エピローグ
芽衣は3つの誤算をしていた。1つ、ここまで複雑に絡み合った運命は、親殺し程度では解けない。2つ、人の脳はそんなに簡単には改変に適応できない。消えた人間に深く入れ込んでいた人なら尚更だ。そして3つ、結果的に芽衣は魁星のことを侮ってもいたのかもしれない。
「楠山さん、この資料どこに置いておきます?」
「ありがとう、そこに置いておいてくれる?」
相変わらず魁星はパラドクス研究所に主席合格し、仕事をこなしていた。が、脳裏には常にある女の子の姿が焼き付いていた。名前も知らないけれど、俺が助けなければいけなかった子。
「ん、これは?」
デスクに傷が付いていて、よく見ると文字になっている。気づかなかったな。
『芽衣を助けて』
それを見た瞬間、脳から溢れ出さんばかりの情報が流れ込んでくる。そうだ、忘れちゃいけなかったんだ。手の届かなかった、俺の最初で最後の想い人。
「今度こそ、助けるよ。」
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