神の帰還
神の帰還
人の世は未だ曙の時代にあった。
人の最も古い種族として記憶は『隷属』である。かつてこの世界は、細長い瞳と青い肌を持つ人とは異なる種族“神人”と呼ばれる存在のものだった。神人は「混沌の神」をあがめ、様々な「魔法」を使った。神人の使役する精霊達はこの世界の自然に干渉し世界を楽園に変え、神人達が召喚した異世界の生命体はその強大な力で豊かさをもたらした。神人達の魔法はあらゆる奇跡を可能とする力だった。人類は神人達のお気に入りの奴隷として、魔法の恩恵を受け生活していた。
しかし、神人達はある時を境に姿を消す。
人類の歴史書は、
「主がここから去った」という一文から始められている。
人間達は突然神人の庇護を失った。魔法によって管理されていた楽園は、無秩序な自然の前にあっという間に崩壊した。コントロールを失った異世界の生き物が、人に牙をむいた。
人は自らの手で自分を守らなくてはならなくなった。
人という種がこの地上からなくならなかったのは、神人達の遺した恩恵のおかげだとある者は言う。人は自らを守る方法を求めて、主人の遺した城に入っていったのだ。人間は神人達の遺跡を盗み、そして大きな犠牲を払ってわずかな魔法や技術を学び、人の世界を作っていった。
異界の怪物はこの世界に順応し、野生化し、結果、超常の力を弱めていった。多くの魔法、技術が失われ、わずかに残った魔法と技術、富を独占した者達が国を作り、王を名乗り始めた。森を切り開き、土地を耕し、獣を駆逐し、じりじりと人間の領域は広がっていった。
こうして人の世界は始まったのであった。
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