exponentia~うたかたにたゆたうなんかのゆめ
繰り返す夢と現実の狭間で、ベテラン声優が見つける人生の「当たり」とは。
四十二歳。役者・勢雄祥匡。
かつて声優として一世を風靡したこともあるが、今は小劇場や映像作品の端役を中心に、好きな芝居を続けている。
そんな彼のもとに舞い込んだ、久しぶりのゲーム仕事。
乙女ゲーム『デイムメイカー』の攻略対象・セイレンの父親、クリストファー役。
端役だと思って引き受けた仕事だった。
発売から半年後。
ショッピングモールで開かれたゲームイベントの最中、勢雄は突然血を吐いて倒れる。
そして、夢を見る。
自分はクリストファー。
妻メアリを亡くし、息子セイレンと娘ミリアを持つ男。
けれど夢は、一度では終わらない。
息子が人を殺す。
娘が死ぬ。
誰かと結ばれる。
そして世界は暗転し、またどこかへ戻っていく。
繰り返すたび、少しずつ変わる人間関係。
いるはずの人間がいなくなり、死んだはずの人間が生き、ついには息子だったはずのセイレンさえ、見知らぬ夫婦の子供として現れる。
――これ、本当に『デイムメイカー』なのか?
一方、病院で目を覚ました勢雄の周囲にも、おかしなことが起こり始める。
ゲームには存在しない人物を、なぜか知っている。
勢雄と同じ世界を「夢」で見たという人間がいる。
ゲームを十五回クリアした少女。
ゲームの中で殺される少年の夢を見た看護師。
そして、何度も何度も人生を繰り返しているクリストファー。
ゲームなのか。
夢なのか。
それとも、ただの認識違いなのか。
まあ――夢なんて、考察すると気が狂うらしいし。
だったら今日も、飯を食って、煙草を吸って、芝居をしよう。
これは、夢と現実の謎を華麗に解き明かす物語――
では、多分ない。
役者・勢雄祥匡と、
彼が声を貸した男・クリストファー。
二人の男が、何度も出会って、失って、手に入れて、手放して。
いつか別れが来るときまで、泡沫のような夢に揺蕩う物語。
主人公とゲームキャラの人生が互いに影響し合い、家族の絆や愛の多様性を深く問いかける点が最大の魅力です。
人生の繰り返しの中で真の価値を見つけたい方や、愛の形について深く考えたい方に特におすすめしたい一冊です。
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最新の評価レポート
2026-09-20 19:11 評価 · 詳細レポートを見る
メタフィクション恋愛ドラマ
■ キャッチコピー
繰り返す夢と現実の狭間で、ベテラン声優が見つける人生の「当たり」とは。
■ 総評
『exponentia~うたかたにたゆたうなんかのゆめ』は、ベテラン声優・勢雄祥匡が、自身が声を当てた乙女ゲームの世界を「夢」として繰り返し体験するという、現実と虚構が交錯する重層的な物語です。序盤のゲーム制作現場の軽妙なやり取りから、主人公の突然の吐血、そしてゲーム世界での「繰り返し」の体験へとシームレスに移行する構成は、読者を一気に物語の深淵へと引き込みます。主人公のどこか斜に構えながらも人間味溢れる語り口は、彼の人生経験と役者としての矜持を色濃く反映しており、物語全体に一貫した「声」を与えています。
物語の最大の魅力は、勢雄祥匡と、彼が演じるゲームのキャラクター、クリストファーの人生が、互いに影響し合いながら進行する点にあります。クリスが「暗転、そして、光」を繰り返す中で、家族との関係や、失われた時間、そして「失うのが嫌だな」と感じるほどの愛情を再構築していく姿は、勢雄自身の過去の選択や後悔と深く共鳴します。特に、クリスの息子セイレンや娘ミリア、そして孫娘メアリとの関係性の変化は、血縁を超えた家族の絆の多様性を提示し、読者に深い感動を与えます。ミリアが「別の世界の人間が、この世界に赤ん坊として産まれた」という設定や、志山看 … 続きを読む