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「見慣れた」教室

きさまる

1,269 字

学園コメディ、ループもの

"「見慣れた」日常に潜む、絶望と笑いの無限ループ。"

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「ここは……」

 見慣れた光景、見慣れた人々。

 だけど不自然な光景、見慣れた人々の見慣れてはいけない行動。

 まただ。

 また戻ってしまった。

 俺は別の教室に移動するためにここから出て行ったはずだ。

 この見慣れた教室から。

 

 また戻ってしまった。

 また時間が、昼休みの始まった直後にまで巻き戻ってしまった。

 教室の中のクラスメイトが、見慣れた、全く同じ行動を始め全く同じセリフを話始める。

 このまま俺が何かアクションを起こさなければ永遠に昼休みをループし続けるだろう。

 

 この教室の昼休みに限定された、俺だけに起きる怪現象。

 今のところ、原因は全く不明。

 毎日起きる訳でもなく、定期的に起きる訳でもない、突然起きるので心の準備もできない。

 ただ、なにかアクションを起こしてクラスメイトの何かを変えないと、ループから抜け出せない事だけは判明している。

 最初にこれが起こった時は、ループの抜け出し方が分からずに絶望したものだ。

 巻き戻った時点で記憶以外、体調も体力もリセットされているので餓死する事はない。

 だが、とにかく同じことが何回も何百回も繰り返されることは精神を激しく消耗させる。

 変える「何か」はその時々で変わる。

 自殺を考えている友人の悩みを打ち明けてもらう、というとても重い事だったり、単純に隣の席のクラスメイトの忘れ物を教えるという些細な事だったり。

 さて、今回は何が問題なんだ?

 俺は教室を見渡す。

 不自然にならずにゆっくりと。

 クラスメイトに自分の行動に目を付けられて状況が悪化したことも「過去」あったから。

 

 そして見つけた、たぶん。

 だが今回のケースは過去最高難度の問題だ。

 どうしたものか。

 いや、やること自体は、行動自体はさほど難易度は高くない。

 ただ……。

 いや、でもやらなければ永遠にこのループから抜け出せない。

 だから結局は行動を起こさなければならないから、俺の決意の問題だ。

 くそっ、だが……。

 早くしないと昼休みが終わる。

 そうしたらまた最初からだ。

 どうせ「いつか」はやらなければいけないんだ。

 

 やれ。

 やるんだ俺。

 深呼吸をする。

 目を閉じる。

 口を堅くへの字に下げる。

 ようやく腹を決めた俺は、とあるクラスメイトに近づいていった。

 クラスカーストトップの美人女子生徒に。

「なに?」

 傍に立った俺に向かって、不審そうな表情でそう声を出す彼女。

 普段俺とは全く関りが無いから当たり前だ。

 でもやらなければ。

 意を決して俺は彼女に言った。

「スカートの後ろがめくれてパンツ見えてるよ」

 彼女の平手打ちが俺の頬に炸裂した。

 教室の時間が止まり、俺のループが終わったことが感じられる。

 そして、俺の今後の学校生活も終わった。

── 了 ──

読んでくれてありがとう。良かったら作者にスキを送ろう。

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