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雨

神影零

525 字

詩的散文

"雨の常識を覆す、詩的な逆転の発想。"

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雨は土を濡らすのではない。
土が濡れに行っているのだ。
暑くて暑くてかなわないから、おーい雨雲さん、と呼んで雨を降らせてもらっている。
雨は人を濡らすのではない。
人は雨に濡れなければならないのだ。
濡れなければ私たちは、なんでもできる気になって、きっと空も飛んでしまうから。
雨がダムに貯められるのではない。
ダムが雨に存在を証明してもらっているのだ。
雨のない枯れたダムは、もはやダムとは言えない。砂と岩と枯れ木を湛える大穴でしかない。
雨が雪に形を変えるのではない。
雨は雨で、雪は雪なのだ。
そして二人が混ざり合い、キスをして、そっと人間の肩へ触れることを、我々は「みぞれ」と呼ぶ。
雨が窓に叩きつけられるのではない。
窓は雨を吸い寄せているのだ。
人間の顔が見たい、そして、いつかは自分をも飲む動物も見たい。そんな心が走って、つい貼り付いてしまうだけである。
雨が地面で音を立てるのではない。
雨が音を持っているのだ。
雨は己のうちに音を持ち、待って、待って、ぴちょん、と音を立てるのである。
雨が地面に降るのではない。
地面が雨雲に向かい、伸びているだけなのだ。
本当かどうかは、また次の雨の日に。

── 了 ──

読んでくれてありがとう。良かったら作者にスキを送ろう。

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