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泥上の楼閣

ジャンル: エッセイ

上田潤

実践的農業思想エッセイ 76,880字

同情も庇護もいらない。泥に塗れた手で「売らない自由」を掴みとる、誇り高き農の独立宣言。

PICK UP — AIによる3行評価
現役の米農家が日本農業の構造的な欺瞞や悪弊を鋭く突く、破格の自立の記録を描いたノンフィクションです。
論理的な経済分析と泥臭い現場の実感が完璧に調和し、人間のリアルな葛藤が胸を打つ圧倒的な筆致が魅力です。
日々の仕事に向き合う姿勢を根本から見つめ直したい、すべての働く大人たちに心から読んでほしい一冊です。
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最新の評価レポート

2026-11-04 16:23 評価  ·  詳細レポートを見る

引き込み力
9.0
文体・声
9.0
人物・存在感
8.0
物語の流れ
8.0
情感・共鳴
9.0
世界・雰囲気
9.0
読後感
9.0
■ ジャンル・作風
実践的農業思想エッセイ

■ キャッチコピー
同情も庇護もいらない。泥に塗れた手で「売らない自由」を掴みとる、誇り高き農の独立宣言。

■ 総評
本書は、現役の米農家が内側から日本農業の構造的欺瞞と精神的隷属を痛撃した、破格のエッセイである。「はじめまして、農業です。さようなら。」という挑発的な書き出しから幕を開ける本作は、同情や国の過保護にすがってきた農業界の悪弊を「百姓根性」と断じ、自らを「事業者」として定義し直す苛烈な自立の記録だ。「外国産米を、ぜひどうぞ」という言葉は、決して自暴自棄の皮肉ではない。安さのみを求める消費者に媚びず、自らの生産物に正当な価値と価格をつけて取引の席に着くという、誇り高き「売らない自由」の宣言である。

著者の筆致は、怜悧な経済・社会分析と、泥にまみれた現場の実感が奇跡的な調和を保っている。エルメスのバッグを引き合いに出した「値札の横に、原価計算書を置くな」という鋭い商売論、オストロムのコモンズ論を水路の泥上げに重ねる批評眼、そして生存者バイアスを用いて自らの成功談すら「穴の地図」の半分に過ぎないと解体する誠実さは、類を見ない水準に達している。しかし、本作を真に文芸足らしめているのは、そうした理論武装の合間に露わになる、みっともないまでの人間臭さだ。福袋の野菜を突き返され、お菓子の長靴に野菜を詰めて深夜の倉庫で途方に暮れ、小学校 … 続きを読む