幼馴染の少女がこちらを向いて微笑んでいた。半袖のセーラー服は日に照らされて、白色が浮いていた。手は紺色のスカートが揺れるのを押さえていた。紺色に白い手がよく映えていた。その隣で、冴えない僕は俯きながら歩いていた。黒い制服は埃が目立った。
「ねえ、走らない?」
明るい彼女の声は、五月の黄色い光をさらに強めた。僕の黒い制服もすっかり日焼けして鈍色になりそうだった。
「え……あ、……」
ショートの髪を風で揺らしながら、彼女は目を細めていた。右手で髪の毛をかいて、小さな白い耳が顕になっていた。
ぼんやりしていた僕の手を引っ張って走っていく。紺色のスカートはヒラヒラと舞い、スカートの隙間から白い脚が光った。アスファルトの黒い道はまっすぐ青い空へと続いていた。遠くの方では陽炎が揺れていた。その両端には洋風のレンガで作られた家々があった。
きゃはは、と明るい笑い声は、僕の心を軽くした。振り向く少女の笑顔はいつにも増して輝いていた。笑った拍子に八重歯が見えた。風に混ざって、淡いソーダのような匂いを感じた。
「優花ちゃん、引越しするんだってね」
昨日の母の声が脳裏をよぎった。雲が日を隠して、周りを灰色に染めた。彼女の輪郭が滲んだ。
青春
青春小説、掌編
"五月の光とソーダの匂い、一瞬の輝きが胸を締め付ける青春の断片。"
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