真っ暗な夜道を歩く。
たった一人の帰り道。
何も見えない暗闇のなかで道を辿る。
好き勝手に歌う虫たちのコーラスを聴きながらビニールのなかの氷菓を揺らしながら。
月のない夜、街灯のない畷を進む。
風に揺れる草花が足元を擽る。
最寄りの顔をした片道1時間のコンビニの帰り道。
豆が潰れてじゅんわりとする足を気にする素振りも見せないままで。
時折聞こえる水路の流れを頼りに明かりの方へ向かう。
田んぼを越え、畑のあたりまで来ると人の話し声が微かに聞こえる。
少し離れた場所でははしゃぐ子供達と火花の音。
足元にひかれた砂利が体重をかけるたびに擦れて声を上げる。
足裏の感触をたどっていくと石段に触れた。
低い段差の中心から手を伸ばすとノブに触れ、回すと暗い室内が広がる。
記憶と何時もの動きを頼りに手足を動かすと扇風機の電源が入り、台所へたどり着く。
冷凍庫を開いてビニールのなかに手をいれると氷菓の袋が手のなかで形を変えた。
「夜」の一日
叙情短編、感覚文学
"暗闇の五感、帰り道の叙情詩。"
特にないです。
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