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捨てられたビニール袋

DO

1,121 字

サイコロジカル・アーバンホラー

"雑音が、引き金を引いた。日常が壊れる、その一瞬。"

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見もしない朝の報道番組が流れる中、鹿嶋晴人は、母が焼いたトーストをくわえていた。

「あんた新しい会社は、どうなの……本当に困ったもんだ…」  

テレビも母の声も雑音だらけだった。

いつも通り靴を履き、いつも通りドアを開ける。
良く晴れた爽やかな朝日が晴人を照らす。
しかし、そんな朝日も晴人には邪魔くさく思えた。
いつもの道、いつもの電車  
そしていつもの会社……  

雑音だらけ
気の狂いそうなかで、ただやらなきゃいけない仕事を淡々とこなす。
マリオネットならまだマシさ。
ささやかな風にさえも抗えない捨てられたビニール袋のようだ。

くだらない……。

17時、定時間に席を立つと、雑音…
「おい、鹿嶋!資料は、出来たのか」  

無視。

「おい鹿嶋、鹿嶋!……ったく」


駅へと向かう途中行き交う人々  
ぶつかって来ても謝らない奴  
こっちが携帯見ててぶつかったのに謝ってくる奴  

変なの…。

駅前のベンチにため息をつきながら座り込む。  
眼鏡ごしに人混みを睨むように見る 。 

でかい声で騒ぐバカップル
てめえらも、俺と同じ底辺なくせして楽しそうにしてんじゃねえよ。
居ない人の悪口が止まらないママ友たち
そんなに嫌なのに何で直接言わない、嫌な奴らだ。
会社の愚痴で盛り上がるサラリーマン
マリオネットのくせして口だけは一丁前だ。

どいつも、こいつも
お前も…お前も…お前も…

目の前の光景に耐えきれずにため息交じりに空に視線を逃がす。
何処かへ旅立つ飛行機にも寝床に帰るカラスでさえも、なんだか幸せそうで腹が立つ。
段々と赤く染まって行く太陽にも馬鹿にされてるようだ
また…ため息…

ざわざわと街の雑音が増していき心に刺さる。

ざわざわざわざわ  

段々と街の風景が揺れて見えだす 。 

ざわざわ

増していく街の騒めきと心の騒めきがシンクロしていく。

壊れそうだ…………
壊れそう………
心が……
壊れる…

騒めきが頂点に達すると、パチンっとまるでブレーカーが落ちたように目の前が暗くなる


「おいお前!」
ドクンドクンと心臓の音が脳裏に響く、血の匂い、手がなんだか妙に暖かい。
問いかけに我に返った晴人の目の前には、何人もの人が刺され倒れている。

「武器を捨てろ」
警察官が晴人を囲む。

気が付けば晴人は、ナイフを手に立っていた。

ハハハ、何で可笑しいんだろ何故か笑える
警察に抑え込まれた晴人は、不敵に笑っていた。

── 了 ──

読んでくれてありがとう。良かったら作者にスキを送ろう。

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