干潮
だだっ広い空間だ。さぁ、と引き、さぁ、と何かを押し上げるように地面に打つ波は、雲が枠の外へ出て行って、太陽の独壇場となっている今、機械的に見えて仕方がない。今見えている地面にはいくつもの化石や骨や琥珀が埋まっていた。波が戻ってくる前に、急がなければならない。
ひとつ、一部にヒビ、欠損が見られる人骨。これは高値で売れる。
ふたつ、電子機器の化石。近くに人骨が見られることから、これの所有者なのだろう。売り捌けるほど価値はない。
みっつ、赤い瞳の小さな虫が閉じ込められた琥珀。その赤い瞳の虫は希少種だった。これはマーケットで高額で取引される代物だ。いや、オークションに出そうか。きっと一生遊んで暮らせる額が手に入るはずだ。
しかし、足が痒い。じりじりと照りつく太陽は頭上に移動していた。もうそこまで歩いてしまったか、風が歌い始め、ぞろぞろと波が戻ってきていた。高波が来る。
まだコメントはありません。最初のひとことをどうぞ。