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忘却死生

連載中(書きかけ)

RYINN1110

25,028 字

異世界転生ファンタジー

"死と再生、そして忘却の果てに紡がれる、魂の旅路。"

捻れる。切れる。潰れる。裂ける。折れる。砕ける。何と形容すべきかわからない、限りなく多くの事象をこの身に受ける。何も聞こえない。何も見えない。何も判らない。唯、血の味を感じるだけ。 そうして僕は絶命した。のだが、気づいたら僕は真っ暗闇の中にいた。頭がはっきりせず、記憶は霞みがかって全く思い出せない。 そんな記憶を失った死者が生まれ変わり、新しく不思議な人生を謳歌する物語。

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第7話 崩壊

幸せだった。父さんと母さんは優しく、美味しいご飯を食べられて、たくさん寝れて。楽しかった…のに。6歳の時、それはいとも簡単に崩れ去った。
僕は相変わらず、母さんからは魔杖を活用して魔術を、父さんからは剣術と勉強を教えてもらっていた。母さんには一回湖にぶん投げられたりもしたが、いつもと変わらない日々だ。
それが変わったのはある日、父さんと剣術の練習をしていた時だった。
「はっ!とぉ!」
父さんと剣を打ち合う。今日こそは父さんから一本取る。その一心で全力で剣を振っていた。そして、今日はどんな巡り合わせだったのだろうか。大きく振りかぶって振り下ろした一撃は父さんの横腹を捉えた。
「や、やったぁ!父さんに当たった!」
剣術を習い始めて何年が経っただろうか。初めて剣を父さんに当てた。
「おめでとう、リン。上手くなったな。」
「ありがとうございます!父さん!」
父さんといろいろと話していたその時、家の前に誰かが来ていた。誰だろうか。父さんと一緒に見に行くと、来ていたのは郵便だった。
「おお、テオさんとそっちはリンお坊ちゃん。リンお坊ちゃんは久しぶりですなぁ。」
覚えている。彼は僕が生まれたばかりの時来ていた郵便だ。父さんの名前は彼が呼んでいたから知ったのだ。
「どうも、お久しぶりです!」
「礼儀正しい子だねぇ。ああ、そうだそうだ。これ、テオさん宛てのね。」
父さん宛ての郵便が届いていたらしい。父さんが受け取る。
「ここで開いてもいいか?」
「いいですとも。それはあなた宛ての手紙なのですから。」
「それもそうか。」
父さんが手紙を開ける。何か様子がおかしい。父さんが目を見開いて手紙を見ている。手が震えている。何かに驚いている…?
「どうしたのですか?父さん…」
「ああ、すまん。ちょっとな。」
「父さん、内容、話してください。父さんがそんな驚いて、動揺してるなんて、珍しいです。何か…あったんでしょう?」
「…わかった。だが母さんにも一緒に話す。だから、食卓で待っててくれ。」
「…わかりました。」
明らかに深刻そうな、険しい表情を浮かべていた父さん。いざとなったら僕が…父さんを困らせた元凶を倒そう。食卓に向かいながらそんなことを考えていた。

「で、あなた。どうしたの?急に全員集めて。」
「…戦争だ。」
「え?」
「…戦争がもうすぐ始まる。」
昔、いろんな本から知ったはずだ。共通の敵「ルナ」があるから、国同士が戦争することは少ないって。それなのになぜ…
「それでな。父さんは兵士として戦うことになった。…いわゆる徴兵だ。」
「父さん!」
「お、おう。リン、どうした?」
「父さんが…父さんが戦うなら!僕だって!たたk…」
「ダメだ。」
被せ気味に言う。
「リンはまだ子供だ。いくら魔術が達者とはいえそんな危険な真似はさせられない。今から母さんとリンはこの国の内部の方に逃げてもらう。ここは国境が近いからな。…戦場になるかもしれない。」
「そんな…!」
「父さん!」
「リン!ダメだ。これは命令だ。お前は母さんと逃げろ!一刻も早く!」
「嫌です!そんな父さんを見捨てたり…」
――突如、背後から爆発音が鳴り響いた。家に穴が空いている。
「リン!テリー!逃げるぞ!」
一斉に逃げ出す。が、遅かった。
「父さん!母さん!」
「「リン!」」
「行って!僕は、絶対に生きて戻るから!父さん母さんも絶対に!生きて!」
僕は捕まった。おそらく戦争してる敵国の人だろう。父さんと母さんのためにもここで時間を稼がなければ...!
「ウィンドバースト!」
僕が覚えている唯一の1等魔術。 ただ、これは敵に撃たない。足元に向かって放つ。家が吹き飛びながら土埃をまき散らす。

両親は逃げ切れただろうか。
できる限りのことはした。
もう、あとは祈るしかない。
僕の意識は切れた。

「聞こえてるかな?毎度毎度ごめんね。うん。聞こえてそうだ。よかった。」
あの懐かしい声だ。今度は4年ぶり。
「不安だよね。でも、大丈夫。君はまだ生きてるし、きっと両親も生きてるよ。準備は…あまり進んでなさそうだね。ゆっくりでいいよ。まだ大丈夫だから。いつか、全部思い出して、失ったもの全部取り返して....

また僕に会いにきてね。」

父さんと母さんのことを夢で見た。湖に投げられたことは特にインパクトが強かったが…なんか昔にも投げられた気がする。あれ?記憶にある最近の記憶と昔の記憶の湖の雰囲気が合わない。別の湖だろうか。けど、僕らの家の近くには1つしか湖はないし、それより遠くまで行ったことはない。じゃあこの記憶は一体…?もしかして生前の…?いやいやけど…そんなことがないとは言い切れなかった。きっと僕の記憶。生前の、幼少期の。だからだろうか。あの時デジャヴを感じたのは。記憶は失ってるけど感覚的な記憶は残っているのかもしれない。それならこれからも記憶が徐々に戻るんじゃないかな。そう思った。

「こら!ーーくん!そんなに暴れないの!こうなったら…えい!」
「わぁ!いててて…お母さんやめてよ!」
「ーーくんが暴れるからでしょ!」
「うっ…ごめんなさい。」
「いいのよ、お母さんもやりすぎたね。ごめんね?」
「うん!」

そんな楽しい記憶だった気がした。

── 第7章 了 ──

読んでくれてありがとう。良かったら作者にスキを送ろう。

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