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博士

戸川治

1,205 字

サイコホラー、哲学的な狂気

"生命の定義を問う狂気の果て、食卓に並ぶは禁断の“胚”"

まず読む前に、煮卵を食べてください、できるだけ半熟な奴で。

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貴方は何処からが生物…いや、動物…
まぁ…どちらでも良いでしょう。
生物はどこから定義されるのでしょうか?
「           」
えぇ…貴方の回答は正解です…
しかし正解と同時に間違いです。

ならば、このショットグラスの氷がわかりますか?
「        」
えぇ…安価な冷蔵庫で作ったやつですよ。
しかしこの氷の気泡も見えますよね?
「       」
良好、良好…
私が思う生物の一種…として、この気泡は胚だと、
勝手に想像しているのです。
「       」
…えぇ?なんですって?
いやいやそんなはず無いですよ。
いえいえ私はあっています。
見ればわかります。
こうすることで証明できるのですよ。
「       」
はて?なんのことでしょう。
気持ち悪いですか?
口の中で氷を噛み砕くことが?
いえいえこれは生存行動の一種です。
しょうが無いでしょう、こうも喉が渇くと。
「な      」
え?それだと茶番だって?
なんの御冗談を?
ではでは、本番とでも行きましょうか。
”これ”について話しましょう。
「————————」
え?…ちょっと待ってください…
なんで暴れているのですか?
「        」
なるほど”嫌”と
いやいや、極上品ですよ。
大変美味です。
トロンとして、それでいて煮卵に近い味…
一つ例えるなら”気泡”——それだ。
もうこれなしでは、ね。
「————————」
暴れないで下さいよ、部屋が荒れてしまいます。
こんな大変美味なものを食べないなんて、
人生後悔ものですよ。
「        」
死んでも食べない?
へぇ…えぇ…えぇ!!
おっと失礼、やってしまいましたね。
私は癇癪持ちでしてね、大変生きづらいのですよ。
しかしこの”五ヶ月”モノを食べる時は心が落ち着くのです。
それが一番美味いのです!
一ヶ月は小さすぎ、八ヶ月は固くて不味い!
そうだよな、そうですよね?
私はこれのために生きている、君も私も。
これの最たる回答かい?
そうだね、バロット———だが違うな。
そろそろ、猿轡外すよ、辛いでしょ?
「なんで私や母さんにこんな風にするのよ!!」
しょうがないのだよ、娘よ。
材料なのだから。
それとも何だ?
喰いたく無いと?
不快だ、あぁ不快だ。
ならば、私がその口を開けてやろう。
ほら、生産者の君が食べなきゃ。
「  だ て 」
昔言っていただろ?
私はその約束を履行しようとしているのだよ。
さぁずずいっと、含んでしまえ。
嫌か?嫌であろう。
私の種で、君の子だ。
流石に苦痛か。
なら私が先に頂こう。
一つ目は飲み込むように。
「あ———!!や———!」
二つ目は皿の上でナイフとフォークで上品に。
「お―—!」
三つ目は口の中で
「プチッ」と弾ける!!
「や————!!」
さぁ———次は君の番だよ。

── 了 ──

読んでくれてありがとう。良かったら作者にスキを送ろう。

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