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『特別仇討ち執行法』オリジナルver.

永遠のコメディ

39,618 字

社会派サスペンス、政治スリラー

"正義は消費され、エンターテインメントと化した。その狂気の中で、一人の男が己の良心と向き合う。"

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『特別仇討ち執行法』オリジナルver.

INTRODUCTION被害者遺族に、加害者を殺す権利を与える――。「特別仇討ち執行法」それは被害者の“救済”なのか。それとも、民衆の”正義”を煽り利用した国家主催のエンターテインメント型”処刑ショー”なのか。復讐は正義か?権力と民意が”正義”で結びついた時、この国が暴走していく姿を描いた、社会派サスペンスであり、政治スリラー。

そして、事件に巻き込まれていく人々の良心の物語。

STORY近未来の日本。政府は「古き良き日本らしさを取り戻す」という名目で、被害者遺族に加害者を殺す権利を与える法律――「特別仇討ち執行法」 を成立させた。

世論は熱狂し、メディアはそれを煽り、“正義”はついにエンターテインメントへと変わっていく。

そんな中、新日本テレビのディレクター・山本修司は、かつて自局の特番に出演予定だった歯科医・片山強が、この法律の最初の標的に選ばれたことを知る。

だが片山は、無実を訴えていた。あまりにも早すぎる逮捕、裁判、執行。その不自然さに違和感を覚えた山本は、弁護士・赤間とともに独自の調査を開始する。やがて二人がたどり着いたのは、

政権の中枢を揺るがす、あまりにも危険な真実だった――。

CHARACTER山本修司新日本テレビ制作部ディレクター。片山事件に違和感を抱き、弁護士・赤間とともに独自に調査を始める。

片山強歯科医。殺人罪で起訴され、「特別仇討ち執行法」最初の対象者に選ばれる。だが本人は一貫して無実を訴える。

赤間弁護士。飄々としているが、国家権力の危険な匂いを嗅ぎ分ける男。

種市希望内閣総理大臣。圧倒的支持率を誇るカリスマ首相。時代の空気と民意を自在に操る。

被害者の父娘を奪われた遺族。復讐の執行者として、国家と群衆の欲望の中心へ押し出されていく。

MESSAGEこれは仇討ちの物語ではありません。正義がどのように消費され、演出され、商品化されるのか。その過程を描いた物語です。

そして同時に、その異様な装置に抗おうとした一人の男が、最後に自分自身の立っている場所を知る物語でもあります。

『特別仇討ち執行法』

ーーーーーーーーーーーーーーーー1. 白画面(2001年10月)/小公園 ーーーーーーーーーーーーーーーー

・街角の小公園

・一人で砂場で遊ぶ山本修司(5)

(公園の入り口の方から、修司を呼ぶ声)

父親おーい修司!

修司あっ、お父さん

(父親に駆け寄る修司)

修司お帰りなさい

父親ただいま、修司

(ブランコで修司の背中を押す父親)

父親運動会は来週だね

修司うん

父親去年は一着だったよね速かったよなぁ、修司は

修司そうだよ、速かったんだ僕今年も一着になれるかな?

父親去年も一着だったんだ 今年もきっと一着だよ練習するか?

修司うん!

(かけっこの練習をする修司)

父親おー、去年より早くなってるよ今年もきっと一着だじゃあ一つ実験をしよう

修司実験?

父親早く走るには手を力一杯振るだろその時、手のひらはグー・チョキ・パーのどれが早いかな

修司やっぱりグーかな?

父親よし、実験だ

(グー・チョキ・パーでかけっこの実験をする二人)

修司やっぱりグーが早いね

父親そうだね運動会はグーで頑張るか

修司うん健くんにも教えてあげなきゃ

父親でもね修司、パーの方が速い子だって中にはいるんだよだったらその子はパーで走った方がいいだろこれを難しい言葉で『多様性』と言いますみんながそれぞれ自由にやってそれをみんなが認め合うことが一番大切なんだわかるかな?ちょっと難しいかな?

修司僕、分かるよ

父親そうか、良かっただから修司も、自分が生きたいように生きればいいってことじゃあ帰るか

修司うん!

(肩車しながら、夕陽の中を家に帰る二人)

父親今日はカレーかなぁ

修司うーん

父親そうだ、これもらってきたよ

(父親が赤い風船を手渡す)

修司ありがとう

(手渡そうとした風船が風に揺れ 二人の手からすり抜け 飛んでいってしまう)

修司あっ!

父親(少し笑顔で 少し残念そうに)行っちゃったな

修司行っちゃった

(夕焼け空高く飛んでいく風船 手渡し損ねた風船 肩車のまま見上げる親子)

修司(つぶやく)行っちゃった……

(父親が歩き出しながら口笛を吹き始める)「上を向いて歩こう」

(夕焼け空高く飛んでいく風船 手渡し損ねた風船)

(黒味にフェード)(口笛音声 ディバーブ処理でカットアウト)

ーーーーーーーーーーーーーーーー2. 自宅(2006年10月)/仏壇ーーーーーーーーーーーーーーーー

(蝉の声)・仏壇

山本Mフリーのテレビディレクターだった父親が死んだのは俺が小学五年生の時だった

・遺影

山本M自殺だった理由は今もわからない

(黒味にフェード)

── 第1章 了 ──

読んでくれてありがとう。良かったら作者にスキを送ろう。

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