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忘却死生

連載中(書きかけ)

RYINN1110

25,028 字

異世界転生ファンタジー

"死と再生、そして忘却の果てに紡がれる、魂の旅路。"

捻れる。切れる。潰れる。裂ける。折れる。砕ける。何と形容すべきかわからない、限りなく多くの事象をこの身に受ける。何も聞こえない。何も見えない。何も判らない。唯、血の味を感じるだけ。 そうして僕は絶命した。のだが、気づいたら僕は真っ暗闇の中にいた。頭がはっきりせず、記憶は霞みがかって全く思い出せない。 そんな記憶を失った死者が生まれ変わり、新しく不思議な人生を謳歌する物語。

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第8話 捕縛

目が覚めた。どうやら馬車の中のようだ。よかった、まだ生きていた、と思いながら目を開ける。あれ、手も足も動かない。よく見ると、縄で結ばれている。そうだ、僕は…敵に捕まったんだ。ちくしょう。なにも、できなかった。父さんと母さんが無事かどうかももはや祈ることしかできない。僕がちゃんと逃げれていれば。捕まらなければ。僕は魔術を使ってみんなで逃げることだってできたはずなのに。無力だ。
「おい、ガキ。起きたか。」
目の前にいるおそらく敵国の兵士であろう男が話しかける。
「…はい。」
「そうか、じゃあ…」
男が僕の胸ぐらを掴む。
「テメェの両親、どこに行った?」
「え…?」
「本当はテメェの両親を捕まえに…いや、消しにきたんだよ。なのにこんなちっせぇガキしか捕まえられずに…だが、テメェを餌にアイツらを釣る。」
「どうして僕の両親を…?」
「あ゛?知らねぇのか?テメェの両親はお前らの国での最大戦力であり元冒険者パーティ、『夢想』のメンバーなんだぞ?」
聞いたことはあった。「夢想」。僕の生まれた国の英雄的冒険者パーティ。約10年前に解散したが、それでもまだ熱狂的なファンがいるらしい。まさか父さんたちだったとは…
「で、早く吐きやがれ両親の居場所。子供を痛めつける趣味はねぇんだ。手荒な真似はしたくねぇぞ?」
「言いません。」
「は?」
「絶対に言いません。」
「は?何言ってんだテメェ。今お前が何に取り囲まれてるか分かってんのか?」
「はい。さっきの話を聞いて理解しました。」
おそらく、敵国の、最高戦力に近しい組織なのだろう。最初に家を襲った爆発もかなりの威力があった。相当な魔術師がいる。
「じゃあさっさと…」
「いえ、言いません。」
「テメェ…おいお前ら!」
男が仲間たちを呼ぶ。乗っていた馬車が止まる。僕を取り囲む。大体20人くらいだろうか。かなり多い。
「殺すなよ。痛めつけて嬲ってアイツらの場所を吐かせるんだ。殺れ!」
一斉に僕に向かって襲いかかってくる。手足は拘束されてるけど…
「ウィンド!」「ファイアボール!」
ウィンドで敵を吹き飛ばしつつ、ファイアボールで縄を焼き切る。手の方は切れた。あとは足!
「ファイアボ…」
腹に向かって拳が飛んでくる。避けられない!
「げほっ、げほっ!」
くそ!魔術を発動できない!そのまま僕は殴り続けられる。
「おらぁ!さっさと吐けやぁ!」
「調子に乗りやがってこのクソガキがっ!大人にかかればテメェみたいなガキなんて雑魚なんだよ!」
罵倒と脅迫の言葉を浴びされる。だが、こんなので屈するわけには…!
「おい、お前ら!ソイツを舐めんな!いくらガキだろうがアイツらの子供だぞ!」
最初の男が警告する。でも、遅い。口の周りに空間を作り、腹にダメージを入れられないように守った。
「ウィンド…バースト…!」
周りを巻き込みながら馬車が粉々に砕け散る。木片があたりに散乱し、土をも抉り飛ばす。竜巻のように僕の魔術は周りを破壊した。地面に向けて撃ったせいで自分の体は遥か上空に、男たちはあらぬ方向に吹っ飛ばされていった。

落ちる。落ちる。落ちる。落ちる!このままでは落下で死んでしまう!昔みたいに上手くちょうどいいタイミングで魔術を撃つしかない。ただ…今日撃ったのは1級魔術2発。3級1発に4級1発。1級2発の負荷が高すぎる。消費する魔力の量が多い魔術は使えない!だったら…
「ウォーターボール!」
僕は水での着地を試みた。イメージしろ。威力じゃなくて大きく、柔らかく、受け止めるように!

どうやら助かったみたい。なんとか死なずに着地できたが、流れ込んできた。捻れる。切れる。潰れる。裂ける。折れる。砕ける。何と形容すべきかわからない、限りなく多くの事象が、ありとあらゆる痛みが。痛みと体力切れと魔力切れに耐えかねて、僕は倒れた。

「おい!大丈夫か!大丈夫か!あぁ、くそ!心臓は動いてやがるが、息が浅い!今から医者のとこまで運んでやるからな!それまで生きてろよ!」
誰かの声がする。けど、この声は知らない人の声。あの夢の中で出てくる人の声じゃない。けど、あの男たちとは違って、父さんや母さんみたいに、優しい声だった。気を、失った。

── 第8章 了 ──

読んでくれてありがとう。良かったら作者にスキを送ろう。

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