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壁の向こうの少年

abejunichi

6,785 字

内面の成長を描く寓話的ファンタジー

"その扉は、君の内側からしか開かない。"

KID Aを改稿した児童文学版

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第6章 壁の外

壁の外には、壊れた町があった。

屋根のない家。割れた窓。道のまんなかに草が生えている。昔、人が暮らしていたあとが、風にふかれていた。風は、壁の中よりも強かった。強くて、少しだけ温かかった。

旅人たちに出会った。みんな、「すごい英雄」を探していた。でも誰も、それがどこにいるのか知らなかった。

「おれはずっと歩いてきた。でも、自分の影しか見えないんだ」

一人の旅人が言った。その旅人の靴は、底がすり減って、ほとんど裸足みたいだった。

僕は倒れそうになりながら、歩いた。のどが渇いて、足が重くて、なんども止まりそうになった。太陽がじりじりと首すじを焼いた。

そのとき、口から言葉が出た。あの歌だ。髪の長い少年とつくった、出鱈目の歌。意味なんてないのに、体が覚えていた。のどが声を覚えていた。

不思議と、足が動いた。

歩きながら、思った。外の世界には、壁がない。空はどこまでもつづいている。なのに、胸の中の壁はまだある。

外の壁をこえても、中の壁は残るんだ。

── 第7章 了 ──

読んでくれてありがとう。良かったら作者にスキを送ろう。

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