凍てついた音は、ぴくりともしない前足も、もう見えない瞳も抱きしめてしまった。太陽が何度沈んで、何度昇ったのか。第五億七万六千五百二十一の扉は、もう開かれてしまったのか。
どん、どん。どっ、どっ、どっ。
その音は早まっていく。鉄柱は何億になっただろう。墓標は木の枝ではきっと足りない。
どっどっ、どっどっ。どん、どん。
遠ざかる音は、やがて聞こえなくなった。
錆
心象風景を描く詩的SF掌編
"億の扉とひとつの死。凍てついた音だけが、世界に響く。"
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