水の国〈幻碧泱水〉のある公園で、ひとりの少女が雨に濡れながら泣いていた。アパタイトとパールは顔を見合わせ、話しかけることにした。
「何かあったのか?」
アパタイトがそう聞くと、少女は涙を流しつつも、少し顔を上げ、アパタイトたちの顔を見た。
「青いインクが滲んだ、古い切符を落としてしまったの。大事なものなの。」
それだけ言うと再び俯いて泣き出してしまった。失くしてしまったのか、この国に滞在する間に探し出してやろう。そう約束をしてその場を離れた。
「切符を落とした、というなら小さいものよね? 結構苦労しそうだわ。」とパールは悪態をつく。
「失せ物探しに最適な人を探せばいい。」とアパタイトは答え、来た道を戻り、屋台の匂いが充満する商店街へやってきた。串鹿肉の甲羅焼と蒸し水饅頭、餡掛けアザラシ……。
アパタイトは餡を掛けられているアザラシに話しかけた。
「青いインクの切符を知らないか?」
「おいしかった。」
「食べたのか?」
「食べてない。」
「嘘ばっかり! ここにいるアザラシみんな食いしん坊だもの!」
アザラシは身震いをして、屋台の上から落ちて転がって行った。そのまま店主に話を聞く。
「アザラシの言うことは信用しなくていいさ。悪戯するもんだから本当に食べちまおうかと思ったぜ。」
アパタイトとパールは顔を見合わせ、再び落とし物を探しに出た。
切符
寓話風ファンタジー
"雨の国で探す、青いインクの古い切符。手がかりは食いしん坊のアザラシ?"
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