灰色の世界だった。下は白くかたい。ジャンプするとタン……タン……と響いた。周りには何もない。僕は歩いている。トットットという音が響いた。景色は変わらない。灰色だった。
目の前が赤く歪んだ。
そうかと思ったら黄・緑と目まぐるしく回っていく。平衡感覚がなくなって僕は右の二の腕に衝撃を受けた。バターンと長い音が響いた。身体が震えた。声は出なかった。
と思ったら、左に青空が広がっている。白いわたがしがいくつも漂っていた。
起き上がると、目の前にブランコがあった。水色のブランコ二つは、ギィ……ギィ……と上下に揺れている。下は砂の白色だった。少し遠くでたんぽぽが揺れていた。その辺りに黄色の通行止めがあって、さらに向こうは横に黒色のアスファルトが通っていた。
僕は立ち上がった。隣には赤い滑り台があった。その後ろに、深緑のうんていがあった。その傍に、水色の枠でできた砂場があった。僕は砂場の方へ走った。サッサッサと砂が舞う音がした。
砂場に足を踏み入れると、足がゆっくりと飲み込まれていく。靴の中に砂利が入って痛い。どんどん飲み込まれていく。砂は太ももの辺りまで来た。手で引き抜こうとしたが引き抜けない。僕は諦めて力を抜いた。
すると砂は水に変わった。湖のようだった。さっきまでの公園どころか陸地が見当たらない。どんどん身体が沈んでいく。
ブクブクと鼻に水が入ってくる。鼻が痛くなってきた。手で水をかいた。喉が焼ける。早くも力が尽きてきた。意識が遠くなっていく。……
目が覚めると、僕はまた、灰色の世界に立っていた。胸の鼓動がドッドッと響いていた。地面は相変わらず白かった。何もないのに手を伸ばして、空をつかんだ。
空はドアノブに変わった。目の前には白いドアがあった。横に茶色い木の壁があって、白い二段ベッドがあった。四角い窓の外に、大きい木があった。きゃははという甲高い声が聞こえた。
木がガサガサと揺れて、優しい風が頬を撫でた。耳元でブランコの音が響いていた。
灰色の世界
感覚的な夢幻を描く掌編文学
"色彩の氾濫と、死の淵で揺らぐ意識の境界線。"
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