机に窓からの昼下がりの白い光が入っていた。開いた教科書とノートの半分が白く照らされていた。響いているのは先生の声。少女は青いシャーペンを持って、黒板の白い文字をノートに写していた。
ぎゅるるる、とお腹から音が鳴った。咄嗟に少女は紺色のセーラー服の上からお腹を押さえて、「ん、んっ……」と小さく咳払いをした。隣の男子のペンが走る音が聞こえなくなって、少女の顔は熱くなった。が、すぐに少女の顔から血の気が引いた。腹を刺すような痛みが彼女を襲った。
少女は黒板の上にある時計を見た。薄緑色の時計は授業が始まって40分を指していた。トイレに立とうか迷っていると、またお腹からぐぅと音が響いた。少女は椅子をがた、と引いた。痛みの波が引いていく感じがして胸を撫で下ろした。お腹に違和感を感じつつも、ノートに向かい合った。
「はい、白石さん。この段落を読んで」
急に当てられて肩がビクッと動いた。ゆっくりと立ち上がって教科書を持った。さて、読もうとした時、お腹がぐるるる、と唸った。「んっ!」と強めの咳払いで誤魔化しながら教科書を読み進める。その途中で引いた波が津波のように襲ってきた。気づけばお腹を押さえていた。声が震える中、なんとか読み終えて座った。椅子に座ると、波は少し遠のいた。
時計を見ると授業が終わる5分前まで来ていた。チャイムが鳴ったらトイレに走ろう、と思っていると、ぎゅるると、さっきよりもさらに強い波が襲ってきた。もうダムが決壊しそうだった。太ももに力が入った。眉間に皺が寄った。ノートを書く手が震えて、冷や汗も出てきた。はぁ、と吐息が漏れる。
「あの……先生……」
震える手をそっと挙げた。「白石さんどうしたの?」と先生が反応する。教室中の視線が身体に刺さった。
「トイレに行ってきます……」
ゆっくりと立ち上がって後ろの扉を目指した。手はお腹にあった。扉を少し乱暴に開けて、廊下に飛び出した。外からの冷たい風が鳥肌をたたせた。太ももをこすり合わせながらトイレを目指した。トイレに駆け込んだ瞬間、キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴った。震える手で個室の鍵を閉めた。
お腹痛い
身体感覚を描く写実的な掌編
"日常の静寂を切り裂く、生理的なる戦慄。"
お腹痛い少女の話。
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