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シーン3 中華街で事件発生!
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・横浜・伊勢佐木町界隈をぶらぶら歩く2人
小林聡美さん風N
「横浜・伊勢佐木町界隈。 昔から、探偵事務所が似合う街」
秀樹さてどうする
歩
大体の目安はつけてあるんだ
やっぱこの辺り、伊勢佐木町界隈だと思うんだよな
秀樹
いま歩いてるこの辺りか……パッと見だけど…
ちょっとね…、治安的にどうなの?
歩
この界隈は昔から横浜で最もディープな地域だから…
黒澤明の「天国と地獄」見たことある?
秀樹
えっ!?あれこの界隈なの?
(秀樹全力否定)
無理無理無理無理、絶対無理!
俺、絶対無理だってぇ…10分と生きながらえる気がせんよ
歩
でも昔と比べたらだいぶ治安も良くなった!
とガイドブックに書いてあったぞよ
濱マイクの事務所も確かこの近くにあったしな
秀樹
ガイドブックかよ…「るるぶ」?それとも「歩き方」系?
歩
めんどいなー、関係あんのかよ、そんなこと
秀樹
「歩き方」の方がサバイブの知恵ありそーだが
「るるぶ」は出てる時点で安心そうじゃん
歩
じゃ、「るるぶ」で
秀樹
ならなんとか…、とはいえさー雰囲気が…ねぇ
結構ビビりながら歩いてるよ俺
何が自慢って、腕力ないことだからな俺は
何かあったら、歩ちゃんおいて一目散しちゃうかもだよ?
歩
いや、秀樹は絶対にそれはしないな
そっち選ぶなら、コテンパにやられちゃう方選ぶ人だよ
そこはわかってんだ私
秀樹
(ちょっとくすぐったい)
さて、どうですかね…
歩
まぁ青葉区や都筑区でマダムの浮気相談案件に明け暮れるか?
この界隈でドーンと派手な事件を手掛けるのか?
マーロウならどっちだと思うよ?
秀樹
まあこの界隈だろうな
で、悪徳警官に殴られるんだな、ブラックジャックで(笑)
歩
そう言うこと(笑)
まずはともあれ腹ごしらえだな
せっかくの横浜だ、中華街でランチといこう
・中華街
中華料理店に入る2人。
看板「四川楼」。
座席に向かい合って座るやいなや、歩メニューも見ずに即注文。
歩
お姉さん、麻婆豆腐定食2人前ね
秀樹
(珍しく自己主張)
えっ!?俺、ベロがすっかりラーメン餃子だったんだが
歩
分かってないな秀樹くん
(入り口の方を親指で指して)
入り口に書いてあったろ”四川”って
”四川”ときたら麻婆食べなきゃ話にならんよ
秀樹
(すぐに主張引っ込めちゃう)
まぁ、麻婆も好きなんで良しとします
歩
四川の麻婆はさサンショの辛さが
バチーんとくるぞ、バチーんとそこが美味いんだ!
って実はこの店、パパと前に来たことがあって
麻婆めっちゃ美味いんで秀樹おじさんにも食わせたかったわけ
店内に所狭しと貼ってあるメニューを眺めながら、料理が出るのを大人しく待つ二人。
秀樹
スゲェなメニューの数
歩
こういう店が美味い! なんでも出てきて、なんでも美味い!
ってパパが言ってた
厨房の奥がなんだかザワザワしてきたと思ったら「怒鳴り声」
健二
親の言うこと聞けねーんだったら出てけ!
健三郎
やだね、だったらオメーが出てけ!
健二
なんだとこのクソガキが!誰の家だと思ってんだバーカ!
健三郎
俺の家でもあんだよバーカ!バーカ!
お皿の割れる音2連発 ガシャーン、ガシャーン。
歩
今、割れたね、皿
秀樹
2皿割れた、多分我々の麻婆ちゃんだろ
歩
なぜそんなこと分かる?
秀樹
だって今、店には我々しかいないだろ?当然我々の皿だろうよ
歩、お運びの女性に聞く
歩
そうなの?
女性、伸びをしながら後ろを振り返り、厨房を覗き込む
振り向いて親指立てて「グーっ」を2人に見せる
秀樹
(ちょっと得意)
ホラ、やっぱ
その間も飛び交う怒声
歩
(少し腰を浮かせて)
止めなくていいんですか?止めましょうか?
女性
最近しょっちゅうコレ、止めてもいい…ケド多分止まんない
高校生くらいの少年と父親らしき中年男性が、
取っ組み合いながら出てくる。
健三郎
なんだこの野郎
健二
それはこっちのセリフだよ、なんなんだよこの野郎
健三郎、父親の手を振り払って
健三郎
このオンボロ中華、継ぐ継がないで、なんで毎回こうなるんだよ
もういいよ、お客さんもいるし、ちょっと出てくるから
頭冷やしとけクソ親父
乱暴にドアを開けて店を出ていく健三郎
ドアをバン!と閉めそうになって
客がいるのに気づき、そっと閉める
歩、秀樹に耳打ちをする。
歩
これは幸先良く、って感じですか?
秀樹
えっ、何が?
歩
初仕事の匂いがするんだな、私には
秀樹
こんな親子喧嘩、探偵の出る幕じゃないだろうよ
歩
いやいやわからんよ、秀樹くんも仕事にはもっと
貪欲にならないと
秀樹
そんなもんかね?
歩
待っていても仕事は来ないよ
私ちょっとあの彼氏追いかけるから
秀樹おじさんは、親父さんから事情聴取しといて
言うなり店を飛び出す歩、少年の姿はもうどこにも見当たらない、走って店に戻る歩。
歩
お姉さんお姉さんこんな時、彼の行きそうな場所分かります?
女性
まぁ大体、山下町公園だと思うヨお店出て左
まっすぐ行くと右側の公園、中華っぽいからすぐ分かる
歩
サンキュ!ちなみに彼の名前は?
女性
健三郎ネ
歩
ありがとー
再び勢いよく店を飛び出す歩。小走りで公園を探す。
歩
(公園を発見、スピードダウンして歩く)
これだな?これだろ
確かに中華中華してんなこの公園
・山下町公園
一人でベンチに座ってる少年を発見、近づきながら、
いきなり声をかける歩。
歩
よう、健三郎くん
健三郎
(一瞬びっくりして振り向いて)
な、なんだよ、誰だよあんた?
歩
いま店にいた客でーす、客
健三郎
あっ、そりゃどうも。すみませんでした騒がせちゃって
歩
客でもあるのだが、実はこう見えても探偵でもある!私は
健三郎
ずいぶん若い探偵さんですね、俺と同じ歳くらいじゃないの?
歩
今年の3月に高校卒業したばかり
健三郎
あぁ、じゃあいっこ年上ですね、俺いま高三だから
でも本当に探偵なの?
歩
今週中にはそうなる予定で、探偵に何か依頼はないかしら?
健三郎
そうだなぁ、じゃあ依頼はともかく
本当に探偵だったら、さっきの喧嘩の原因推理できる?
歩
年上の女探偵を舐めてはいけないわよ、そうね……
歩、両手の人差し指を頭の横に着けて、くりくり回す。
健三郎
なんすかそれ?
歩
私もよく知らないんだけど、去年亡くなった私のパパとか
さっき一緒にいたおじさんとか
昭和40年男が、何か考える時に良くやるポーズなんだが……
推理にいいのかな?
「健三郎、健三郎」と近くに座っていた還暦男が
健三郎を手招きする。
健三郎
なんだよ、建造おじさん
健三郎、おじさんの傍に座ると、
おじさんが耳元でゴニョゴニョ。健三郎、歩の隣に戻ってきて。
健三郎
おじさんによるとそれは、アニメで一休さんが
トンチを捻り出す時にやるポーズらしいよ
(おじさんに振り返って)
ってか一休さんて誰よおじさん
歩
私も誰っ?て感じですが、推理は出来ました
健三郎
多分間違ってると思うけど、教えてください
歩
あなたは、あの中華料理店を継ぎたいと思っている!
健三郎
おっ!
歩
最初は喜んでいたお父さんは、最近になって急に
ダメ継がせないと言い出した!
健三郎
すげえ!当たり!大抵の人は逆を言うのに
歩
そうね世間で良く聞くのは、親は継がせたい
子どもが嫌だ、俺は俺のやりたいことをやりたい
ってパターンだわね
健三郎
そうそう、なんで喧嘩してたんだ?当ててやろうか?
っていう人はみんなそっちなっ優一、お前んちもそうだもんな
近くのベンチに座っていた少年に話しかける健三郎。
優一
そうそう、うちはまさにそれ、で、最後はいつも大喧嘩
でも健三郎んちは逆だな、珍しいパターン(笑)
健三郎
こいつんち、うちの隣で店やってて、俺ら幼なじみです
優一
んちわ、香港料理屋の一人息子っす
歩
一人息子じゃぁ、お父さんも後継いで欲しいかもね
優一
でも親父は最近まで『継いでも継がなくてもどっちでも……』
って言ってたのに急に『絶対に継げ!』って
それはそれで妙なんだよな。まぁ俺はゼッテーに継がねーけど
歩
確かに、健三郎くんちと正反対
これはこれで考えるべき問題な気がしてきたぞ
優一
まぁうちの場合は、単なる親父の気まぐれの気もすっけど……
歩
もちろんそうかもだけど……隣あったお店で
同じ時期に、全く反対なことが起きるってなんか不自然というか
”結果は逆だけど根は一緒”的な感じもするんだよなぁ
お父さん同士も仲は良いの?
健三郎
親父たちも幼なじみ同士で、特に仲悪くはないけど……なっ
優一
でも、仲良いってほどでもねーよな
でも大人になったら、そんなもんじゃねーんすか?
歩
私もまだ18だからねぇ、どうなんだろうねそのあたりって
にしてもこの公園って、あなたの知り合いだらけなんだね
健三郎
そう、中華街で生まれ育って
小さいときからみんなここで遊んで
お店で働き出したらここで休憩
歳を取ったら毎朝ここで太極拳、だもんな
優一
中華街ってね、ちょっとした小宇宙なんすよ
住んでる人間からすっと
それにしても、お姉さんなんで分かったんすか?
健三郎んちの喧嘩の原因
歩
私、歩っていうんだ
お気に入りの名前だから、歩って呼んでもらえると嬉しいよ
健三郎
じゃあ歩さんの推理を教えて
歩
お店の奥のテーブルに、調理師専門学校のパンフが置いてあった
で、願書が完全に記入済みだったの
健三郎
確かに…、前に書いたまま置きっぱだったわ
歩
壁にかかっていたお父さんの調理師免許の隣に
同じ専門学校の卒業証書が飾ってあった
お父さんが、その学校を卒業したことを
誇りに思っているからでしょ
健三郎
そそそっ、その通り
歩
最初は、あなたが同じ道に進むことを嬉しく思ってたから
願書も書かせた
でも最近になって態度が急変で、毎日大喧嘩。どう?
健三郎
お見事!当たりです
歩
さあ!どう?なぜお父さんが心変わりをしてしまったのか?
私に調査を依頼する気になった?
健三郎
それを知りたいのは山々なんだけど
高校生ですからね、依頼費が払えないです(優一に)なっ
優一
そうな、それに金払ってまで知りてーって話でもねーしな
歩
我が事務所、記念すべき最初のお客様ということで
出世払いも考えなくもないわよ
「健三郎、健三郎」と近くに座っていた還暦男が健三郎を
手招きする。
健三郎
なんだよ建造おじさん
健三郎、おじさんの傍に座ると、
またもおじさんが耳元でゴニョゴニョ。
健三郎、歩の隣に戻ってきて。
健三郎
建造おじさんがちょっと話があるってさ
歩と健三郎、建造おじさんの隣に移動して。
歩
はい、お伺いします
建造
私はこの健三郎の叔父で建造と言います
健三郎の父親である健二の長兄にあたります
歩
はい
(会話の様子と再現V)
小林聡美さん風N
「”四川楼”は元々建造さんたちのお爺さん、
健三郎くんのひいお爺さんが始めたお店。
本来長男である建造さんが継ぐのが道理ですが、
若い頃、少々道を外れていた時期がありまして。
そんなこんなで、現在本家を継いでいるのは、
健三郎くんの父親である、次男の健二さん。
三男四男の下の兄弟2人は、それぞれ横浜市内で四川料理店を
経営しているんだとか」
建造
私は兄弟の経営する3軒の店舗を
グルグルと回りながら、面倒を見てもらってます
お恥ずかしながら、いわば厄介者でして
親子喧嘩取っ組み合いの様子インサート(音声ノイズあり)
小林聡美さん風N
「あたかもリア王のような建造さん。
彼から見ても、健二さんの急変ぶりは腑に落ちないという。
あれだけ健三郎さんが後を継ぐことを望んでいた弟の心が、
なぜ、急に、変わってしまったのか?」
建造
私も若い頃は少々無茶をやっていたクチですので
健二の心変わりに、危ない何かを嗅ぎ取ってしまうんです
何か尋常でない理由がある、そんな気がしてならない
依頼費は私が負担しますので弟の心変わりの理由を
探ってはいただけませんでしょうか
歩
分かりました!喜んでご依頼に応えさせていただきます
でも…本当に私なんかでいいんですか?
ぶっちゃけ素人っすよ、ほぼほぼ
建造
お願いします、先ほど立派な推理も伺ったし
何より、社会の裏を中途半端に見過ぎた探偵さんより
あなたが適任だと感じたものですから
歩
はぁ…それはどうも…
・四川楼前
健三郎、建造と別れて店に戻ってくる歩。
シャッターを閉めた店前に佇む秀樹。
歩
はっはぁー、秀樹くんは交渉決裂だな
秀樹
まぁ、そういうこった
歩
ちゃんと私立探偵だって名乗ったの?
秀樹
そんな嘘はつけないよ、だって正式にはまだじゃん
要らぬ詮索お断り!ってことで……
シャッターガラガラ……ピッシャーン
歩
そうか、まあ当然だね、それはそれでいいや
とりあえず私は依頼を受けてきたから
秀樹
まじかぁ…
(ガックリのポーズ)
早くも歩ちゃんに、おんぶに抱っこの予感?
歩
まぁまぁ、そこは持ってる人か、持ってない人か、だからさ
しょうがないってことで、ネッ
私は早速、明日から着手するから
事務所探しの方、秀樹おじさんよろしく頼む
・翌日、歩、健三郎、優一と3人中華街を巡りながら聞き込み、
それぞれの店前でメモをとる歩。
・不動産屋の内見で物件についていく秀樹。
・別の物件内見の秀樹。
・書類に記入する秀樹。
・中華街の住人らしき人々に聞き込むをする3人。
・契約書に印鑑を押す秀樹。
・階段を降りて、事務所を後にする秀樹。
通りに出て2階にある事務所を振り返って…。
秀樹
よし!歩ちゃんびっくりするかなぁ?
軽い足取りで歩き出す秀樹。
翌日、秀樹に案内されやってきた歩。
・コンビニ前
歩
さぁどんな事務所かな?秀樹君が選んだ事務所は、さぁ行こう!
秀樹
もう着いてるよ、ココだよ目の前
歩
ん?コンビニじゃん、事務所に案内してよ
事務所だよ事務所
秀樹
だからここだよ、ここの2階
歩
あー、コンビニの2階…なのね…
まぁね、それはそれで便利かもしれないね何かと…ね
夜食とかすぐ買えちゃうしつーか、本当にコンビニ好きなんだね秀樹君はさ
咳払いが聞こえるうぉっほん!うぉっほん!
歩
ん?何やら聞き覚えのある咳払いが…
店長、歩の後ろから挨拶
店長
こんにちは、うぉっほん!うぉっほん!
歩
(びっくりして飛び上がる)
うわっ!!びっくりした
うっわー咳払い、耳にかかったぁ、やめて…
(振り向くとそこには…)
アレェー、店長さん?
秀樹
そうなのよ、ここも店長さんが持ってるフランチャイズ店なの
だから格安で貸してくれちゃったのさ
歩
あっそう、そうなんだ
(店長に意外とペコペコする歩)
あっ、その節は、すっかりわがまま言っちゃって
すみませんでした
店長
いやいや、あんなに礼儀正しくお願いされちゃそりゃぁねぇ
おまけに、逆に退職金までいただいちゃって…
秀樹
で、しばらくは探偵事務所での収入見込みがつかないでしょ
だから、探偵の仕事ない時は、ここで働かせてもらうことにした聞いて驚け!最低賃金プラス200円!200円!
(右手と左でピースサイン)
2ばーい、2ばーい(満面の笑)
歩
(引き攣った笑顔で)
あーーー、そう…よかったね…
歩M
2ばーい、2ばーい、じゃねーよ
どんだけ好きなんだよ、コンビニの仕事
秀樹
でね、この方元々は伊勢佐木警察署の
生活課に勤めてたこともあってさ
歩
えっ?探偵業の届出するとこじゃんですよね?
店長
そうね開業の1日前に出せばOKです
秀樹
まぁ届出に、口聞くもなんも無いけどさ
この界隈の治安とかに詳しいのって魅力じゃね
歩
秀樹ぃー
(サムズアップして)
ナイスジョブ!
秀樹
(胸を撫で下ろす)
良かった、歩ちゃんに怒られるんじゃ無いかとヒヤヒヤだったよ
歩
ちょっと、やめて下さい、人を鬼上司みたく言うの
(店長に)
ねぇ、ひどいでしょ、こんなに優しいのにねぇ…
あっ、店長さん、ちなみにあの時お渡しした100万って…
店長
あー、あれね、あっという間
怖いねぇ競馬
歩
(秀樹を脇で突いて超小声で)
大丈夫なん?この店長?
店長
まぁとにかく、うちイートインあるんでね中でコーヒーでも、ね奢りますよ
歩
いやいや、私が全員分払いますんで………
楽しげにコンビニに入って行く3人
(黒にフェード)
⸻⸻
シーン4 祝!開所祝い!!そして、招かれざる客
⸻⸻
・事務所外観
・事務所ドア
歩
さあ、いよいよオープンだね
秀樹
だな
健三郎
ワクワクですね!
優一
俺らまで、なんかすんません
秀樹
ってか、なんでこの2人?いるの?
歩
今バイトで調査手伝ってもらってるの、まぁ準所員ってことで
お祝いだもん、2人きりよか多い方がいいでしょ?
秀樹
そりゃまぁそうだな、よしやるか!
歩
ではでは、掲げますよ我々の旗を
4人で入り口に看板を掲げる
「スペシウム探偵事務所横浜支部」
歩
どうだ!
秀樹
素晴らしい!やる気がグンっと出てきたぞ!
歩
なんか変な名前ではあるけどね
今更だけどスペシウムって何よ?
(健三郎・優一に)
知ってる?
首をブルンブルン振る2人。
秀樹
スペシウム光線だよ、ウルトラマンの必殺技
(腕を十字に組んで)
これこれ、こんな感じでで、ここから光線がビーって…
歩
また昭和40年男かよ、知らねーし(笑)
(腕を十字に組んで)
腕組んで、ビーって言われてもなぁ
わかった?
若者二人、首をブンブン横に振る
健三郎
でも、あゆみさんがそのポーズすると可愛くていいです
歩
あれれ、やっぱ?
いやー、別にねぇそのつもりじゃなかったのになー
秀樹
無駄におだてなくていいから、ね気を遣うことないから
でね、これ説明するとなると、例の件が関わってくるのだが……まさかとは思うけど、この2人に例の件は伝えていないよね?
歩
例の件てアレの件?
秀樹
そう、タイムが……時間が……リープする的な……
歩
フツーに言ってあるけど、まずかった?
秀樹
やっぱそれはまずいんじゃないの……と思うがなぁ
だって一族で代々守ってきた秘密でしょ?
歩
私関係ないもん、あの一族とは縁切ったし
必要があれば、これからも誰にでも言うつもりですが
秀樹
(2人に)
で、君たちはタイムリープを信じたの?
健三郎
まぁ半信半疑というか…
優一
てか、信じないでしょフツー
証拠でもあれば別だけど
秀樹
(ちょっと安心)
そらそうだ(笑)フツーそうだ(笑)
じゃとりあえず進めるぞ。スペシウムとは?って話だったよね
スペシウム光線とは、ウルトラマンがピンチになると発射する
無敵のビームだよ
だったら最初から打てよ、つーのが昭和40年男の
共通ツッコミな訳
歩ちゃんもきっと困ったらタイムリープで
事件解決しちゃうんじゃないかなーと思ってさ
歩
しねーし!あのね、言っときますけど
私は事件解決にタイムリープは使いませんから!
絶対に!
とりあえずこの国の憲法をいまここで決めます
(右手の平を顔の横に上げて)
私、歩とパパとマーロウの矜持にかけて
タイムリープとビフ・タネン方式は
事件解決のためには使わないことをここに宣言いたします!
秀樹
絶対に?何があっても?
歩
自分都合では使いません!
その方が楽チンだからとか、手っ取り早いとか
ただし正義と人命がかかっている時は例外とします
秀樹
その正義と命がかかっているかは、誰が判断するの?
歩
本来は矜持を分け合っているパパかマーロウの役割ですが
どちらもいませんので、仕方がないので
秀樹おじさんとの合議制とします
私の独断では、ぜったーいの絶対に使わないことを誓います
秀樹
『仕方がないので』は不本意ですが、同意します
歩
それでは今ここに、スペシウム探偵事務所憲法が成立した!と
で、横浜支部ってのは?
秀樹
ちょっとでも、でっかい組織風の方が舐められないかな……と
歩
まっいっか、では頑張りましょう!
とりあえず乾きもんと寿司とジュース用意したんで
開所祝いを、形だけでもやりましょうよ
言い終わるか終わらないかのタイミングでドアチャイムが鳴る「ブーッ!ブーッ!」
秀樹
幸先いいねぇ、早くもお客さんかな?
秀樹、ドアに歩みよりドアを開けながら
秀樹
ハイハーイ!
開けるや否やドアを閉め、クルンとこちら側に向き直る秀樹。
秀樹
歩ちゃんまずい!ヒジョーにまずい!!
き、来た……いきなり来た
歩
なんだよ大袈裟だな
秀樹、泣きそうな顔で首をブルンブルン降って、
ドアの方をツンツン指さして
秀樹
大袈裟じゃない、俺一度しか会ったことないけど……
多分、いや絶対間違いない!
歩
なんだよ、大袈裟だっつーの、ったく
と言いながらドアを開ける歩、ドアを開けた瞬間固まり…、
かろうじて一言
歩
あっ!お、おばあちゃん……こ、こんにちは……
祖母
ハイこんにちは、何そのお顔は?
鳩が実弾喰らって絶命したみたいなお顔だわよ
素早く気を取り直して迎撃体制に入る歩
歩
ご無沙汰しておりました、1年ほどになりますかしら
祖母
11ヶ月と3日です
歩
あー11ヶ月と3日……あーなるほどなるほど…
で、今日は、いかがいたしましたか?
祖母
表向きは事務所開設のお祝いですわよ(笑)
歩
なのに手ぶら…ふーん(笑)
いやーお気遣いいただいてありがとうございます(笑)
で、裏向きは?(笑)
祖母
裏向きであり、本音は警告……(笑)
わかってるわよねぇ(笑)
歩
警告からどうなると、宣戦布告になりますの?(笑)
祖母
まぁ、警告に従わなかった場合は……(笑)
即時…かしらねぇ(笑)
歩
警告は、事務所を閉じなさい!(笑)
タイムリープは口外無用・他言無用!絶対に!!(笑)
ということでよろしいですか?(笑)
祖母
今日は警告だけ、では失礼するわね(笑)
本当にこの界隈は空気が悪いこと、ごめんあそばせ(笑)
祖母後ろ手にドアを閉める、最初はそっと、最後はバン!
ドアの音に4人全員ビックっとする。顔を見合わせる秀樹と歩。
「なになに?」「どうしたの?」という表情の高校生二人
健三郎
えーっと…歩さん…誰?
歩
んー、んー、まぁね…気にしないで行こう
っね、乾杯しよ、乾杯
(ガサゴソとレジ袋からビールとジュースの缶出して)
秀樹おじさんはビールでいいわよね
我々は一応ジュースで、ね
(秀樹に)
一応年配者ということで…お願いします
秀樹
あっ!あぁ、そ、そうね、年長ね
では、我らが事務所の開所を祝って……か、カンパーイ……
全員
カンパーイ…
なんだか盛り上がらない乾杯
秀樹
じゃ、とりあえず…俺は下で働いてくるわ
決して逃げるわけではなく、ね仕事だよ仕事、じゃ
歩
ハイ!じゃ、さ、お寿司つまも、ね
わぁお寿司だお寿司だ
静かに寿司をつまむ3人。
歩
あーやだ、こうして神妙にお寿司つまんでると
パパのお葬式思い出しちゃうわ
シーンとした室内。黙々と寿司をつまむ3人。
小林聡美さん風N
「パパのお葬式を思い出している、 お姉さんとつまむ寿司。
高校生二人にとってどんな味だったのか?
多分、砂の味だったと思われる」
シーンとした室内。黙々と寿司をつまむ3人。
(黒フェード)
続く
まだコメントはありません。最初のひとことをどうぞ。