かだった。
「リン、布を取ってみな。」
言われた通りに布を取る。その中身は杖だった。ただ、杖といっても木でできているわけではなく、金属のようなもので作られていた。先端には何かの鉱石、宝石?のようなものがはめ込まれていた。青く綺麗に輝いている。
「リンくん、これは魔杖まじょうって言って、魔術を使うのをサポートしてくれるのよ。」
魔杖と言われたその杖はあまりにも綺麗で見惚れてしまう。僕はこれと共にこれからこの世界を、この人生を生きていくだろう。
「ありがとう!父さん!母さん!大事に使うね!」
2人に感謝を告げて、机の上のケーキを美味しく頂くのであった…
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