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第2話:発端は中華街にあり『タイムリーパーあゆみ:ヨコハマ探偵物語』

連載中(書きかけ)

永遠のコメディ

9,880 字

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⸻⸻

シーン3 中華街で事件発生!

⸻⸻

・横浜・伊勢佐木町界隈をぶらぶら歩く2人

小林聡美さん風N
「横浜・伊勢佐木町界隈。 昔から、探偵事務所が似合う街」

秀樹さてどうする

歩
大体の目安はつけてあるんだ
やっぱこの辺り、伊勢佐木町界隈だと思うんだよな

秀樹
いま歩いてるこの辺りか……パッと見だけど…
ちょっとね…、治安的にどうなの?

歩
この界隈は昔から横浜で最もディープな地域だから…
黒澤明の「天国と地獄」見たことある?

秀樹
えっ!?あれこの界隈なの?
(秀樹全力否定)
無理無理無理無理、絶対無理!
俺、絶対無理だってぇ…10分と生きながらえる気がせんよ

歩
でも昔と比べたらだいぶ治安も良くなった!
とガイドブックに書いてあったぞよ
濱マイクの事務所も確かこの近くにあったしな

秀樹
ガイドブックかよ…「るるぶ」?それとも「歩き方」系?

歩
めんどいなー、関係あんのかよ、そんなこと

秀樹
「歩き方」の方がサバイブの知恵ありそーだが
「るるぶ」は出てる時点で安心そうじゃん

歩
じゃ、「るるぶ」で

秀樹
ならなんとか…、とはいえさー雰囲気が…ねぇ
結構ビビりながら歩いてるよ俺
何が自慢って、腕力ないことだからな俺は
何かあったら、歩ちゃんおいて一目散しちゃうかもだよ?

歩
いや、秀樹は絶対にそれはしないな
そっち選ぶなら、コテンパにやられちゃう方選ぶ人だよ
そこはわかってんだ私

秀樹
(ちょっとくすぐったい)
さて、どうですかね…

歩
まぁ青葉区や都筑区でマダムの浮気相談案件に明け暮れるか?
この界隈でドーンと派手な事件を手掛けるのか?
マーロウならどっちだと思うよ?

秀樹
まあこの界隈だろうな
で、悪徳警官に殴られるんだな、ブラックジャックで(笑)

歩
そう言うこと(笑)
まずはともあれ腹ごしらえだな
せっかくの横浜だ、中華街でランチといこう

・中華街

中華料理店に入る2人。
看板「四川楼」。
座席に向かい合って座るやいなや、歩メニューも見ずに即注文。

歩
お姉さん、麻婆豆腐定食2人前ね

秀樹
(珍しく自己主張)
えっ!?俺、ベロがすっかりラーメン餃子だったんだが

歩
分かってないな秀樹くん
(入り口の方を親指で指して)
入り口に書いてあったろ”四川”って
”四川”ときたら麻婆食べなきゃ話にならんよ

秀樹
(すぐに主張引っ込めちゃう)
まぁ、麻婆も好きなんで良しとします

歩
四川の麻婆はさサンショの辛さが
バチーんとくるぞ、バチーんとそこが美味いんだ!
って実はこの店、パパと前に来たことがあって
麻婆めっちゃ美味いんで秀樹おじさんにも食わせたかったわけ

店内に所狭しと貼ってあるメニューを眺めながら、料理が出るのを大人しく待つ二人。

秀樹
スゲェなメニューの数

歩
こういう店が美味い! なんでも出てきて、なんでも美味い!
ってパパが言ってた

厨房の奥がなんだかザワザワしてきたと思ったら「怒鳴り声」

健二
親の言うこと聞けねーんだったら出てけ!

健三郎
やだね、だったらオメーが出てけ!

健二
なんだとこのクソガキが!誰の家だと思ってんだバーカ!

健三郎
俺の家でもあんだよバーカ!バーカ!

お皿の割れる音2連発 ガシャーン、ガシャーン。

歩
今、割れたね、皿

秀樹
2皿割れた、多分我々の麻婆ちゃんだろ

歩
なぜそんなこと分かる?

秀樹
だって今、店には我々しかいないだろ?当然我々の皿だろうよ

歩、お運びの女性に聞く

歩
そうなの?

女性、伸びをしながら後ろを振り返り、厨房を覗き込む
振り向いて親指立てて「グーっ」を2人に見せる

秀樹
(ちょっと得意)
ホラ、やっぱ

その間も飛び交う怒声

歩
(少し腰を浮かせて)
止めなくていいんですか?止めましょうか?

女性
最近しょっちゅうコレ、止めてもいい…ケド多分止まんない

高校生くらいの少年と父親らしき中年男性が、
取っ組み合いながら出てくる。

健三郎
なんだこの野郎

健二
それはこっちのセリフだよ、なんなんだよこの野郎

健三郎、父親の手を振り払って

健三郎
このオンボロ中華、継ぐ継がないで、なんで毎回こうなるんだよ
もういいよ、お客さんもいるし、ちょっと出てくるから
頭冷やしとけクソ親父

乱暴にドアを開けて店を出ていく健三郎
ドアをバン!と閉めそうになって
客がいるのに気づき、そっと閉める

歩、秀樹に耳打ちをする。

歩
これは幸先良く、って感じですか?

秀樹
えっ、何が?

歩
初仕事の匂いがするんだな、私には

秀樹
こんな親子喧嘩、探偵の出る幕じゃないだろうよ

歩
いやいやわからんよ、秀樹くんも仕事にはもっと
貪欲にならないと

秀樹
そんなもんかね?

歩
待っていても仕事は来ないよ
私ちょっとあの彼氏追いかけるから
秀樹おじさんは、親父さんから事情聴取しといて

言うなり店を飛び出す歩、少年の姿はもうどこにも見当たらない、走って店に戻る歩。

歩
お姉さんお姉さんこんな時、彼の行きそうな場所分かります?

女性
まぁ大体、山下町公園だと思うヨお店出て左
まっすぐ行くと右側の公園、中華っぽいからすぐ分かる

歩
サンキュ!ちなみに彼の名前は?

女性
健三郎ネ

歩
ありがとー

再び勢いよく店を飛び出す歩。小走りで公園を探す。

歩
(公園を発見、スピードダウンして歩く)
これだな?これだろ
確かに中華中華してんなこの公園

・山下町公園

一人でベンチに座ってる少年を発見、近づきながら、
いきなり声をかける歩。

歩
よう、健三郎くん

健三郎
(一瞬びっくりして振り向いて)
な、なんだよ、誰だよあんた?

歩
いま店にいた客でーす、客

健三郎
あっ、そりゃどうも。すみませんでした騒がせちゃって

歩
客でもあるのだが、実はこう見えても探偵でもある!私は

健三郎
ずいぶん若い探偵さんですね、俺と同じ歳くらいじゃないの?

歩
今年の3月に高校卒業したばかり

健三郎
あぁ、じゃあいっこ年上ですね、俺いま高三だから
でも本当に探偵なの?

歩
今週中にはそうなる予定で、探偵に何か依頼はないかしら?

健三郎
そうだなぁ、じゃあ依頼はともかく
本当に探偵だったら、さっきの喧嘩の原因推理できる?

歩
年上の女探偵を舐めてはいけないわよ、そうね……

歩、両手の人差し指を頭の横に着けて、くりくり回す。

健三郎
なんすかそれ?

歩
私もよく知らないんだけど、去年亡くなった私のパパとか
さっき一緒にいたおじさんとか
昭和40年男が、何か考える時に良くやるポーズなんだが……
推理にいいのかな?

「健三郎、健三郎」と近くに座っていた還暦男が
健三郎を手招きする。

健三郎
なんだよ、建造おじさん

健三郎、おじさんの傍に座ると、
おじさんが耳元でゴニョゴニョ。健三郎、歩の隣に戻ってきて。

健三郎
おじさんによるとそれは、アニメで一休さんが
トンチを捻り出す時にやるポーズらしいよ
(おじさんに振り返って)
ってか一休さんて誰よおじさん

歩
私も誰っ?て感じですが、推理は出来ました

健三郎
多分間違ってると思うけど、教えてください

歩
あなたは、あの中華料理店を継ぎたいと思っている!

健三郎
おっ!

歩
最初は喜んでいたお父さんは、最近になって急に
ダメ継がせないと言い出した!

健三郎
すげえ!当たり!大抵の人は逆を言うのに

歩
そうね世間で良く聞くのは、親は継がせたい
子どもが嫌だ、俺は俺のやりたいことをやりたい
ってパターンだわね

健三郎
そうそう、なんで喧嘩してたんだ?当ててやろうか?
っていう人はみんなそっちなっ優一、お前んちもそうだもんな

近くのベンチに座っていた少年に話しかける健三郎。

優一
そうそう、うちはまさにそれ、で、最後はいつも大喧嘩
でも健三郎んちは逆だな、珍しいパターン(笑)

健三郎
こいつんち、うちの隣で店やってて、俺ら幼なじみです

優一
んちわ、香港料理屋の一人息子っす

歩
一人息子じゃぁ、お父さんも後継いで欲しいかもね

優一
でも親父は最近まで『継いでも継がなくてもどっちでも……』
って言ってたのに急に『絶対に継げ!』って
それはそれで妙なんだよな。まぁ俺はゼッテーに継がねーけど

歩
確かに、健三郎くんちと正反対
これはこれで考えるべき問題な気がしてきたぞ

優一
まぁうちの場合は、単なる親父の気まぐれの気もすっけど……

歩
もちろんそうかもだけど……隣あったお店で
同じ時期に、全く反対なことが起きるってなんか不自然というか
”結果は逆だけど根は一緒”的な感じもするんだよなぁ
お父さん同士も仲は良いの?

健三郎
親父たちも幼なじみ同士で、特に仲悪くはないけど……なっ

優一
でも、仲良いってほどでもねーよな
でも大人になったら、そんなもんじゃねーんすか?

歩
私もまだ18だからねぇ、どうなんだろうねそのあたりって
にしてもこの公園って、あなたの知り合いだらけなんだね

健三郎
そう、中華街で生まれ育って
小さいときからみんなここで遊んで
お店で働き出したらここで休憩
歳を取ったら毎朝ここで太極拳、だもんな

優一
中華街ってね、ちょっとした小宇宙なんすよ
住んでる人間からすっと
それにしても、お姉さんなんで分かったんすか?
健三郎んちの喧嘩の原因

歩
私、歩っていうんだ
お気に入りの名前だから、歩って呼んでもらえると嬉しいよ

健三郎
じゃあ歩さんの推理を教えて

歩
お店の奥のテーブルに、調理師専門学校のパンフが置いてあった
で、願書が完全に記入済みだったの

健三郎
確かに…、前に書いたまま置きっぱだったわ

歩
壁にかかっていたお父さんの調理師免許の隣に
同じ専門学校の卒業証書が飾ってあった
お父さんが、その学校を卒業したことを
誇りに思っているからでしょ

健三郎
そそそっ、その通り

歩
最初は、あなたが同じ道に進むことを嬉しく思ってたから
願書も書かせた
でも最近になって態度が急変で、毎日大喧嘩。どう?

健三郎
お見事!当たりです

歩
さあ!どう?なぜお父さんが心変わりをしてしまったのか?
私に調査を依頼する気になった?

健三郎
それを知りたいのは山々なんだけど
高校生ですからね、依頼費が払えないです(優一に)なっ

優一
そうな、それに金払ってまで知りてーって話でもねーしな

歩
我が事務所、記念すべき最初のお客様ということで
出世払いも考えなくもないわよ

「健三郎、健三郎」と近くに座っていた還暦男が健三郎を
手招きする。

健三郎
なんだよ建造おじさん

健三郎、おじさんの傍に座ると、
またもおじさんが耳元でゴニョゴニョ。
健三郎、歩の隣に戻ってきて。

健三郎
建造おじさんがちょっと話があるってさ

歩と健三郎、建造おじさんの隣に移動して。

歩
はい、お伺いします

建造
私はこの健三郎の叔父で建造と言います
健三郎の父親である健二の長兄にあたります

歩
はい

(会話の様子と再現V)

小林聡美さん風N
「”四川楼”は元々建造さんたちのお爺さん、 
 健三郎くんのひいお爺さんが始めたお店。 
 本来長男である建造さんが継ぐのが道理ですが、 
 若い頃、少々道を外れていた時期がありまして。 
 そんなこんなで、現在本家を継いでいるのは、 
 健三郎くんの父親である、次男の健二さん。 
 三男四男の下の兄弟2人は、それぞれ横浜市内で四川料理店を
 経営しているんだとか」

建造
私は兄弟の経営する3軒の店舗を
グルグルと回りながら、面倒を見てもらってます
お恥ずかしながら、いわば厄介者でして

親子喧嘩取っ組み合いの様子インサート(音声ノイズあり)

小林聡美さん風N
「あたかもリア王のような建造さん。 
 彼から見ても、健二さんの急変ぶりは腑に落ちないという。 
 あれだけ健三郎さんが後を継ぐことを望んでいた弟の心が、 
 なぜ、急に、変わってしまったのか?」

建造
私も若い頃は少々無茶をやっていたクチですので
健二の心変わりに、危ない何かを嗅ぎ取ってしまうんです
何か尋常でない理由がある、そんな気がしてならない
依頼費は私が負担しますので弟の心変わりの理由を
探ってはいただけませんでしょうか

歩
分かりました!喜んでご依頼に応えさせていただきます
でも…本当に私なんかでいいんですか?
ぶっちゃけ素人っすよ、ほぼほぼ

建造
お願いします、先ほど立派な推理も伺ったし
何より、社会の裏を中途半端に見過ぎた探偵さんより
あなたが適任だと感じたものですから

歩
はぁ…それはどうも…

・四川楼前

健三郎、建造と別れて店に戻ってくる歩。

シャッターを閉めた店前に佇む秀樹。

歩
はっはぁー、秀樹くんは交渉決裂だな

秀樹
まぁ、そういうこった

歩
ちゃんと私立探偵だって名乗ったの?

秀樹
そんな嘘はつけないよ、だって正式にはまだじゃん
要らぬ詮索お断り!ってことで……
シャッターガラガラ……ピッシャーン

歩
そうか、まあ当然だね、それはそれでいいや
とりあえず私は依頼を受けてきたから

秀樹
まじかぁ…
(ガックリのポーズ)
早くも歩ちゃんに、おんぶに抱っこの予感?

歩
まぁまぁ、そこは持ってる人か、持ってない人か、だからさ
しょうがないってことで、ネッ
私は早速、明日から着手するから
事務所探しの方、秀樹おじさんよろしく頼む

・翌日、歩、健三郎、優一と3人中華街を巡りながら聞き込み、 
 それぞれの店前でメモをとる歩。

・不動産屋の内見で物件についていく秀樹。

・別の物件内見の秀樹。

・書類に記入する秀樹。

・中華街の住人らしき人々に聞き込むをする3人。

・契約書に印鑑を押す秀樹。

・階段を降りて、事務所を後にする秀樹。 
 通りに出て2階にある事務所を振り返って…。

秀樹
よし!歩ちゃんびっくりするかなぁ?

軽い足取りで歩き出す秀樹。

翌日、秀樹に案内されやってきた歩。

・コンビニ前

歩
さぁどんな事務所かな?秀樹君が選んだ事務所は、さぁ行こう!

秀樹
もう着いてるよ、ココだよ目の前

歩
ん?コンビニじゃん、事務所に案内してよ
事務所だよ事務所

秀樹
だからここだよ、ここの2階

歩
あー、コンビニの2階…なのね…
まぁね、それはそれで便利かもしれないね何かと…ね
夜食とかすぐ買えちゃうしつーか、本当にコンビニ好きなんだね秀樹君はさ

咳払いが聞こえるうぉっほん!うぉっほん!

歩
ん?何やら聞き覚えのある咳払いが…

店長、歩の後ろから挨拶

店長
こんにちは、うぉっほん!うぉっほん!

歩
(びっくりして飛び上がる)
うわっ!!びっくりした
うっわー咳払い、耳にかかったぁ、やめて…
(振り向くとそこには…)
アレェー、店長さん?

秀樹
そうなのよ、ここも店長さんが持ってるフランチャイズ店なの
だから格安で貸してくれちゃったのさ

歩
あっそう、そうなんだ
(店長に意外とペコペコする歩)
あっ、その節は、すっかりわがまま言っちゃって
すみませんでした

店長
いやいや、あんなに礼儀正しくお願いされちゃそりゃぁねぇ
おまけに、逆に退職金までいただいちゃって…

秀樹
で、しばらくは探偵事務所での収入見込みがつかないでしょ
だから、探偵の仕事ない時は、ここで働かせてもらうことにした聞いて驚け!最低賃金プラス200円!200円!
(右手と左でピースサイン)
2ばーい、2ばーい(満面の笑)

歩
(引き攣った笑顔で)
あーーー、そう…よかったね…

歩M
2ばーい、2ばーい、じゃねーよ
どんだけ好きなんだよ、コンビニの仕事

秀樹
でね、この方元々は伊勢佐木警察署の
生活課に勤めてたこともあってさ

歩
えっ?探偵業の届出するとこじゃんですよね?

店長
そうね開業の1日前に出せばOKです

秀樹
まぁ届出に、口聞くもなんも無いけどさ
この界隈の治安とかに詳しいのって魅力じゃね

歩
秀樹ぃー
(サムズアップして)
ナイスジョブ!

秀樹
(胸を撫で下ろす)
良かった、歩ちゃんに怒られるんじゃ無いかとヒヤヒヤだったよ

歩
ちょっと、やめて下さい、人を鬼上司みたく言うの
(店長に)
ねぇ、ひどいでしょ、こんなに優しいのにねぇ…
あっ、店長さん、ちなみにあの時お渡しした100万って…

店長
あー、あれね、あっという間
怖いねぇ競馬

歩
(秀樹を脇で突いて超小声で)
大丈夫なん?この店長?

店長
まぁとにかく、うちイートインあるんでね中でコーヒーでも、ね奢りますよ

歩
いやいや、私が全員分払いますんで………

楽しげにコンビニに入って行く3人

(黒にフェード)

⸻⸻

シーン4 祝!開所祝い!!そして、招かれざる客

⸻⸻

・事務所外観

・事務所ドア

歩
さあ、いよいよオープンだね

秀樹
だな

健三郎
ワクワクですね!

優一
俺らまで、なんかすんません

秀樹
ってか、なんでこの2人?いるの?

歩
今バイトで調査手伝ってもらってるの、まぁ準所員ってことで
お祝いだもん、2人きりよか多い方がいいでしょ?

秀樹
そりゃまぁそうだな、よしやるか!

歩
ではでは、掲げますよ我々の旗を

4人で入り口に看板を掲げる
「スペシウム探偵事務所横浜支部」

歩
どうだ!

秀樹
素晴らしい!やる気がグンっと出てきたぞ!

歩
なんか変な名前ではあるけどね
今更だけどスペシウムって何よ?
(健三郎・優一に)
知ってる?

首をブルンブルン振る2人。

秀樹
スペシウム光線だよ、ウルトラマンの必殺技
(腕を十字に組んで)
これこれ、こんな感じでで、ここから光線がビーって…

歩
また昭和40年男かよ、知らねーし(笑)
(腕を十字に組んで)
腕組んで、ビーって言われてもなぁ
わかった?

若者二人、首をブンブン横に振る

健三郎
でも、あゆみさんがそのポーズすると可愛くていいです

歩
あれれ、やっぱ?
いやー、別にねぇそのつもりじゃなかったのになー

秀樹
無駄におだてなくていいから、ね気を遣うことないから
でね、これ説明するとなると、例の件が関わってくるのだが……まさかとは思うけど、この2人に例の件は伝えていないよね?

歩
例の件てアレの件?

秀樹
そう、タイムが……時間が……リープする的な……

歩
フツーに言ってあるけど、まずかった?

秀樹
やっぱそれはまずいんじゃないの……と思うがなぁ
だって一族で代々守ってきた秘密でしょ?

歩
私関係ないもん、あの一族とは縁切ったし
必要があれば、これからも誰にでも言うつもりですが

秀樹
(2人に)
で、君たちはタイムリープを信じたの?

健三郎
まぁ半信半疑というか…

優一
てか、信じないでしょフツー
証拠でもあれば別だけど

秀樹
(ちょっと安心)
そらそうだ(笑)フツーそうだ(笑)
じゃとりあえず進めるぞ。スペシウムとは?って話だったよね
スペシウム光線とは、ウルトラマンがピンチになると発射する
無敵のビームだよ
だったら最初から打てよ、つーのが昭和40年男の
共通ツッコミな訳
歩ちゃんもきっと困ったらタイムリープで
事件解決しちゃうんじゃないかなーと思ってさ

歩
しねーし!あのね、言っときますけど
私は事件解決にタイムリープは使いませんから!
絶対に!
とりあえずこの国の憲法をいまここで決めます
(右手の平を顔の横に上げて)
私、歩とパパとマーロウの矜持にかけて
タイムリープとビフ・タネン方式は
事件解決のためには使わないことをここに宣言いたします!

秀樹
絶対に?何があっても?

歩
自分都合では使いません!
その方が楽チンだからとか、手っ取り早いとか
ただし正義と人命がかかっている時は例外とします

秀樹
その正義と命がかかっているかは、誰が判断するの?

歩
本来は矜持を分け合っているパパかマーロウの役割ですが
どちらもいませんので、仕方がないので
秀樹おじさんとの合議制とします
私の独断では、ぜったーいの絶対に使わないことを誓います

秀樹
『仕方がないので』は不本意ですが、同意します

歩
それでは今ここに、スペシウム探偵事務所憲法が成立した!と
で、横浜支部ってのは?

秀樹
ちょっとでも、でっかい組織風の方が舐められないかな……と

歩
まっいっか、では頑張りましょう!
とりあえず乾きもんと寿司とジュース用意したんで
開所祝いを、形だけでもやりましょうよ

言い終わるか終わらないかのタイミングでドアチャイムが鳴る「ブーッ!ブーッ!」

秀樹
幸先いいねぇ、早くもお客さんかな?

秀樹、ドアに歩みよりドアを開けながら

秀樹
ハイハーイ!

開けるや否やドアを閉め、クルンとこちら側に向き直る秀樹。

秀樹
歩ちゃんまずい!ヒジョーにまずい!!
き、来た……いきなり来た

歩
なんだよ大袈裟だな

秀樹、泣きそうな顔で首をブルンブルン降って、
ドアの方をツンツン指さして

秀樹
大袈裟じゃない、俺一度しか会ったことないけど……
多分、いや絶対間違いない!

歩
なんだよ、大袈裟だっつーの、ったく

と言いながらドアを開ける歩、ドアを開けた瞬間固まり…、
かろうじて一言

歩
あっ!お、おばあちゃん……こ、こんにちは……

祖母
ハイこんにちは、何そのお顔は?
鳩が実弾喰らって絶命したみたいなお顔だわよ

素早く気を取り直して迎撃体制に入る歩

歩
ご無沙汰しておりました、1年ほどになりますかしら

祖母
11ヶ月と3日です

歩
あー11ヶ月と3日……あーなるほどなるほど…
で、今日は、いかがいたしましたか?

祖母
表向きは事務所開設のお祝いですわよ(笑)

歩
なのに手ぶら…ふーん(笑)
いやーお気遣いいただいてありがとうございます(笑)
で、裏向きは?(笑)

祖母
裏向きであり、本音は警告……(笑)
わかってるわよねぇ(笑)

歩
警告からどうなると、宣戦布告になりますの?(笑)

祖母
まぁ、警告に従わなかった場合は……(笑)
即時…かしらねぇ(笑)

歩
警告は、事務所を閉じなさい!(笑)
タイムリープは口外無用・他言無用!絶対に!!(笑)
ということでよろしいですか?(笑)

祖母
今日は警告だけ、では失礼するわね(笑)
本当にこの界隈は空気が悪いこと、ごめんあそばせ(笑)

祖母後ろ手にドアを閉める、最初はそっと、最後はバン!

ドアの音に4人全員ビックっとする。顔を見合わせる秀樹と歩。

「なになに?」「どうしたの?」という表情の高校生二人

健三郎
えーっと…歩さん…誰?

歩
んー、んー、まぁね…気にしないで行こう
っね、乾杯しよ、乾杯
(ガサゴソとレジ袋からビールとジュースの缶出して)
秀樹おじさんはビールでいいわよね
我々は一応ジュースで、ね
(秀樹に)
一応年配者ということで…お願いします

秀樹
あっ!あぁ、そ、そうね、年長ね
では、我らが事務所の開所を祝って……か、カンパーイ……

全員
カンパーイ…

なんだか盛り上がらない乾杯

秀樹
じゃ、とりあえず…俺は下で働いてくるわ
決して逃げるわけではなく、ね仕事だよ仕事、じゃ

歩
ハイ!じゃ、さ、お寿司つまも、ね
わぁお寿司だお寿司だ

静かに寿司をつまむ3人。

歩
あーやだ、こうして神妙にお寿司つまんでると
パパのお葬式思い出しちゃうわ

シーンとした室内。黙々と寿司をつまむ3人。

小林聡美さん風N
「パパのお葬式を思い出している、 お姉さんとつまむ寿司。 
 高校生二人にとってどんな味だったのか? 
 多分、砂の味だったと思われる」

シーンとした室内。黙々と寿司をつまむ3人。

(黒フェード)

続く

── 了 ──

読んでくれてありがとう。良かったら作者にスキを送ろう。

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