泥上の楼閣
92.9全評価の中央値 / 100

泥上の楼閣

ジャンル: その他

上田潤

農業ノンフィクション・エッセイ 81,023字

泥だらけの手でつかみ取る、100の誇り高い自立

PICK UP — AIによる3行評価
日本の米農家の視点から産業の構造的な問題と人間の自立を描き出す意欲的なノンフィクションです。
著者の圧倒的な語り口と飾らないユーモアに満ちた等身大のエピソードが作品の最大の魅力です。
日々の仕事や組織のあり方に悩みながらも自分の足で立とうとするすべての働く人におすすめしたい一冊です。
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最新の評価レポート

2026-11-08 15:18 評価  ·  詳細レポートを見る

引き込み力
9.0
文体・声
10.0
人物・存在感
9.0
物語の流れ
8.0
情感・共鳴
9.0
世界・雰囲気
10.0
読後感
10.0
■ ジャンル・作風
農業ノンフィクション・エッセイ

■ キャッチコピー
泥だらけの手でつかみ取る、100の誇り高い自立

■ 総評
本作『泥上の楼閣』は、農業という特定の業界を題材にしながらも、あらゆる「働く者」の魂を激しく揺さぶる、極めて完成度の高いノンフィクション・エッセイである。著者は、日本の農業が抱える構造的な問題――補助金への依存、農協との関係、高齢化、そして「国民の食を守る」という大義名分に縛られた不自由さ――を、一介の米農家の視点から見事に解きほぐし、普遍的なビジネスの哲学、ひいては人間の自立の哲学へと昇華させている。本作の最大の魅力は、著者である上田潤氏の圧倒的な「声」の力にある。「はじめまして、農業です。さようなら。」という鮮烈な冒頭から始まり、「外国産米を、ぜひどうぞ」という逆説的な主張に至るまで、その言葉は常に挑発的でありながら、深い知性と泥臭いユーモアに裏打ちされている。「アホのふりをして、グイグイいく」営業の苦労や、「5年4組に1点差で負けた」という食味コンテストでの挫折など、自身の失敗や弱さを隠すことなく晒す姿勢が、読者の絶対的な信頼を獲得している。また、構成の妙も特筆に値する。第1部で自立を宣言し、第2部で国家と個人の責任を切り分け、第3部で現場のリアルな泥にまみれ、第4部で海外の好敵手たちへと視座を広げる。この論理的かつエモーショナルな展開は、優れ … 続きを読む