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不死身

ryugai.

1,220 字

ダークファンタジー・王道バトル

"不死の魔王と、死を覚悟した勇者。その戦いの果てに、正義はどこにあるのか。"

なろうで投稿中の連載「ショートショート集」の中にある作品です。

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「ふははは! 効かぬ! 効かぬぞォ!! 私は不死属性を持っているからなァ!」

 氷室が今いるのは魔王城。
 仲間を犠牲に単身、何とか魔王の元までたどり着いた。

 ――しかし、目の前にいる魔王はいくら切っても斬っても死ぬ様子がない。

 それなのに、魔王が繰り出す攻撃は一撃一撃が致命傷だ。

(くそっ、どうすればいい?! 考えろ、考えろ! 思考を止めるな氷室!)

 注意深く、魔王を攻撃しながら観察しているとあることに気づいた。

「傷が、回復していない?」
「フッ、そうだ。 私はあくまで死なないだけだ。いつもは四天王が一人、アスクレピオスが回復魔法をかけてくれていた。まあ、お前の仲間に道連れにされたがな」

 魔王は声のトーンを落として親切に説明してくれた。
 そして一瞬だけ殺意が場を支配した。

「――っ! ⋯⋯それは、悪いことをした。だが! 私はここで敗れるわけには行かない!」

 それは、散っていった仲間のため、今までの犠牲者たちのため。
 怨嗟の連鎖を断ち切るため、そして愚かな民衆のために。

 そう言って聖剣を構えると聖剣が、氷室の黒髪が、全身が、真っ白に輝き出す。

「そうだ、勇者よ。これに和解など存在しない。どちらかが滅ぶまで終わらぬ! 勇者!」
「ああ、いくぞ!」

 両者は瓦礫を吹き飛ばして踏み込み、互いの武器を振り下ろす。

(互角っ!)

 力は拮抗し、武器の性能も同等。

 氷室が持つのは聖剣、これまでに散っていた者達、打倒してきた者達の思いを背負うモノ。
 魔王が持つのは魔剣、これまでに誕生した魔王達、そして敗れた者達の無念歴史を背負うモノ。

「っ!」

 先に限界を迎えるのは、氷室の方だった。

 氷室はここまで来るためにかなり消耗している。
 それにこの戦闘は一撃一撃が致命傷の氷室は、一瞬たりとも気を抜けない。

 しかし、魔王も無事ではない。
 氷室に切られた傷が痛むようで顔をしかめている。

「っ、はあ、どうした勇者! もう終わりか!? お前の力はその程度なのか!!」
「うっ、ぐはっ、⋯⋯ふっ、なわけねえよ。俺の力思いは絶対に負けない!!」

 動くたびに、骨が軋み、筋肉は断絶するような痛みを伴う。
 もう動く筈が無い、肉体を使い潰すような覚悟を決める。
 氷室の想い覚悟に応えるように聖剣は更に輝き出す。

「お前、⋯⋯死ぬ気か。なら俺もそれに応えようではないか!!」

 魔王が握る黒い魔剣が光を飲み込むように黒くなっていく。

「行くぞ。魔王!」
「ああ、全力で来い! 勇者!」

〜〜

 結末がどうなったかは、神だけが知っている。
 だが確かに、この2人の姿は多くの者の心を捉えて後世にまで語り継がれたという。

 そして、争いに正義など無いということ。
 どちらかが悪で、どちらかが正義ということがない事の象徴として、後世に伝わっている。

── 了 ──

読んでくれてありがとう。良かったら作者にスキを送ろう。

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