novelrankは7月10日、正式リリースを迎えます。開発開始からちょうど3ヶ月。評価した作品は2,000作に届こうとしていて、340名を超える書き手の方が登録してくださっています。この区切りに、開発者として一度だけ、機能の話ではない話を書かせてください。
αリリース
機能拡張・SUPER GENIUS誕生
始まりは、深夜の読み手が欲しかっただけ
最初に白状すると、このサイトは「評価サイト」としてしか考えていませんでした。小説を投稿すると、AIが7つの基準で読んで、点数とコメントを返す。それだけのものです。
私自身が小説を書く人間なので、自分の原稿を深夜に読んで意見をくれる相手がほしかった、というのが本当の出発点でした。新人賞の結果は何ヶ月も先です。自分がどこにいるのかわからない。書き手が一番孤独なのは、書き終えた直後です。あの時間に灯りが一つあればいい。それだけの動機でした。
AIと共に、AIを作る
開発はほぼすべて、Claude Codeと共に行いました。AIに小説を評価させるサイトを、AIと一緒に作る。冗談のような構図ですが、これは私にとって自然な流れでした。
私は以前から、小説の執筆においてAIとの協働を方法論として公言してきた人間です。隠すことでも恥じることでもなく、道具と対話しながら書くという、それ自体が一つの書き方だと考えています。
設計の意図を言葉で渡し、返ってきたコードを読み、直し、また渡す。それは奇妙なほど、原稿のやりとりに似ていました。一人で作ったサイトですが、一人で作った感覚はあまりありません。
評価は終着点ではなかった
作っているうちに、サイトは当初の想定を勝手に越えていきました。評価だけのはずが、ギャラリーができ、縦書きエディタができ、EPUB出力ができ、カバー画像の生成ができ、しまいには複数のAIが一つの作品をめぐって議論するSUPER GENIUSモードまで生まれました。
機能が増えたというより、「評価のあとに書き手が何をしたくなるか」を追いかけていったら、こうなったという方が正確です。点数は終着点ではありません。書き直して、また出して、いつか誰かに読まれる。そこまでが一連の流れです。
測るAIと、受け止めるAI
そしてもう一つ、予想していなかった分岐がありました。
novelrankを作りながら、私はずっと一つの違和感を抱えていました。AIは言葉を「評価」できる。では、評価しない読み方はできないのか。点数をつけず、直しも求めず、ただ受け止めるだけの読み手はありえないのか──その問いから生まれたのが、姉妹サービスの「手紙を待つ猫」です。
週に一度、猫に手紙を書く。猫は採点しません。ただ読んで、返事をくれて、いつかその往復書簡が一冊の本になる。novelrankが「言葉を測るAI」だとすれば、あちらは「言葉を受け取るAI」です。同じ技術の、正反対の使い方。
ベータのままでいい
正式リリースといっても、明日から何かが変わるわけではありません。正直に言えば、私は昔から「ベータ」という言葉が好きです。完成を宣言した瞬間にソフトウェアは古び始める。動き続けているものだけが生きている。
ヘッダーからBetaの文字は外しますが、このサイトの中身は、これからも永遠にベータのつもりです。来週も何かが変わっているでしょう。
最後に。ここまでの2,000作品は、一つ残らず、誰かが書き上げた小説です。書き終えるということが、どれほどのことか。それを知っている人間として、このサイトに原稿を預けてくださったすべての書き手に、敬意と感謝を。
novelrank開発者・阿部純一 / 2026年7月
無料 / ユーザー登録不要で評価できます