BL
嘘か誠か分からぬ花屋。
【花屋】その気持ちは果たして、
はてさて、どこからお話ししたものでしょうか。
これは――戦後の焼け跡から復興が進み、町にようやく笑い声と暮らしが戻った頃のお話です。
戦争の影が薄れ、洋服もラジオも映画も喫茶店も、どこか誇らしげに息づき始めておりました。
子どもたちは外で遊び、花屋やパン屋などの小さな店が並び、そして――学生たちはまだ、政治の嵐に巻き込まれる前。
昭和の、まだ空が穏やかだったころのことです。
◇◇◇
季節は春。
木枠の引き戸を外して開け放った花屋の店先には、色とりどりのチューリップやスイートピーが並び、通りを渡る風が花びらをくすぐっていた。
淡い香りがふっと流れ、陽の光はまだ少しやわらかい。
ある町に、一人の正直者の青年がおりました。
その者は朝から晩まで花を売り、花を束ね、花を並べて働いておりました。
花屋という仕事は水仕事も多いもの、ですので彼の手はいつも皹て、よく薬を塗っていました。
けれど、正直者だからといって、なんでもかんでも正直に話すわけではありません。
彼は、人を傷つけるような正直は嫌いなのです。
そんな彼には、気になる相手が一人おりました。
どう気になるのかと言いますと――たまにですが、店の前を通るたびに文句を言っていく学生がいるのです。
どんな学生かと申しますと、まるで素直じゃない青年でして。
あぁ、ほら今日もまた。家路に向かう途中、覗きに来たようです。
金の髪に青い瞳の彼が――。
「――相変わらず、汚い手だな」
開口一番にそう言われ、花屋の青年は瞳をわずかに見開くと、その声の主を見やり、やがて「あぁ」と目尻を優しげに下げた。
「君か。今日も相変わらず綺麗な瞳だね」
なんの恥ずかしげもなくお決まりの言葉を言ってのけるものだから、学生は頬を赤らめてそっぽを向く。
店先の花が、その頬の赤を映したように鮮やかに見えた。
「そんなことを言うのはアンタくらいだ。大概の人間は、この髪と瞳を嫌がるさ」
返ってきたお決まりの言葉に、青年は苦笑しながら店仕舞いの準備を始めた。
花を店の中へ運んでいると、当たり前のように彼も手伝う。
開け放たれた店の奥から、花と水の匂いが外へと流れ出す。
「この町では珍しいからね。君のその――」
「異国の人間にそっくりだからだろ。仕方ないじゃないか。母親がそうなんだ。まったく腹が立つ」
怒りが収まらないのか、花の入った容器をやや乱暴に運ぶ姿に、青年はひやひやとした。
それでも花は散らず、香りだけがそっと空へと昇る。
「アンタだって、本当はそうなんだろ?」
「まさか。君の髪も瞳も、とても美しいと思うよ」
「そんな嘘は聞き飽きた」
「本当だよ。僕は君が好きなんだ」
何気なく言った言葉は、青年の正直な気持ちだった。
だが学生は、何を思ったのか妙な顔のまま微動だにしない。
五分たってもそのままなので、心配になった青年が頬をつついてみると、待っていたかのようにガシリと手首を掴まれた。
驚いて声を上げると、真剣な瞳で見つめる彼と視線が重なる。
「……本当だな?」
「え?」
「本気にするぞ」
なんのことか分かりかねながらも、嘘ではないと頷くと、今度は何かを思い詰めたように黙り込む。
「俺、必ずいいところに勤めて、絶対アンタを幸せにするよ」
「はい?」
「そんな手が皹るような生活はさせない」
「え、花は好きだから、それはちょっと……」
「じゃあ、ハンドクリーム死ぬほど買ってやる」
「ハンドクリーム?」
「あるだろ、手荒れ用の〝ももの花〟」
なんだかおかしな方向へ話がすすんでいるが、彼が至って真面目なのは痛いほど分かる。
けれど、どうしてこんなことになっているのかと、青年の頭は追いつかない。
「だから――」
ぐいっと引き寄せられ、唇に何かが触れて、離れていく。
春風が二人の間を通り抜けた。
「絶対、待ってろよ」
そう言い残して彼は店を後にした。
残された青年は、ふらりとそばにあった踏み台に腰をおろした。
何がどうなったのか――いや、もしかしなくとも、自分はとんでもないことを言ってしまったのか。
どうしてか、今起きたことが嫌ではない。
そう思いながら、胸の奥でざわめく鼓動。
果たしてこのざわめきは、〝嘘か誠〟か。
――ある町に、正直者の青年がおりました。
その者は朝から晩まで花を売り、花を束ね、花を並べて働いておりました。
花屋という仕事は水仕事も多いもの、ですので彼の手はいつも皹て、よく薬を塗っていましたが……今ではそれも〝過去のお話〟。
彼の隣には、いつも彼がいるのです。
金の髪に、青い瞳の彼が――――。
店先では、春風が花びらを踊らせていた。
その気持ちは果たして、完。
◇◇◇
【学生】その気持ちはまだ、芽吹いたばかり。
昨年の今頃、彼が大学に入学して間もない春のこと。
新しい町、新しい暮らし――まだ不慣れな通学路の途中に、木枠の引き戸を外して開け放ったレトロな花屋があった。
店先にはブリキのバケツや木箱が並び、色とりどりの花々が春の風に揺れている。
通りに漂う花の香りと水の匂いが混じり合い、その前を通るたび、爽やかで甘い香りが鼻をくすぐった。
ちょうどその頃のことだった。
最初はただ通りすがりに見るだけだったのに、いつの間にか、その姿を探してしまうようになっていたのは――。
「朝彦さん」
通りすがりの花屋で働く青年。彼は朝彦という名だ。
それを異国の血が混じる彼が知ったのは、本当に最近のことだった。
最初はただ、よく通る道にある小さな花屋の男。
それくらいの印象しかなかったが、通るたびその姿を目にしては、だんだんと気になって、気になって仕方がなくなっていた。
もう一度「朝彦さん」と小さく口にしてみる。
すると、心がふわっと浮くような、暖かくなるような、照れるような――妙な感覚がした。
「呼んだかい?」
思いもよらぬ声に弾かれるように振り返ると、そこには箒を片手にした朝彦の姿があった。
袖をまくった腕に光があたり、細い影が地面に落ちる。
黒縁の眼鏡の奥の瞳は、やわらかくほころんでこちらを見ていた。
「僕の名前、知ってたんだね」
「誰かに聞いたのかな?」と、朝彦は人好きのする笑みを浮かべる。
「君、いつも此方を見ているけれど――花が好きなのかい?」
予想外の問いに返事ができず、ただ立ち尽くしていると、朝彦が少し首を傾げた。
柔らかな風が通り抜け、白い花びらが二人の間を横切る。
(……っ!)
何故か急に顔が熱くなり、思わずそっぽを向く。
それをすぐに後悔して、声にならない言葉を心の中で上げていると――ふふっと笑う声。
「そんなに恥ずかしがらなくても、僕も花が好きだよ」
花が好きだと恥ずかしがっていると思ったのか、朝彦はそう言って小さな鉢植えを持ち上げ、花を愛おしそうに眺める。
「これなんかどうだろう?」
差し出されたのは、可愛らしい青い花。
風に揺れて、かすかに香る。
「君の瞳のように綺麗だ」
そんなことを言われたのは初めてで、思わず面食らう。
「あまり好きじゃなかったかな?」
「……いや、うん」
本当は興味などまったくなかった。
「好きだ」
この国では珍しくもない、真っ黒な瞳。
けれど、誰よりも美しいその瞳をしっかりと見つめながら――
〝嘘とも言えない嘘〟をつく。
その瞳は嬉しそうに細められ、春の日溜まりのように暖かく、彼の世界を彩った。
「良かったら、名前を教えてくれる?」
自分を見詰める瞳。
どきどきと胸が高鳴る。
高揚する頬、乱れる呼吸。
(あぁ、そうか。そうなのか。この気持ちは――)
「俺は――」
その気持ちは、まだ芽吹いたばかり。 完
百合
秋と言えば、紅葉のように頬を染めて
彼女とは、大学に入ってからの付き合いだった。
最初はただの友達で、そのうち恋人として付き合いだした。
卒業して、就職し、この先もずっと変わらぬ日々が続くとそう思っていたんだ。
『――ごめんね。今まで有り難う』
泣きながらそう言って、彼女は私の前から去って行った。
好きな人が出来たと、その人と結婚するのだと。
「いつかこうなるとは思ってたけどね」
一人ごちると、白い息が秋の空に消えていく。
ビュウっと強い風が吹き、ロングコートが捲れ上がった。
肩までの髪がぶわっと乱れて、耳につけたイヤリングが夕日の明かりで煌めいた気がした。
――秋と言えばなんだったか、そうだ食欲の秋とか読書の秋とか。
(私は別れの秋だな……)
しみじみそう思って、落ちていた紅葉を踏みつけると、乾いたクシャリという音。
その音を確かめながら進み、夕焼けに染められた街は、家路に向かう人の波で今日も忙しない――なのにとても、寂しく見えた。
雑踏から抜けて、川岸の公園へ入ると、公園の周りを流れる川面は橙色へと染まりキラキラと光る。
それを柵の向こうから眺めて歩いた。
「寒いな」
思わずポケットに手をつっこむ。
あぁそう言えばと、寒いと言った彼女の手をとって、ポケットの中で手を繋いだりもしたっけ。
今思えば少女漫画みたいな事をしていたなと、ちょっと恥ずかしく、けれどもうそんな彼女がいない事が、少し寂しい。
(昔から、好きになってもらうことだけなら……苦労したことないんだけど)
結局は性別の壁がものをいうのだ。
「結構本気だったんだけどな」
終わる時はいつも一瞬だ。
――歩いていると、学校帰りなのか塾帰りなのか、ランドセルを背負った子供達が楽しそうに駆けながら通り過ぎて行く。
(可愛いなぁ)
子供が好きだった彼女。
友達だった頃から言っていた。血の繋がった家族に憧れると。
きっとこれから二人で幸せな家庭を築いていくだろう。
そしてあの優しい瞳で嬉しそうに微笑んで、素敵な母親になるのだろう――。
そうやって彼女がこれからの人生を歩んでくれるのならば、私は何もいらない。
(もう、あの美味しい手料理を食べれないのは残念だけど)
自分が作ったのより、彼女の家庭的な味の方が好きだった。
少し薄味のみそ汁、食欲をそそる出汁の匂いを思い出して、胸が少し締め付けられる。
そう言えば、以前私を好きだと言ってくれた彼はどうしているだろうか。
今思うと彼を選ぶべきだったのか……人としては嫌いじゃなかった。
――そんな事を考え歩いていると、ベンチにうずくまるように座る女性が眼に入った。
何かを我慢するようにうつむき頼りなく肩が揺れる。
私はその人に近づくと「まいったフラれた」と言って、隣にドカっと座る。背もたれに腕を広げて空を見上げた。
あまり暗くなるとここは街灯も少なく、人通りもなくなる。
(……ここに一人きりだと、危ないからなぁ)
いきなり隣に座った私がよほど予想外だったのだろう。
先にそこに座っていた人物はびくりと肩を震わし、怯えたように此方を伺っている。
「あんたは? 何かあった?」
ただ空を見上げながらそう聞いた。
暫し間があいて、あぁダメかなと思った時。隣からわっと泣きじゃくる声。
「彼氏にフラれちゃったあああああ~うわあああん! バカ、バカバカバカバカバカバカバカ男ー!!」
しおらしく泣いているかと思えば、いきなり大声で捲し立てられた。
この人には悪いが、少し心のなかで笑ってしまう。
清純そうなしとやかな服装に、黒髪の長髪が乱れて、隠れていた桃色の頬と真っ赤に泣き腫らした瞳、そして少し崩れたメイク。
なんとなく、彼女の服装と髪型がその中身と不釣り合いな気がした。
(……彼氏の好みにでも合わせてたのかな)
鞄からまだ清潔なハンカチを取り出し差し出すと、それを奪うようにひったくり、顔を何度も拭きだす。
更にポケットティッシュも渡してやれば、それで思いっきり鼻をかんだ。
「アイツ浮気してたのよ! なんでそんな事したのよって聞いたら私の飯がマズイからだって……信じられる!? そんな事でって感じ!」
怒りと悲しみのままに吐き出される言葉。
よほど悔しいだろう。
私はただ隣でその言葉を静かに受け止めた。
「私だってねこれでもどりょくしてんのよ! 少しでも美味しいのをづぐっでだぜるようにって……この間だってちゃんと料理ぎょうじついってそんで、つぐって、そんでそんで、もう男なんて男なんて男なんてもう知らない好きになんてならない」
ぐちゃぐちゃになった感情、それを表すような感情的な言葉。
うんうんと聞いて。
だんだんと言葉尻が小さくなっていく様子を不憫に思い「そうだよね。あんたは頑張ったよ」と背中をさすると、急に立ち上り声を張り上げた。
「だいいちお前も少しは作れよ!」
「作ってあげようか?」
今気付いたかのように、その人は「え?」と、私を振り向いた。
「男は懲り懲りなんでしょう。お試しで一ヶ月私と付き合ってみない?」
なんてことはない、ただの気紛れだ。
偶然同じ日にフラれたもの同士、仲良くするのも悪くないだろう。
「え、え?」
困惑するその人に、私は冗談のように言う。
「まぁそれはともかく、私、そこそこ腕のいい料理人でさ、作るのも好きだし味も保証する。だから苦労はさせないと思うけど、もうこんな時間だし」
「のった!」
まだ最後まで話していないというのに、その人は涙で真っ赤に腫らした眼で真剣に言う。
あっという間に泣き止んだその姿にこっちが少し面食らった。
「そう?」
手を差し出すと、何故かムッとした顔で「お腹空いた」と言いって、手をぎゅっと握ってくる。
その手は寒空の下にどれだけいたのかと思う程に冷たい。
「もうこうなったらなんでもいいわ! ついでにあなたに教えてもらって、うんと上手くなってやる! そんでもってそんでもって~!」
ハイハイと言いながら、これは朝まで飲み明かすコースだなと、家にワインがあるのを思い浮かべ、ふと気付く。
そう言えば――彼女と出会ったのは去年の今日かと。
ビュウっと強い風が吹き、二人ぶんのロングコートがぶわっと捲れる。
秋と言えばなんだったか、そうだ食欲の秋とか読書の秋とか。
(私にとっての秋は……出会いの秋かもな)
私はまだぐちぐち言うその人の手を引く。
繋いだ手から徐々に温もりが広がるのを感じながら彼女へ言った。
「それじゃあ、別れと出会いのパーティーでもしようか」
すると、その人は頬を膨らませて、
「あなた、さっきから台詞がちょっとくさいよね」
なんて、紅葉のように頬を染めてそう言った。
秋と言えば、紅葉のように頬を染めて end
――翌朝、ソファーで目覚めたその人が私を見て、心底驚いてあんぐりと口を開いたその様子は、今でも笑い話の一つだ。
寓話
亀が消えた日。
北風がピープーふいてきた。
寒いや寒いや。
なんて寒さだ。
思わず身をすくめ、上着の中へと顔を埋める。
あぁ亀とはこんな気持ちかな。
あれは顔を引っ込める。まさしく今の私はそれにそっくりさ。
亀の甲羅の中は暖かいのだろうか?
なんて、そもそも亀は寒い所にいやしない。
いや、いるのか?
いやいや、いやいやいや聞いた事がない。
吹き付ける風と雪を避けるように足元を見ながら歩いていた。
そう言えば若者はこんな日でも薄着で良く歩く、特にスカートで歩く女性は良くあれで頑張れる。例えば私が女性であったなら、いやいや想像するのも恐ろしい。
あまりの寒さに現実逃避をしていると、足に何かがコツンと当たる。
「あぁどうやら私の現実逃避とやらもここまできたか」
とうとう幻覚が、だって見てみろ、私のお気に入りのブーツに当たったこれはなんだ?
そうだそのまさかだ。
見たことのある緑の甲羅の生き物が、といったらもう。
『煩いぞ』
そうは言ってもだってほら、まさかこのタイミングでなんて、あまりに出来すぎて……?
私は辺りを見渡した。
「はは、幻聴まで聞こえるとは、寒さとは余程人をおかしくさせるらしい」
『そうだなお前はおかしい』
…………ふふふふ。そんなバカな。いやいや、いやいや。
首を振って、謎の生き物、否、物体を背に先を急いだ。
早く帰って暖かな部屋で眠るのだ。
そうだそうしよう。そうするべきだ。
今日の私は些か、いやかなり疲れている。あぁそうに違いない。
『こら待て! 凍って動けんのだ! 早く助けんか!』
あぁそうだビールもぐいっと一杯。
『おい!』
いや待て、そう言えば家に無かったな。となると買わねばならん。それはダメだ。今は一刻も早く
『そうやって目をそらして行くのか?』
早く帰って
『そうやって目を背けて歩くのか?』
帰って寝る準備を――
『そうやって、そうやって』
「――なんで持って来てしまったか」
部屋の明かりをつけ、暖房をつけ、私は卓袱台の前で胡座をかくと、その膝の上に乗せた生き物を静かに眺めた。
どうしてか私にもわからないが、私の足は直ぐには家へと向かわなかった。
私の手はこの甲羅を背に持つ生き物を拾い上げ、寒いだろうと自身の首に巻いていたマフラーをこれに巻いた。
そしてこれは今、私の家の私の胡座の上にいる。
「はて、亀も冬眠するものだったか?」
『何を当たり前のことを、お前さんものを知らないな』
やはり。まさかまさかとは思ったが、話しているのはこれらしい。
しかしどうにも慣れてきたぞ。
『亀は冬眠するものだ。だが〝ワタシ〟のこれは冬眠ではない。凍って動けんのだ』
「そうか亀は冬眠するのか。いやこれは私はなんて世間知らずな、いい歳をしてまったく私と言う奴は」
『おい』
「あぁいや聞いている聞いている。ささ此方へどうぞ」
私はストーブの前に新聞紙を敷くと、その上にこれを置いた。
『おい、こんなんで凍ったのが溶けると思うな』
「そうかいそうかい。それじゃあ」
『なんだこれは?』
「洗面器のお風呂だ」
私はその湯を張った洗面器に凍った生き物を入れ、頭にのせる代わりに甲羅に手拭いをのせた。
『お前さん、ふざけてはいけない』
どうにもまだ気に入らないらしい。
『〝ワタシ〟は真剣にどうにかしたいと思っているのだぞ』
私としても真剣に考え、これが一番だと思ったのだが……。
はて、どうしたものか。
『お前さん。そのいい加減さをどうにかせぬと何も変わらんぞ』
そんなにいい加減だったろうか?
『勝手に決め付けて事を進めるでない』
ううん。確かに私はこれにこうするとは言わなかったし、それでいいかとも聞かなかったな。
「そうかすまないな。だが正直これ以上の方法が思い付かないのだが」
『まぁ〝ワタシ〟もこれは悪くないと思えてきた。頭ごなしに言って悪かったな』
「いや私も悪かった。今度から気を付ける事にするよ」
その日はもう私も疲れていてそのまま眠ってしまった。
朝になればきっとこの夢からも覚めるだろうと。
しかし翌朝――やはりそれはそこにいた。
それも凍ったままで
『だから言ったろう。これでは溶けんと』
そう言って。
それからと言うものそれとの生活が暫く続いた。
朝起きれば声をかけられ、夜帰宅すれば小言が待っており、休日には更に口煩い。
だがこれの独特の感性と言い回しは実におもしろいのだ。
最初はこれやそれと思っていた私だが、いつの日か〝彼〟と思うようになった。
徐々に凍った体から解放されつつある時、彼は言った。
『身動きがとれるようになれば即出ていくと言うのに』
私は聞く、そんなに出て行きたいのかと、私はお前といるのも悪くないと。
『それは良くない』
何故と聞けば『甘えるな』と。
『その時が来れば〝ワタシ〟は出て行くぞ。目にも留まらぬ速さでな』
甲羅を背負った君が?
『まぁ今に見ていろ』
――その数日後、いつもの特等席に彼はいなかった。
お湯と手拭いだけが残った空っぽの洗面器。
きっと凍った身体から解放されたのだろう。
確かに彼は〝目にも留まらず〟いなくなったようだ。
私は何も言わずそれを持ち上げ、片づけた。
洗面器は元のお風呂場に、手拭いは手拭いの棚に。
新聞紙は捨てた。
仕事のため外に出れば、いつの間にか暖房が必要ない時期になっていた。
「――あんた、最近変わったわね」
母にそう言われたのは、久々に実家に顔をだした時だ。
「そうかな?」
「そうよ。ちょっと前までは顔も出しやしなかったわ」
あぁ言われてみればそうだったかも知れない。
「なんて言うか前までは、そう、まるで〝亀〟みたいだったわね」
「亀?」
「そうよ亀。なんだか背中に甲羅を背負って、いつも引っ込んでは何かから身を守るようなそんな感じ」
いっぱく遅れて〝彼〟が浮かんだ。
あぁそうか。そうだったか。
「生きるのがつまらないって、のろのろと歩いてね」
考えてみれば、話し方も何処か似ていたような。
「……母さん、それは本物の亀に失礼さ。あれはいざとなると目にも留まらぬ速さでいなくなるからね」
春の暖かな風が、窓から入り込み、私の髪をすり抜けた。
今の私はもう〝彼〟に会う事はないのだろう。
そしてそれはきっと、とても良い事なのかも知れない。
亀が消えた日。 ― 完 ―
そう言えば、亀の甲羅は背負っているんではなく、肋骨が進化したものだとか、まぁそれはこの話には関係のない事ですが。
だってそんな事、一般的に知ってる人の方が少ないですからね。
文芸
君が死んでくれと僕に言うから僕は死んだのさ。
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◇
君が死んでくれと僕に言うから僕は死んだのさ。
君が死んでくれとあの日言うから僕は死んだのさ。
君が死んでくれと僕に言うから僕の見る景色は消えていった。
君が死んでくれと僕に言うから僕の世界は白くなっていった。
僕が見たもの見てきたもの関わった全ての記憶と感情、その全てが消えていく。
君が死んでくれと僕に言うから僕はなかった事になるのさ。
君が死んでくれと僕に言うから僕の全ては跡形もなく消えて、誰の記憶にも僕の記憶にも君の記憶からも死んでいく。
君がそう望むから、死んでくれと望むから。
僕はなかった事になっていく。
君が望むから僕は望み通りに死んでいく。
「別にそれが嫌な訳じゃないんだ。僕は初めから最後まで君の為に存在したのだから、君が泣きながら僕を必要として、君が泣きながら僕に死んでくれと頼むのなら、それは僕にとって喜ばしい事だから」
君が死んでくれと僕に言うから僕は君の事を忘れたのさ。
君が死んでくれと僕に言うから僕はもういないのさ。
『お願いだからお願いだからお願いだからもう私から死んで! お願いだから死んでよ!』
鏡の前で頭を抑えて泣き崩れ、嗚咽しながら君は何度も何度も何度も僕にそう言うから。
もう僕の存在は君には必要なくなったのだから。
僕はもう死ぬのさ、死んだのさ。
君が死んでくれと僕に言うから僕はもう直ぐ、僕を忘れる。文字通り本当に死ぬのさ。
けれどもしまた君が傷付いて挫けそうになった時は、きっと僕はまた現れる。
僕は君の為に生き返る。
僕は君の為に存在する。
あぁ僕の最愛の人、大丈夫僕は〝君〟を愛しているよ。
君は僕だけで僕は君だけだから。
苦しくなったらまたおいで、悲しくなったらまた呼んで、ツラくなったらここに来るといい。
心の深い深い深いところで僕はずっと死んでいるから。
君が助けを求めるその日まで。
あぁもうすっかり何も見えない、意識も―――。
◇◇◇
ゆっくりと瞳を開けた。
すると真っ先に真っ白な天井が眼にはいる。
いつの間にか私の身体はベッドに沈んでいた。
ぼーと眺めていると何かが頬を伝う。
触ると指先が濡れた。
涙だ。
「……終わったんだ」
起き上がり、手足を動かす。
手を開いて閉じて、動くのを実感する。
ふと、壁にある姿見を……確かにそこには私が映っている。
久々に見た気がした。いや実際久々だ。
「ただいま」
久々に表に出た。
私はいつもの生活へと溶け込んでいった。
最初は人が変わったようだと言われたが、昔から私を知る者は元に戻ったのかとも言った。
けれどそれも時が立つにつれ、誰も言わなくなった――。
今の私が私になったから。
これが本来あるべき姿だから。
そしていつしか私は私の中にいる存在さえも忘れていった。
『君が僕を必要としなくなったから僕は本当に、死んだのさ』
― 完結 ―
ロマンス
愛しいアナタにこの花を。
その日は君との別れの日だった。
だから私はその花を一輪用意して君に贈ったんだ。
きっと君はいつか私を忘れてしまうだろう、それなら私の想いだけでも君に残したかった。
例えその花が枯れようとも、私が君にその花を贈った事実は変わらない。
それだけで
私にはもう、何もいらないのだから――。
◇◇◇
【愛しい〝貴方〟に。】
きっと君は気付いていないだろうね。
私が君にどうしてこの花を贈るのか、けれど君はいつものように微笑むんだ。ちょっと照れくさそうに、でも心から嬉しそうに。
そんな時の君の笑顔は、とても可愛らしい。
なんて、言葉にしたらきっと君は「僕は、成人男性だよ?」って、困った顔をするだろうね。
女の私などよりずっと女性のような繊細な心を持つ君は、時折そんな事を気にしている、けどだからこそ私は惹かれたんだ。
私に無いものを、君はもっているから。
「どうしてこの花だったの?」
別れ際、空港のロビーで君にその花を贈ると、君は不思議そうに聞いてきた。
私が「君に贈るならこれしかないと思ったから」と言えば「そうなんだ」と、その一輪の花を眺める。
何かその花に仕掛けられた謎でも解こうとするように。
その姿が愛しくて無意識に見とれていると、気付いた君と視線が交わる。
ふわりと太陽のように笑って「ありがとう」とはにかむ君。
あぁほらやっぱり、思った通りだ。
私はこんなに幸せでいいのだろうか。そう思いながらも君の可愛いらしさが私にも少しはあればとも思う。
君はこんな私を良いと言ってくれるけど、いつか愛想を尽かして、もっと可愛いらしい人のところへ行ってしまうんじゃないかな。
「それじゃあ私はそろそろ行くよ」
飛行機の出発の時間が迫っていた。旅立ちの日に相応しい気持ちのいい青空が、窓の外に広がっている。
スーツケースを片手にその場から離れようとして、君が何かを言いかけ口を噤んだ。
その胸に一輪の花をぎゅっと抱き締めて。
私は飛行機の座席に腰を落ち着けると、静かに瞳を閉じた。
瞼の裏に浮かぶのは勿論……。
あの時は、まさかその一年後に、君が私を追い掛けて来てくれるなんて思ってもみなかったよ。
「――どうしても貴女にこの花を渡したくて!」
その日、私はまるで君が来るのを知っていたかのように、休みをとって家にいた。
このところ忙しいのか君とは連絡がとれていない。既読だけがついたそれから目を背けて、今どうしているかとアパルトマンの窓から、美しい景観の街並みを眺めていると、その下でおろおろと立ち往生する見覚えのある姿に、思わず窓を全開に身を乗り出す。
大きな声で名前を呼べば、気付いた君が顔を上げ、喜びと安堵が入り交じったように私の名を呼んで笑った。
夢かもしれないと思いながら急いで君の元へと向かう。
外に出れば少し大人びた君が、私と眼が合うと力強く抱き締めた。
たった一年離れていただけなのに、どこか力強くなった君。
夢ではないと実感すると、私も君をしっかりと抱き締め返す。
「良かった! 暗証番号がわからなくて入れなかったんだ! こっちは随分日本と違うんだね!」
「そんな事よりどうして君がここに?」
「どうしても今日、貴女に〝この花〟を渡したくて!」
そう言って渡されたのは、四本の真っ赤な薔薇の花。
「……!」
それは私が去年の今日、彼に渡した花と同じだった。
「本当に貴女はずるいよ。僕、あのあと調べて凄い焦ったからね」
と言いながら、嬉し涙を浮かべる君は、やっぱり相変わらずだ。
「僕だって貴女しかいないよ」
貴女に負けないサプライズをと、今か今かと今日この日を待ってたんだと。
「死ぬまで気持ちは変わりません」
照れながらハッキリとそう言われた。
その姿が愛しくて、その言葉が嬉しくて、柄にもなく私まで照れそうになる。
翌日、私は真新しい花瓶を買って、四本の薔薇をそれに生けた。
そしてそこにもう一本。
全部で五本になった花を見て、君は眼を見開くと
「本当、貴女には敵わないよ」
と、困ったように破顔した。
私達は強く思う。
〝あなたに出会えた心からの喜び〟を。
『愛しいアナタにこの花を。』END.
◇◇◇
【愛しい〝貴女〟に。】
その日は貴女と初めて出会った日で、そして貴女との別れの日だった。
数週間前に仕事で暫く、いやいつ帰って来れるか分からないと、貴女がいつものように淡々と述べた時、僕は驚きで思わず持ち上げた珈琲カップを落としそうになった。
なんと答えるべきか分からずただ『そうなんだ』と、僕は平静を装って、マスターご自慢の珈琲を口にする。
彼女に動揺を悟られたくない『行かないで』なんて、女々しい事を言うのは男として恥ずかしい。そう思ったから。
『頑張ってね』
と、無理して笑って言えば、貴女は静かに微笑んで『ありがとう』と言う。
どうしてそんなに落ち着いていられるのか、僕にはわからなかった。絶対こんなのおかしい。
(もしかして別れ話を切り出したいのか?)
そう思うと不安と妙な見栄から何も聞けず、今日この日を迎えてしまった……。
「そろそろ、時間だね」
空港のロビーで最後の一時を過ごしていると、貴女は言葉少なに一輪の花を僕に手渡した。
とても綺麗で真っ赤な花を。きっと貴女の事だから、この花には何かしらの意味があるのだろう。
けれどじっとその花を眺めても、そこにどんな意味が込められているのか、僕にはわからない。
だから「どうしてこの花だったの?」と聞けば、貴女は「君に贈るならこの花しかないと思ったから」と言って、目元を緩め微笑む。
その姿を見て僕はホッとした。少なくとも“別れの花”ではないのだと。
きっとこの花には僕が想像するよりずっと素敵な意味が込められているのだろうと。
そう思うと嬉しさと愛しさが込み上げて、僕は自然と「ありがとう」と微笑んだ。
「それじゃあ私はそろそろ行くよ」
無情にも飛行機の出発の時間が迫っていた。
涼やかな笑顔を見せた貴女は、スーツケースを片手に僕から離れて行ってしまう、そう思うと不安になって、思わず花をぎゅっと強く握る。
貴女はとても素敵な人だから、きっとあちらに行っても誰にでも好かれてしまうのだろう。
そうなった時、貴女は僕を覚えていてくれるだろうか?
僕以外の誰かを、選んでしまうのではないだろうか。
最後に何か声をかけたくて、でも今この口を開いたら、多分情けない言葉しか出て来ない。
貴女を乗せた飛行機は、あっという間に青空へと消えてしまった。
僕は一人、空港を背に家へと向かい、貴女から貰った一輪の花を見つめる。
この花は、不安がる僕を慰める為にくれたのではないだろうか。
だとしたら、自分はなんて情けないのだろう。
昔からよく言われるのだ。この顔のせいも相まって女みたいとか、女々しいとか。
けれど確かに僕は、男らしくない。いつもそうだ。むしろ男らしいのは……勿論そんなところが凄く素敵だし尊敬しているけど、僕は……。
貴女はこんな僕がいいと言ってくれるけど、本当にそうだろうか。
考えれば考えるほど、不安になっていく気持ちを振り払い、携帯で花の意味を探る。
いったい何を僕に伝えたかったのだろう。少し緊張し、掌に汗が滲む。
見つけたページをスクロールすると、そこに求める答えがあった。
心臓が、大きく脈打つ。
(一つは一目惚れ、もう一つは)
「……アナタしかいない」
彼女がくれた花は、一輪の真っ赤な薔薇。
薔薇は色や本数によって花言葉が違う。
「赤い薔薇はあなたを愛しています。そして一本ならアナタしかいない」
思わず来た道を振り返った。彼女を乗せ消えた先の空を見上げて、カァと顔が熱くなる。いや全身が火照ったように。
あぁもう貴女は本当に。いつもいつも。
「どうして一番欲しい言葉をくれるんだ」
なんと言うサプライズだろう。もう先程までの不安なんて、全てどこかへ消え失せてしまった。
あぁなんて事だ。貴女はこんなことを恥ずかしげもなくさらりとやってのける。
僕は貴女に敵わない。
「いや、違う」
このままでいい筈がない。僕だって貴女に負けない。
この気持ちを伝えたい。
――その翌年。
僕は海を越えてその場所にいた。勝手の分からぬ街に翻弄されながら、貴女に教えてもらった情報を頼りに、白いアパルトマンを見つけ出す。
出入り口のパスコードが分からず困っていると、上の方から懐かしい声がした。
ずっと間近で聞きたかった声、たった一年の月日は何十年にも感じられてとても長かった。
顔を上げると沢山並んでいる窓の一つに思っていた通りの、いや以前よりも魅力的な彼女がこちらを驚いた顔で見ている。
嬉しくてホッとして、名前を呼べば、貴女は直ぐに引っ込んだ。
貴女が降りて来てくれる短い間、僕の胸はやたらと煩い。ドキドキドキドキと、こんなに胸が高鳴ったのはいつぶりだろう。
ずっと、今日この日を待っていた。
逸る気持ちを押さえてずっと――。
走って来る貴女と目が合うと、僕は我慢出来ずに強く強く抱き締める。
あぁ貴女はこんなに細かっただろうか。こんなに小さかっただろうか。愛しさが後から後から込み上げる。
「どうしてここに」と問われ。
「どうしても今日、貴女に〝この花〟を渡したくて!」
そう言って四本の真っ赤な薔薇を。
直ぐにその意味に気付いて、貴女は僕を見上げる。
「本当に貴女はずるいよ。僕、あのあと調べて凄い焦ったからね」
と言いながら、再会出来た事に嬉し涙が止まらない。
「僕だって貴女しかいないよ」
それは貴女が僕にくれた花言葉。
そして、僕が貴女に贈るのは――
「死ぬまで気持ちは変わりません」
その翌日。彼女の家の玄関には、真新しい花瓶が用意されていた。
そこには僕が贈った花と、もう一本。
全部で五本になった花の意味に驚いて
「本当、貴女には敵わないよ」
と苦笑した。
僕達は強く思う。
〝あなたに出会えた心からの喜び〟を。
『愛しいアナタにこの花を。おまけ』END.
―― あとがき ――
【花言葉】
赤い薔薇:あなたを愛してます
一輪の薔薇:あなたしかいない
四本の薔薇:死ぬまで気持ちは変わりません
五本の薔薇:あなたに出会えた心からの喜び
薔薇やチューリップは一本で一輪とも呼ぶ。
現代ドラマ
一人寂しく死を生きる。
春がきて夏がきて
秋がきて冬がきて
そしてまた春が来る。
過ぎ去っていく日々の中を、時に悲しく、時に苛立たしく思いながら、結局私は生きている。
あの頃は赤や黒と決まりきったランドセルも、今では色とりどりに好きな色を背負って走る子供達。
年の離れた兄弟姉妹が、手をとって歩く姿に穏やかな気持ちになって、懐かしさから涙が溢れる。
あぁあの頃は良かった。
あんなにも世界は輝いて、あんなにも毎日が楽しかった。
私は毎日笑っていたなぁ。
年の離れた兄弟姉妹の手を引いて歩いたり抱っこしたりおんぶしたり、時には慰めたり。
あぁ私は弱くなった。
弱くなったよ。
こんなにも直ぐ涙が出てくる。
自分らしくとはなんだろうか。
大人になるにつれ言いたい事も言えず苛立たしく過ごす日々。
楽しい嬉しい悲しいツラい腹立たしい。
その全てを隠して生きる日々。
どうして周りはあんなに自由なんだろうか、なんて思うのは私が周りをきちんと見れてないからなんだろうなぁ。
もう一度。
もう一度何も気にせず自由に笑って話せる日々を――――。
――それにしても何故だろう、ここ最近の私は歳をとらなくなった。
いや、分かりたくない。
そう、私はまだ生きている。
生きているのだ。
この世界で――。
◇◇◇
(あぁ、あんな頃あったっけな……あの気持ちの悪い《《兄》》がさ偉そうに手を引いてさ、もうあんな家には戻らないけど、いやどうしたって戻れないんだけど)
(昔の事はあまり覚えてないけど、《《アイツ》》には会いたくない。変わりに払って貰ってるけど、私はここでやり直す)
(あの子はどうして親の私よりも先に逝ってしまったのか……私も)
『あちらのお宅一家離散して長男だけが地元に残ったそうだけど、早くに亡くなったんですって』
『あぁえぇそうなの? やーねー』
『なんかねー噂によれば~』
『長男以外みんなお金に困っていたそうよ』
――あぁ私は今日もこの街のこの世界で《《生きている》》。
【一人寂しく死を生きる。end】
花より短編集
多彩な短編からなる人間模様と内省の物語
"「花」が紡ぐ、嘘と誠、別れと出会い、そして自己を見つめる魂の短編集。"
いろんなジャンルの短編集
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