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愛情は孤高の島にて

星光 ダイヤモンド

4,505 字

現代ファンタジー・SFヒューマンドラマ

"疲弊した魂を癒す、時を超えた愛の旅路"

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どこを見渡しても電光掲示板がおいてある。
その中で、ひとつ気になるのがあった。

「この物語は感情を射抜く」
 
おいおい、冗談はよしてくれ。
私の人生において正解なんぞ1つも分からなかった。
その結果、「ド」がつくほどの深夜に家へ帰っている。

「南の島へ、遊びに行きませんか?我ら妖精の旅路は、1000円で旅行のチケットが当たるかもしれないプレゼンツ企画です」

その内容を見た瞬間、ドキッとした。
妖精の旅路、それは過去の記憶で師匠と呼ぶような友達がいた時。
彼の話に、必ず出る妖精の旅路というフレーズは彼自体を連想するもので間違いなかった。
あの時の夢は……なんだったのだろうか?

私はケイ。
ブラック企業と1言で言い表すには勿体ないほど辛い会社や人生に疲れている。
ため息は疲れの数。なんて思っている。
子供の時だったら喧嘩したり、塾が嫌だ。なんていう理由でため息を吐くだろう。
はたまた、親が嫌ですぐにでも家から抜け出したいかもしれない。
だが、大人になるにつれて子供の時の感情は綴れなくなる。

「まぁ、500円なら捨てることになっても構わないよな」

そんな気持ちと、彼を思い出せるたびになったら良いな。
という希望を胸に抱き、応募した。


2週間後、結果がやってきた。どうやら当選したようだ。
仕事は、珍しく社長からのOKだった。
何事だろうか、口が裂けても休むのを許さない人だというのに。

あんまり深いことを気にするより、とりあえず行こう。
今後の事は後で考える。

そう自分に言い聞かせた。
じゃないと、心から楽しめないから。子供の頃から大事に取っていた今にも敗れそうな紙を1つの額縁に入れて荷物整理をする。
この紙、師匠が残した言葉や歌。すべてを記した紙である。
なんというか、お守りみたいなものだ。
旅行に行くとなったら、必ず持って行く。
彼は、近いようで一番遠い存在だったから。
まぁ、今の彼にとって恥ずかしいものかもしれないが、私の最高の宝物である。

やたらと大きな豪華客船に乗り、そのまま6時間といったところだろうか?
感情は、退屈なんて遥かに超えるほどのワクワクがある。
普段は見ることのない海の景色。
豪華な食事が現実を忘れさせてくれるような気がして。

その日は、睡眠欲に負けてしまってベッドに入ったと同時に気を失ったように爆睡してしまった。
より一層と普段より深い眠りについてしまっているのだ。
夢すら見ないような状態であったのは間違いないだろう。

朝のチャイムが船に鳴り響き、重いまぶたを開ける。
眩しい光が私に差し込むと、船のアナウンスが流れ始めたようだった。ねむい。

「皆さん、おはようございます。それでは永遠島、永遠島です……ここは南の島でありながらも〜〜」

そんな寝起きの頭には情報が多すぎるくらいの具体的なアナウンスが流れた。
ようやく、息抜きができるのだろう。
まぁ、現時点で息抜きはしているだろうが。

荷物を持って降りた先に絶景を名乗れるほどの島を見た。
それは「夢でも見てるのか」なんて感情と「懐かしい」という気持ちで私の心は満たされる。
何があったか、ようやく整理がついた。
妖精の旅路は、本当に師匠の関係する内容なのかもしれない。
師匠は、いろんな世界を見てきたといってた。
それを残すために、島を作るとも発言してたんだ。
この島は記憶残すため媒体に過ぎないのかもしれない。
でも私は少しでも師匠を知りたい。
師匠の見ていた、あの景色を。

ツアーガイドの方々は色んな人を先導して島を案内するようだ。
私は、師匠の言った物語通りに行動しようとした。
日程を見るに、夜に自由行動があるらしい。
ここでふと少年だった記憶が蘇る、あの頃の集合場所は、砂浜の廃材置き場の上である。
あそこに、夜の20時に集合していたんだ。私の懐かしい記憶である。

「この南の島へ旅行する企画は、担当のトシオさんが考案なさって幻想的な空間でより休みを取りやすくなるように今の社会人の気休めになるための場所なんです……」

トシオさんか、師匠と同じ名前だ。
私がここに来たのも単なる偶然ではない気がしてならなくなる。
何か、仕組まれているのだろうか?
でも、現実的に考えて無理だろう。
このツアーはとても楽しい。
なんか、今までにないような光景を見ている気分だ。
幻想的なこの島で4日間、楽しみである。

すっかり日が落ちた時間である。
いつも食べてる夜ご飯よりも豪華な「ディナー」が終わった夜20:00である。

「ここから、島を自由に回ってもらって大丈夫です。海に入るのは危険ですので〜〜」

自由行動と警告のアナウンスが流れる。
私は、行く場所は決まってた。
師匠のことに記された「あの紙」を持って走り出す。
まるで、集合時間に遅れそうな子供の顔をして走り出す。

「ご飯を食べるとき思ったんだ。こんな綺麗な砂浜にもガラクタ置き場があるなんて」

そして、走り出した先には、島の裏側である。
ちょうど、建物で見えなくなってる場所。
まさに隠れ家という名がふさわしいガラクタ置き場を見つけたんだ。

中には、1つの瓶に詰められた手紙がある。
私はそれを、迷いなどせずに開けた。
これは、自分に宛てられた手紙なのだろうから。

「こんばんは、とても美しい世界ですね。僕の記憶を詰めた彼はここへ来ることを願っています」

と書かれた意味深な手紙と、1つの鍵が中にあり「カラン」という高い音をさせてから私の手元に転がり落ちてきた。

「おそらく、1章のライオンを手懐ける女王の話なのだろうか?」

そこから、時間が終わって
この物語は、すべてで3章。
明日以降は、各地にツアーガイドの人がいて、そこからやりたいことを選ぶようだ。

明日には、2章の手がかりが見つかると良いな。
思いを忘れないように手を強く握った。
その後は、睡眠に身を任せて朝を待つ。

「2日目でございます、今日の天気は晴れです。今日は、選んで体験出来る遊び場所を設けております〜〜」

朝の陽気なアナウンスにも慣れてきた2日目である。
私は地図をばっと取り出し何か良いものがないか調べる。
3階が客室、2階がレストラン。1階がエントランスホールである。
広間に、ライオン像……

あれ?ここでもイベントしていたような。

「ライオンの、火の輪をくぐり抜けるショー」

これで、何かヒントを得られたら良いのだが。
淡い期待を胸に持ち、その場へ向かう。
私は銅像の石にもたれかかって、ライオンのショーを見る。

「それでは、今からライオンが火の輪くぐりをします!」

観客は、一気に「わっ」と盛り上がる。
海際で波の音が静かに聞こえる中、愉快な音楽とともにライオンが火の輪を潜り抜ける。
怖くても愛嬌を持つそのライオンは「ご褒美をくれ」と言わんばかりにキラキラした目で見つめる。

そうして、そのライオン像を見ていると、歌を思い出した。

「小人は、大きなライオンのお気に入り」

私は、口ずさみながら銅像の下の鍵穴に例の鍵を差し込む。
扉の中から、オルゴールが鳴り私は一緒に歌う。

「小人達は、小さな演奏者なのさ。最後の演奏者は、水晶玉を抱えてこけちゃうの」

その結果、本当に中から小さいからくり人形が現れた。
最後の小人が、転んで赤い水晶玉を落とす。
私は、それを拾い上げて必要なピースがすべて揃ったのだ。

夜は、すき焼きであった。
あの肉の旨さがたまらない。
卵と絡めて尚美味しいんだ。
でも、絡めないって言う人もいるよな……
私は、好きだけどね。

夕食が終わり、恒例の自由行動である。
今日は、1階のエントランスホールに用事があった。

「次は、赤いドラゴンの卵の話だ。どの話もメルヘンチックなものばかり。でも、師匠は実際に体験したって言ってたね」

赤いドラゴンの像は、1階のエントランスホールにあった。
入ればすぐその銅像があるもんだから、2度見どころか3度見はした。眠いからその日は睡眠を取ったが。

1階のエントランスホールに、赤い水晶玉を設置する。
床が、四角い枠で光につつまれる少しばかり怖くなって、足をどけて様子を見ている。
その結果は、地下への入り口だった。
ここまで厳重にして、何を守っているのだろうか?
常人なら、ここまで辿り着くことは無いだろう。そう、常人なら。
この島は、僕に何を見せようとしているのだろうか……

「ようこそ、妖精は26回目で来ると確信してました」

師匠、なのだろうか?
奥のカプセルの異変には気づかないまま、私はただ師匠以外に目線を送らなかった。

「師匠、お久しぶりです……」
「君と別れたのは、ほぼ2000年前でしょう。それだけ、時間がかかったんです」
「そんな、いくら会えなかったって言っても大袈裟ですよ~」
「このカプセルに眠るのは、全て別世界の君です」

ようやく、異変に気づく、信じられないほどの広さにはおそらく26個置いてあるのだろう
26回目、という意味深な言葉はその長さをより詳細に、鮮明に訴えかけてくる。

「生きた君に会えるのは、本当に久しぶりだ。」
「ちょっと待ってよ、頭の整理が追い付かないって!」
「僕は、未来で君が死ぬ世界を経験しました。愛弟子が、疲労とストレスで死んだ憎しみ。今も忘れません」
「死んだの?私は……」
「はい、1つ目の世界は過労死、そこから君の社長が休みを取らせない問題とかを……おっと。失礼しました」
「なぁ、そこまでして私に深く執着する理由は?」

「大したことではありません、貴方の幸せな未来と、僕の単純な興味です」

大まかに、トシオと言う名前しか覚えてなかった私は目の前の情景を幻想とか夢だと思い込みそうになってた。
でも、やはり現実なのだろう。

「ケイ、また子供のようにはしゃぎませんか?」

その瞬間、抑えていた涙は止まらなくなる。
どれだけ、時代を重ねても「トシオ」の硬い意思や信念は変わらなかった。
でも、感情の持ち方は変わったかもしれない。
私だってまたそうだ。

でも、2人の感情は一致している。
また、子供の時のようにはしゃぎたいと……

夜は全て待っていたのように、満月が姿を見せている。
この休みは、人生を変える決定打になっていただろう。
前の記憶はないけど、「思いっきり遊ぶケイとトシオ」を見られたら安心して眠れるだろう。

── 了 ──

読んでくれてありがとう。良かったら作者にスキを送ろう。

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