まただ。またこの夢だ。
俺はいつも同じ夢を見る。
5年前にある事故が起きてから。
それが夢と関係するかは俺には分かってない。
毎朝何かわからないもどかしさを抱えながら、朝食すらロクに食べずに大学に通う。
そんな退屈な世界だった。
その日はバイトの給料日だった。
学費、食費、家賃を払うには十分な金額だった。
俺は余った少しばかりの給料で、少し贅沢しようと思った。
コンビニに着くと、ショートケーキを2つ手に取り、
レジへ通して、軽い足取りで家へ帰った。
少し詰まった鍵穴に鍵を差し込み、部屋に入る。
ケーキの封を開けると、スプーンが入っていなかった。
どうしていつもこう不運なのか。
台所から箸を取り出し、ケーキをかき込んだ。
1口頬張ると、絶妙な甘さが口の中を包み、
生クリームの香りが鼻から抜けた。
ただ、一人で食べるケーキは、いつもより美味しくなかった。
なんだか気持ち悪くて、もう1つのケーキは冷蔵庫に閉じ込めた。
好物もロクに食べられないほど孤独だった。
いつも誰かが左に居た。
いつも誰かが孤独を埋めてくれた。
いつも誰かが………
荻野蓮(22)
アパートの住人から、「隣の部屋のベランダに血のようなものが飛び散っている。」と通報を受け、警察が駆けつけると、果物ナイフで自分の咽頭を刺した姿で発見される。
彼は死の直前こう言い放った。
「夢を見たんだ。青い瞳の美しい人」
苺のショートケーキ-いつも誰かが
現代ミステリ・心理サスペンス
"甘いケーキが暴く、孤独と絶望の深淵。"
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