あなたの小説を
AIが深く読む。
AIが小説を採点・講評し、改稿後に本当に良くなったかまで判定します。4000字の評価レポートをお届け。著作権への同意のうえ公開すると投稿作品ギャラリーに掲載されます。
基本機能は無料でご利用いただけます。
現在 5,405 作品を評価済み
AIが高く評価した、いま読める作品
投稿者が公開した作品。スコアと講評の一節から、気になる一作を。
小説のAI評価・採点でできること
7つの観点でスコア採点
引き込み力・文体・人物・物語の流れ・情感・世界観・読後感の7基準で採点。ジャンルや目標に沿って公平に評価します。
レポートをメールで受け取る
ジャンル・作風の分析、キャッチコピー、詳細な総評、各基準の詳細評価、「最も光る一節」の引用、次作への提言を含む詳細レポートをメールでお届けします。
作品ページ・ギャラリー・著者ページ
ログインして作品を登録すると:
- 作品ページ — スコア・あらすじ・カバー画像をまとめた専用ページ。改稿したら再評価ボタン1つでスコアを更新
- AIカバー画像生成 — Google Imagen 4 でタイトル・作者名入りの表紙を生成(1日10枚)
- EPUB出力 — 縦書き・横書き対応。表紙・目次・AI講評を収録して電子書籍ファイルに書き出せます
- ギャラリー掲載 — 70点以上の作品は投稿作品ギャラリーに公開可。X・LINEシェア対応
- 著者ページ — 全作品を一覧表示。SNSシェア用OGP画像も自動生成
AIと話す・改稿支援・エディタ PRO
投稿時に本文を30日間保存しておくと利用できます(プロプラン限定):
- 💬 AIと話す — 作品について Gemini 2.5 Flash と自由に対話。スコアの意味、続編アドバイスなど何でも
- ✏️ 改稿支援 — 「冒頭を書き直して」「引き込み力を高めて」など依頼すると、AIが具体的な改稿例を文章で提示
- ✍️ ブラウザエディタ — 縦書き対応の執筆エディタ。自動保存・段落整形・全角変換付き
プライバシーを守る設計
登録した作品はデフォルトで非公開。評価処理後、本文はNOVEL RANK側で削除します(「AIと話す」など本文保存を選んだ場合を除く)。保存する場合も、本文は暗号化(AES-256-GCM)してサーバーに保管します。パスワード不要で、メールリンクのみでログインできます。有料APIを利用しているため、投稿された本文がAIの学習に使用されることはありません。
プロモード批評 PRO
通常評価に加え、文学的構造分析(冒頭戦略・対立構造・人物の選択など5項目)と800〜1200字の詳細批評レポートを生成します。
- WRITING モード — 執筆途中の原稿を「書きかけの草稿」として評価。未完を減点せず、現時点の強みと"この先の一手"を助言(GIGAはさらに深く)
- 同一本文検出 — 同じ本文を再投稿した場合、スコアのブレを明示。採点のノイズと改稿効果を区別できます
- 改稿判定 — 前回稿との差分をAIが分析。改善点・悪化点・次に直すべき優先課題を提示
- スコア推移 — 作品ページに評価履歴グラフを表示。改稿のたびに変化を確認できます
- 完全非公開モード — 題名・点数を含め、ランキング・ギャラリー・作者ページのどこにも掲載しません。執筆途中の原稿を、誰にも見せずに評価だけ受けられます
- 広告非表示 — プロプラン以上(GIGA含む)では広告が表示されません
- 長編を省略せず読む — 通常15万字を超える作品は中盤を省略して評価しますが、GIGAプランなら120万字まで一文字も飛ばさずに読みます(月1回)
2回まで無料でお試しできます
3つのAIが、あなたの小説を「議論」する。
フル1,800円(15万字)またはライト990円(5万字)。Claude Opus・GPT-5.5・Gemini 3 が独立評価し、互いに批評し合い、議長AIが最終裁定。
3AI議論で認定された作品
Claude Opus・GPT・Gemini が議論し評価した作品。才能判定付き。
NOVEL RANK 特集 第5回
正式リリースに寄せて──評価するAIと、手紙を待つ猫と
開発開始から3ヶ月。開発者・阿部純一が、機能の話ではない話を書きました。
NOVEL RANK 特集 第4回
AIと、AIと、AI。そして愛。
SUPER GENIUSモードを体験した書き手・神影零が語る。3つのAIの議論、臨床的読解、そして最後の手紙。
NOVEL RANK 特集 第3回
3つのAIに、現代作家と古典を読ませて議論させた。
現役作家の新作冒頭と、谷崎潤一郎『刺青』。SUPER GENIUSの3つのAIは、どこで一致し、どこで意見を割ったのか。
NOVEL RANK 特集 第2回
79点の小説が、いちばん心に残った。
AI評価88点、83点、83点、79点。4作品を読み比べたら、点数の序列と心に残る序列は一致しなかった。
NOVEL RANK 特集 第1回
NOVEL RANKが見つけた作家 ── アル
投稿ランキング1位・2位を独占。23歳、執筆歴1ヶ月の書き手にインタビューした。
サービス概要
- AI採点・評価レポート — 月10回まで
- 7基準スコア(100点換算)+詳細な評価レポート
- メールで詳細レポートをお届け
- 評価スコアランキングに掲載
- 作品ページ・著者ページの作成(ログイン後)
- AIカバー画像生成 — マイページからGoogle Imagen 4 で生成(1日10枚)
- 改稿のたびに再評価(1作品につき10分に1回)
- 🖼️ 投稿作品ギャラリーへの公開 — 70点以上の作品のみ掲載可。著作権への同意のうえマイページから公開
- ✦ AIと話す・改稿支援(プロプラン限定)
- 🔒 完全非公開モード — ランキングにも一切出さない(プロプラン限定)
- 💎 Gemini 2.5 Proによる一括読解評価・相談チャット(GIGAプラン限定)
- 📖 長編を120万字まで省略せず読む — 月1回(GIGAプラン限定)
点数について
NOVEL RANKのスコアは7つの評価基準(各10点)を100点換算した総合点です。
現在のAI評価では、以下のような点数帯が出やすい傾向があります。
複数の基準で突出した強みがあり、読後に深い余韻が残る作品。プロ作家・文芸誌掲載レベルに相当します。
完成度が高く、個性や強みが明確な作品。投稿サイトでの高評価・受賞候補に届くレベルです。
読める水準に達しており、光る部分もある作品。改善点はあるものの、成長の可能性が感じられます。
着想や個性はあるものの、文章・構成・人物描写などに明確な弱点が残る段階です。
※ AIによる評価には限界があります。スコアはあくまで参考としてご利用ください。同じ作品でも評価が変わることがあります。
よくある質問
著作権はどうなりますか?
アップロードいただいた小説の著作権はお客様に帰属します。評価処理後、NOVEL RANK側ではファイルを即座に削除します。評価処理には有料APIのGoogle AI Studio(Gemini)を利用しており、送信された本文がAIモデルの学習に使用されることはありません。
処理時間はどのくらいかかりますか?
通常は数十分程度で完了します。混雑時は最大24時間程度かかる場合があります。処理が完了次第、メールでお知らせします。
何文字まで評価できますか?
本文の15万字までを読み込んで評価します。これを超える作品も投稿できますが、その場合は冒頭と末尾を読み、中盤を省略して評価します。中盤に置かれた描写や伏線は講評に含まれません(省略した場合はレポートとメールに明記します)。GIGAプランでは、120万字まで一文字も飛ばさずに読みます(15万字を超える長編は月1回まで。15万字以下の評価は回数制限なし)。なお貼り付けでの投稿は15万字までのため、長編はファイルでご投稿ください。
対応しているファイル形式は?
.txt(テキスト)と .md(Markdown)形式に対応しています。文字コードはUTF-8(BOM付き可)を推奨します。ファイルサイズは最大5MBです。
評価後のデータはどうなりますか?
NOVEL RANK側ではアップロードされたファイルを評価処理完了後に即座に削除します。タイトルとスコアのみランキングに表示されます。評価処理には有料APIのGoogle AI Studio(Gemini)を利用しており、送信された本文がAIモデルの学習に使用されることはありません。詳しくはプライバシーポリシーをご確認ください。
どのAIで評価していますか?
Google の Gemini 2.5 Flash を用いて日本語小説を全文読み込み、7基準で評価しています。AIによる評価には限界がありますので、スコアはあくまで参考としてご活用ください。より深い読解力を持つ Gemini 2.5 Pro を使うGIGAプランもご用意しています。
章単位や書きかけの作品でも評価できますか?
はい。WRITING モード(無料でも利用可)を使えば、章や執筆途中の原稿を「書きかけの草稿」として評価できます。未完(結末が無い・構成が途中)を減点せず、現時点の強みと"この先どう書き進めるか"の具体的な一手を助言します。投稿画面や作品ページの再評価でチェックを入れるだけ。GIGAプランでは Gemini 2.5 Pro がさらに深く読み込みます。あわせて、プロプランのAIアドバイザーで作品を読んだAIと対話しながら書き進めることもできます。プロプラン以上では広告も非表示になるため、書きかけの原稿と講評に集中できます。(2026年9月から無料でも使えます。作品に「連載中」を付けると、再評価は自動でこのモードになります)
料金はかかりますか?
基本機能(AI採点・評価レポート)は無料で月10回までご利用いただけます。AI編集者への相談・改稿判定・詳細批評、および無料枠を超えた評価はプロプラン(200円で30日間)で利用できます。プロプランでは物足りない方には、Gemini 2.5 Proで作品を丸ごと一度に読み込んで評価するGIGAプラン(1,480円で30日間)もあります。GIGAプランでは、15万字を超える長編も120万字まで省略せずに読みます(月1回)。
広告は表示されますか?
無料でご利用の場合、サーバー費用とAI評価にかかるAPI利用料をまかなうため、一部のページに広告が表示されます。プロプラン以上(GIGAプランを含む)をご利用中は広告が表示されません。作品ページや評価レポートを、広告なしで落ち着いてお読みいただけます。
AIアドバイザーとは何ですか?
評価完了後、作品についてAIと自由に対話できる機能です(プロプラン限定)。投稿時に「AIアドバイザーと相談できるよう本文を30日間保存する」にチェックを入れると、評価レポートのページから利用できます。スコアの解説・改善ポイント・文体のアドバイスなど、作品の本文と評価レポートを読んだ上でAIが回答します。
AIアドバイザーを使うと本文はどうなりますか?
チェックを入れた場合のみ、評価完了後に本文テキストを30日間サーバーに保存します(チェックなしの場合は従来通り評価後即削除)。保存期限を過ぎると自動的に削除されます。本文が第三者に公開されることはありません。
AIアドバイザーの利用回数に制限はありますか?
安定したサービス提供のため、AIアドバイザーとの対話には1日あたりのご利用回数に上限を設けています。通常のご利用で上限に達することはほとんどありませんが、短時間に多数のやり取りをされた場合などは、一時的にご利用いただけなくなることがあります。その場合は時間をおくと自動的に解除されます。プロプラン・GIGAプランなどの有料プランでは、より多くの回数をご利用いただけます。
作品ページとは何ですか?
ログインして作品を登録すると作成できる、作品専用の公開ページです。タイトル・あらすじ・カバー画像・最新の評価スコアをまとめて表示します。評価履歴も一覧でき、著者ページからはあなたの全作品をカード形式で確認できます。パスワードは任意設定で、これまで通りメールリンクだけでもログインできます。
同じ作品を何度も評価できますか?
作品を登録して本文を保存しておけば、作品ページの「再評価する」ボタンから何度でも評価できます(同一作品は10分に1回まで)。改稿のたびに本文を差し替えてスコアの変化を追うことができます。
レポートはどんな内容ですか?(サンプルを見る)
羅生門
青空文庫で読む →芥川龍之介の『羅生門』は、単なる古典的名作の枠を超え、人間の生存本能が倫理を凌駕する瞬間を、冷徹なまでの観察眼で切り取った傑作である。物語は、荒廃した平安の都、その象徴としての羅生門という舞台から幕を開ける。下人が抱く「どうにもならない事を、どうにかしようとして」という、出口のない絶望感は、読者を一気に物語の深淵へと引きずり込む。本作の真髄は、下人が抱く「善悪」の葛藤が、老婆の「生きるための悪」という論理に触れることで、瞬時に「生存のための悪」へと反転する、その恐るべき精神の変容にある。老婆が語る「せねば、饑死をするのじゃて、仕方がなくする事じゃわいの」という言葉は、一見すると卑屈な言い訳に過ぎないが、それが下人の内なる「勇気」を呼び覚まし、彼を「引剥」へと駆り立てる。この逆説的な展開は、人間の道徳がいかに脆い基盤の上に成り立っているかを残酷に突きつける。芥川は、下人の右の頬にある「大きな面皰」という卑俗な身体的特徴すらも、彼の人間的な矮小さと、剥き出しの生存本能を象徴させる装置として用いている。結末において、下人が夜の底へと消えていく様は、救いようのない虚無感と共に、読者の心に消えない問いを投げかける。これは、時代を超えて、我々自身の内側に潜む「獣」を直視させる、普遍的な文学的達成である。
冒頭の「ある日の暮方の事である」という極めて平易な書き出しから、物語は静かに、しかし確実に読者の意識を侵食していく。作者は、単に状況を説明するのではなく、羅生門という場所が持つ「狐狸が棲む。盗人が棲む。とうとうしまいには、引取り手のない死人を、この門へ持って来て、棄てて行くと云う習慣さえ出来た」という凄惨な背景を、淡々と、かつ重厚に積み上げていく。この、社会の秩序が崩壊し、死が日常の一部となった情景描写が、読者の間に「この世界では、常識が通用しないのだ」という予感を植え付ける。下人が抱く「雨にふりこめられた下人が、行き所がなくて、途方にくれていた」という、個人の困窮と社会の衰退が密接に結びついた状況設定も、物語への没入感を高める。読者は、下人が次にどのような選択をするのか、その一歩一歩の重みを、雨の音と共に聞き届けるようにして、物語の深部へと誘われていくのである。
芥川の文体は、極めて精緻でありながら、冷徹なまでの客観性を保っている。その筆致は、視覚的な色彩と質感の描写において、比類なき輝きを放つ。例えば、夕焼けの中で鴉が飛び交う様子を「それが胡麻をまいたようにはっきり見えた」と表現したり、死骸の様子を「土を捏ねて造った人形のように」と形容したりする感性は、読者の脳裏に鮮烈なイメージを焼き付ける。また、下人の心理を「六分の恐怖と四分の好奇心とに動かされて」と数値化して表現するような、理性的かつ分析的な「声」が、物語に独特の緊張感を与えている。この、感情に流されすぎず、かといって無機質でもない、観察者のような視点が、人間の醜悪な部分を描き出す際に、かえってその真実味を際立たせている。言葉の一つひとつが、まるで研ぎ澄まされた刃のように、読者の感覚を鋭く刺激し続けるのである。
本作における人物造形は、極めて象徴的であり、その存在感は圧倒的である。特に下人の造形において、彼の「右の頬に出来た、大きな面皰」という描写は、単なる外見の記述に留まらない。それは、彼が抱える不安や、生存への執着、そして後に彼が堕ちていく卑俗さの予兆として機能している。また、老婆の描写もまた、凄まじい。彼女は「檜皮色の着物を着た、背の低い、痩せた、白髪頭の、猿のような老婆」として登場し、その「肉食鳥のような、鋭い眼」は、読者に本能的な恐怖を抱かせる。下人が老婆に対して抱く「あらゆる悪に対する反感が、一分毎に強さを増して来た」という激しい感情の動きは、彼自身がまだ「人間」の側に留まろうとしていることの証左でもある。これらの人物たちが、死骸の山という異常な空間の中で、互いの存在を激しくぶつけ合う様は、人間の本質を炙り出すための、極めて計算された舞台装置として完成されている。
物語の構成は、緊張感の緩急が見事に制御されており、一分の隙もない。導入部での社会の衰退と下人の困窮、中盤での楼上への探索と老婆との遭遇、そして終盤での論理の逆転と決断。この流れは、階段を一段ずつ登るような、あるいは下人が梯子を登るような、物理的な上昇と精神的な転落が交錯するダイナミズムを持っている。特に、老婆の「せねば、饑死をするのじゃて、仕方がなくする事じゃわいの」という言葉を聞いた瞬間に、下人の迷いが消え、「きっと、そうか」という嘲るような声と共に、彼が「引剥」へと転じる場面は、物語のクライマックスとして圧巻である。葛藤が解消されるのではなく、葛藤が「悪への肯定」へと変質するプロセスが、淀みなく、かつ衝撃的に描かれている。この、論理の転換による物語の加速こそが、読者を最後まで離さない強力な推進力となっている。
本作が描き出すのは、単なる悪行の記録ではなく、人間の倫理がいかに生存という絶対的な要請の前に無力であるかという、根源的な恐怖である。老婆が語る「この女のした事が悪いとは思うていぬ。せねば、饑死をするのじゃて、仕方がなくした事であろ」という理屈は、読者自身の内側にある「もし自分だったら」という問いを、容赦なく突きつけてくる。この、善悪の境界線が揺らぐ瞬間の、ヒリヒリとした情感こそが、本作の核心である。下人が老婆を捕らえた際に感じた「ある仕事をして、それが円満に成就した時の、安らかな得意と満足」という描写は、悪に手を染める瞬間の、ある種の解放感や、生存への確信を冷酷に描き出しており、読者の倫理観を激しく揺さぶる。この、読者が自らの道徳心と対峙せざるを得なくなるような、強烈な共鳴を呼び起こす力が、本作を時代を超えた名作たらしめている。
羅生門という舞台が醸し出す、死と腐敗の空気感は、文学史上に残るほどに完成されている。雨の音、死骸の腐爛した臭気、そして「夕闇は次第に空を低くして、見上げると、門の屋根が、斜につき出した甍の先に、重たくうす暗い雲を支えている」という重苦しい情景描写。これらが一体となり、逃げ場のない閉塞感を作り上げている。この、世界において、光は「火の光が、かすかに、その男の右の頬をぬらしている」程度にしか存在せず、その光さえもが、蜘蛛の巣をかけた天井裏で揺らめく、不安定なものである。この、明暗のコントラストと、湿り気を帯びた質感の描写が、平安末期の退廃的な雰囲気を見事に具現化している。この、徹底して構築された「死の気配」が漂う世界観があるからこそ、下人の精神的な転落が、単なる個人の犯罪ではなく、世界の崩壊と連動した必然的な出来事として立ち現れてくるのである。
物語の結末、「下人の行方は、誰も知らない」という一文がもたらす読後感は、あまりにも鮮烈で、かつ空虚である。下人が着物を剥ぎ取り、「またたく間に急な梯子を夜の底へかけ下りた」後、彼がどこへ向かったのかを語らないことで、読者は彼が堕ちた「悪」の深淵を、自らの想像力で補完することを余儀なくされる。この、突き放されたような感覚は、決して不快なものではなく、むしろ、彼が夜の闇へと溶け込んでいったことこそが、この物語における唯一の、そして最もリアルな結末であることを示唆している。読者は、物語を読み終えた後も、あの「黒洞々たる夜」の中に、下人の姿を見出し続けてしまう。この、解決を与えず、問いだけを残して幕を閉じる構成が、作品のテーマを永遠に完結させないまま、読者の心の中に生き続けさせるのである。
最も光る場面は、老婆の理屈が下人の倫理を破壊し、彼を「盗人」へと変貌させる、対峙のクライマックスである。老婆が「せねば、饑死をするのじゃて、仕方がなくする事じゃわいの」と、自らの悪を生存の必然として語る時、下人の内面では、それまでの憎悪が「冷やかな侮蔑」を経て、ある種の「勇気」へと転換される。この、「きっと、そうか」という嘲るような一言と共に、下人が「では、己が引剥をしようと恨むまいな」と、老婆の着物を剥ぎ取る瞬間の、凄まじいまでの精神の転換。善悪の天秤が、生存という重力によって一気に崩れ落ちるこの場面は、人間の本質を暴き出す、本作における最も残酷で、かつ美しい瞬間である。
芥川龍之介という巨星の足跡を辿ることは、表現者にとって極めて困難な挑戦ですが、本作に見られる「情景と心理の完全なる同期」は、全ての書き手が目指すべき極致です。下人の「面皰」という身体的特徴が、彼の内面的な卑俗さと結びつき、雨の音や死臭といった環境が、彼の倫理的崩壊を加速させる。このように、外的環境と内的心理を、単なる並列ではなく、一つの有機的な流れとして編み上げる技術を、さらに研ぎ澄ませてください。また、本作のように「問い」を投げかける作品を書くためには、読者の倫理観を逆なでするような、論理的な「悪の正当化」を構築する力が必要です。次に挑む際は、単なる感情的な対立ではなく、読者が「もし自分だったら」と抗えないほどの、強固な論理的必然性を持った葛藤を描いてみてください。あなたの筆が、人間の深淵を、より鋭く、より美しく抉り取ることを期待しています。