「もういいかい?」
「まだだよ」の声が届かないほどの地の底に身を潜めているのでおそらく君は僕のことをもう二度と見つけられないだろう。
潜れば潜るほど暑くなると聞いていたけど、潜っても潜っても土は冷たく心地よい圧力で僕の身体を締め付けていた。
もっともっと潜れば僕の身体はとうとう潰れるかもしれない。
あるいは小さく小さく圧縮されて……種になるかもしれない。
種。そこで僕は芽吹きたいのだと気づいた。陽の光から遠ざかるように地の底の底まで潜ってきたのだけれど、本当は陽の当たるところへ帰りたいのかも。
「もういいかい?」
聞こえるはずのないその声は僕の幻聴だろうか。それとも僕と君を隔てる岩盤に穴をあけるほど君は僕のことを思ってくれているのだろうか。
「まだだよ」
僕の声が周囲の土に吸い込まれていくのを感じる。
「まだだよ」
僕は何度も叫ぶ。
「もういいよ」
唐突に聞こえたそれは僕の声ではなく、まるで岩盤を裂いて光が差し込むように僕の耳に刺さった。
かくれんぼ
内省的寓話ファンタジー
"地の底で芽生える、光への渇望と再会の声。これは、あなたの物語かもしれない。"
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